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第165話「コロコロがんばる①」

 サキさんとエミリアが出て行って間もなく、ユナも家を出る支度をしている。


「ハヤウマテイオウの蹄鉄ていてつを直してきます。ついでにナカミチさんの工房に寄ったり、日用品の買い足しもするので帰りが遅くなるかもしれません。そうそう、今のうちに魔法の矢を追加で作って来ますね」

「そういえば結構減っていたな。確か……残りは50本くらいだ」


 ユナはハヤウマテイオウの手綱を引いて街へと出掛けた。ユナくらいの体重なら乗って行っても問題ないと思うのだが、程度がわからないので気遣っているのだろうな。






 ユナとサキさんが馬で出て行ってしまい、俺とティナはまた二人で留守番することになった。


「さてどうするかな?」

「そうねえ……私は家の中の物を移動させるわ」

「サキさんの酒か……」

「そうよ」


 本来なら全部サキさんにやらせるつもりだったが、俺たちの部屋で置きっ放しになっているサキさんの酒を、二階の新しい大広間の端っこに並べて置くことにした。


「とりあえず今はここに置くしかないわね」

「本当ならやつの部屋に押し込んでおけばいいんだが、床置きだと足の踏み場が無くなるしな。コレクションするなら酒用の棚でも買ってこないと不便だ」

「それにしても多いわね。こんなに飲んでいたら病気にならないかしら?」

「サキさんあんまり酒に強くないからなあ。元の世界だと強かったのかも知れんけど……ああー、まだ降りてきてる。ちょっとトイレ」


 木箱でダース買いしている酒を大広間の床に置いた俺は、トイレで憂鬱なひと時を過ごした。と言うか、昨日のうちにサキさんが運んでおけよと思ったら無性にイライラしてきた。武器とかも部屋に置いたままだし。



 俺が二階に戻ると、酒の大移動は殆ど終わっていた。


「大丈夫?」

「うん。初めはショックで泣いた俺でも、流石に三度目は慣れたかも……」


 俺はティナの腕にくっつきながら答える。なんかもう、特に不自由もないし女でもいいか。今はそんな気分だ。慣れとは恐ろしいな。


 しかし改めて考えると、こっちの生活は忙しくて結局俺はチンチンを生やす努力を一度もしなかったように思える。唯一、魔法で幻影のチンチンを重ねてみたくらいか。今の体には全く似合わなかったので、余計にチンチンから心が離れるだけだったが。


 ──もう感触すら思い出せん。あれだけ毎日寄り添った仲だったのになあ。






「酒は暫くこの状態でいいと思う。二階の大広間は今のところ使い道がないからな」

「じゃあ次はテレポーターの親機を移動ね。大体テレポートした先は靴を履いたままだから、ガレージの奥の部屋に置こうと思うの」

「テレポーターに物がかぶさると機能しなくなるから、なるべく部屋の真ん中に置いた方がいいかもな。そうなると、武器とか道具も同じ部屋に置くべきか?」

「奥の部屋には棚がないから、そういうのはガレージ行きね」


 俺はテレポーターの親機を、ガレージの奥の部屋に設置した。



「武器とか荷物はテレポーターを使って運べば楽そうだな……さっきの酒もテレポーターを使えば良かった。いかんなあ、全く思いつかんかったわ」


 俺はガレージの奥に設置したテレポーターの親機を持って、手前のガレージに置き直す。


「俺が靴を履いたままガレージに待機しているから、ティナは子機を持ち運びながらテレポートして、俺に荷物を渡してくれ」

「わかったわ」



 俺はテレポーターの親機に現れるティナから荷物を受け取りながら、武器や道具をガレージの棚に置いたり立て掛けたりした。


 まず最初にガレージの棚へ退避させたのは、二階廊下の奥に立ててある俺とティナとユナのカスタムロングボウとそのスタンド、それぞれの矢筒に練習用と戦闘用に選別してある通常の矢、そして魔法の矢とそれ専用の矢筒。

 俺のハンドアックスとティナのレイピアは棚の壁に掛けて、一階広間の壁に掛けてあったクロスボウとクォーレル、リトナ村の緊急事態で買ったロングボウも移動させた。

 見た目が立派なサキさんの魔槍グレアフォルツは、広間の壁に掛けたままにしておこう。


 ちなみにクォーレルとはクロスボウ専用の矢だ。俺たちがいつも通っている武器屋は今後クロスボウを扱わない予定らしく、手持ちの30本を使い切ったら終了になる。



 その後、冒険の時に使う道具や背負い袋は武器の隣に置いて、大物のテント二つは一番下の段に収めた。こういうものが今まで平然と広間で床置になっていたから、これで少しは広間の見た目もスッキリしただろう。


「燭台とロウソクと……ランプもこの棚に仕舞うといいわね」

「初っ端にエミリアが開放の駒をくれたから、燭台なんて全然使わなかったよな」

「雰囲気を出したいときに使えそうだから、これは大事に取っておきましょう」

「また大雨が降ったときには、ランプとロウソクで停電ごっこでもやるか?」

「……ちょっとやってみたいわね」


 停電ごっこを想像していると、何故だかわからないが、俺はサキさんの真夜中リバース事件を思い出して笑いが止まらなくなった。






「電気玉の魔法を発見して使わなくなった不思議電池もここに置いておくわよ」

「そんなのもあったな。これはこれで、かなり助かったけどな」


 棚に物を置く時は、武器、冒険用の道具、日用品、不用品みたいな感じで、なるべくカテゴリ分けをしながら置いている。まあ、置き方は使っているうちにもっといい方法を見つけたりして、どんどん変わって行くと思うが。



