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魔女の物騒な情報

「海老チリ食べたいから、確保しておけ。

 それと、薫にはケーキと飲み物。女の子だし、甘い物好きそうだから、

 とびきり美味しいものを」


「はい、先生!」


 付き添いだったのか黒髪眼鏡の人は私へ一礼すると、そそくさと料理を取りに行く。

 私にまるで興味がないようだ。

 私の視線に気付くと、北斎は微苦笑を浮かべて、私の頬を撫でる。


「あの人はホンモノの人間。だけど、事情を知ってるだけ。

 僕はこっちで彫刻作ってるんだ、だからその管理をしてもらってる」


「私と同じ年頃にみえるけど、北斎は同じ役職じゃないのかな」


「……――ああ、学生、か。学生ならお休みしてるぞ。それよりも大事な物があるから」


「大事なもの?」


「――魔女捜し。薫、どうしても知りたいんだろ?」


「……知りたいけれど、役職を降りてまで、そんな」


「でもお陰で随分物騒な情報が手に入った。僕は運んでくれた情報総て信じるけど、薫が信じるかどうか決めて欲しい」


 北斎はちら、と皆を見やってから、私へ耳打ちした。


「魔女は、常に薫を監視してるようだ。今も、きっと何処かで見ている」


「どうして?」


「――……誰かが薫を悲しませたら、制裁できるようにだとか」


 怖いよな、と呟きながら北斎は付き添いの人が取ってきてくれた海老チリを口にする。

 口いっぱいに食べる姿は何処か懐かしい、北斎の元の姿であったドラゴンに似ている。

 北斎が食事しながら何か世間話をしようとしたようだったけれど、百合が私に後ろから抱きつきながら問いかける。

 北斎は、少しだけむっとした顔をした。



「北斎、滞在できる時間は?」

「あと10分かな。もう少しで、皆が嫌ってる人達がくる。僕は別に構わないが、君達はあの人達から何か買うと、二時間を超える説教をしてくるからな」


「当たり前ですわ! だって、北斎に売り込む人達皆詐欺師ですもの!」


「さぎし?」


「北斎は相変わらず騙されてるってことですわ!」


「皆きらきらしてて、かっこよかったり綺麗な物を売ってくれるんだ、格安で。あとは、とても身体に良い水も」


「北斎、お黙り! イイかもにされてて、お陰でGPS点けられて常に追われてるじゃあありませんの!」


「一人きりにならないってとても素晴らしいよな」


「話が噛み合わない……ッ!!」


「噛み合う話がしたいなら、そうだな――薫、おいで」


 北斎が食器を置いて、私を引っ張って百合から離れさせる。

 百合が瞬いてる間に、北斎は私を抱き寄せて、頬にキスをした。


「薫が大事なのは、君だけではないと覚えておけ。さァ時間だ、またな薫」


 私が驚いて言葉を失っていると、百合と写楽が同時に北斎を殴ろうとしていて、北斎はひらりと身をかわし、その場を去って行った。


 それと同時に、別の入り口からどどどっと五人くらいの男性達がつんのめりながら、北斎を探していた。


「何処に行った、あのカモは!?」

「くそ、GPSが動いてる。逃げられた!」

「追うぞ、行くぞ。今度こそ、宝石を買って貰わないと!」


 男性達は私達に目もくれず、北斎を追っていったのでした……北斎、どこにいても、騙されやすいのは相変わらず。

 だけど、守ってくれたり警戒してくれたりする人がいるのなら、安心した……安心していいのかな……? 安心であってる……?



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