「収納式の物干し台はどうしようか?」

「これは組み立てた状態で二階の廊下に置くわ。弓を置いてたスペースを活用しましょう」


 むむ? 何でもかんでもガレージ行きにはしないのか……。


「掃除道具一式はどうする?」

「水回りを中心に使うから、今の場所でいいわよ。石鹸や油も移動しなくていいわ」

「んー、じゃあガレージに移動させる作業は終わりかな?」

「そうね。あとは物を置いてた所に積もった埃を掃除して終わりかしら……」


 俺とティナは家の中を軽く掃除して、ようやく一息吐いた。結局、武器屋コノウエでユナとサキさんが買ってきた輸入品の武器は、全て一階の広間に置いてある状態だ。武器は輸送用の木箱に入った状態だから、中身が良くわからなかったというのが正しい。

 木箱はロングボウが入りそうな形状が大小で二つ、みかん箱みたいなサイズが一つ、宝石箱のように小さな木箱が一つの合計四箱だ。






 家の中を整理してもまだ昼になっていない。今日は時間もあるので、俺はティナに髪型の相談をすることにした。


「少し前から前髪が伸び過ぎて邪魔なのと、微妙な長さの毛先が肩や背中にあたって外巻きに反るのが気になっているんだよな。切りたいけどユナくらいまで伸ばして色んな髪型にしてみたい気もするし、どっちがいいと思う?」

「うーん……そうねえ……短いのも可愛かったけど、せっかくだし伸ばしてみたらいいと思うわ。前髪の方は少し切ってあげるね」

「うん」



 ティナは俺の横髪を固定してから、顔の真下にゴミ箱を持たせて、そのまま前髪を切り揃えてくれた。


「出来たわよ。もう少し伸びたら結えるようになるんだけど、今の状態だと内側の短い所がパラパラ落ちて来ちゃうわね」

「そうなんだよ。なんかいい方法ないかな?」

「リボンで後ろから持ち上げるのは……もう少し長くないとほどけるわね。長い部分だけを横か後で結ってみるとか……」



 ティナはあれこれと俺の髪を弄っていたが、現状ではどうしようもない中途半端な長さということもあって、どうにもしっくり来ずに諦めたようだ。


「やっぱり無理か?」

「ちょっと難しいわね。いっそ外向きにカールしてそういう髪型にしたほうが自然かも」

「仕方ないか。暫くはそれで凌ごう……」


 俺はティナに髪を梳かれて、いつの間にか増えていたティナのお洒落コレクションから小さな造花の付いた少女趣味全開のヘアバンドを一つ貰った。



「……うん、やっぱりミナトにはストレートに女の子らしいのが似合うわね」

「ティナの椅子の中はもういっぱいだな。俺の方は最初にちょっとヘアピンを買った程度だからスカスカだ」

「ついつい自分用じゃない物まで買ってしまうからよ。これミナトに似合いそうとか、ユナだとこれが似合いそうとか……確かこれと、これと……」


 ティナはドレッサーの椅子の中から、俺用に買ったらしい髪飾りやらヘアバンドやらを出して、ここぞとばかりにこっちの椅子へ移し始めた。


「なんか半分くらいこっちに来たなあ……」


 これは毎朝選ぶのが大変になりそうだ。俺は気になってユナの椅子を開けてみたが、こっちはこっちで色んな物が詰まっていた。






 ──ようやく昼を回った頃か。何だか今日は時間の進みがやけに遅く感じる。


「もう他にやることもなさそうだから、夕方までティナにコロコロする」

「いいの? じゃあお願いしようかしら……」


 俺はベッドの端に腰掛けたティナのブラウスを脱がせて、指の先から何度も何度もコロコロを転がした。実はこの魔道具、何度も往復させると効果が重複していくらしい。自分の体で実験済みなので間違いない。

 限界までやると、爪もつやつやに光るくらいの効果がある。


 両腕だけでも二十分近く掛けて仕上げた俺は、ティナの正面から背中に手を伸ばして小さなブラジャーを外した。俺も毎日付けている物なので、外すのは簡単だ。



「もう、前は自分で出来るわよ」

「いいの。今日は全部俺がやるって決めたんだから……」


 俺は胸を隠そうとするティナの手を握って、背中もお腹もおっぱいも全部丁寧にコロコロを這わす。前回自分でやった時は乳首まで丁寧に手入れをしたせいで、恥ずかしいくらいの光沢感が出て正直戸惑ったんだが、ティナにも同じようにしてやった。


「ミナト……あんまりそこばかりやると、ほら……」

「うん、ここは俺も硬くなった。でもすごいきれいになるよ」


 自分でやっている時はあまり見なかったのでわからなかったが、こうして目の前で見ながらやっていると、次第に色艶が良くなっていく過程が見られて面白い。

 普段は毎日風呂場で目に入るものだが、何十分も見続けたり触ったりする機会はあまり無いので、ちょっと嬉しい気分にもなる。



「ティナ見て。俺も同じようになってるけど、もの凄くきれいになってる」


 俺はティナのおっぱいを持ち上げるようにしてそれを見せる。ティナは俺の手に自分の手を添えながら、それをまじまじと確認した。


「……こんなになるものなのね。これは……きれいになって嬉しいけど、ここまで来ると返って恥ずかしいわね」


 ティナも俺と同じような感想を言って、そそくさとブラを着けてしまった。もう少し眺めていたかったが仕方ない。次は足だな。何を隠そう、足は俺が一番好きな部分だ。


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