二度目のキスは、きちんと忘れずに
あれから、甫坂さんと堺さん、それから写楽が北斎の件について相談しあっていたが私の耳には入らない。
私は甫坂さんと写楽を見比べてしまう。
どうして?
なぜ?
写楽がキスをした時に起きた感情の名前を私は知らない。
でも、これは誰でも私にキスをしていたのなら、起きていた感情かもしれないし、特別な感情なのかも判らない。
ただ、一つ、判るのは――写楽が動き出した、ということ。
それまで少し皆に余裕のある姿勢を見せていた写楽からの恋慕は、ブランドのバックをぶらさげるものではなく、愛用のぬいぐるみを誰にも渡したくない子供みたいな独占欲に変化していると気付いた。
(唇の、感触――……)
自分で唇に触れてから、はっとして写楽を見やれば、写楽はにやにやとし、甫坂さんは苛つきを顕わにしていた。
*
帰りの車で、写楽と甫坂さんの三人で帰ることになり、写楽が車を運転してくれていた。
「――先ほど、面白いことをしてましたね」
「なんだ甫坂、見ていたのか」
挑発的な甫坂さんに、挑発的な写楽。
い、居心地悪い。
「もう貴様には関係ないだろう、貴様は薫を放したのだから」
「ええ、でも、そうですねぇ――折角のキスが二番目で、残念でしたね?」
「は?」
「薫のファーストキスは私ですよ、記憶は消しましたけど、薫からしてくれました」
?!!! 甫坂、さん?
一体、なんで、どうし――て?
後部座席にいた私と甫坂さんだったけれど、甫坂さんが私にキスをした。
「なっ?!!!」
「思い出せないようなので、上書きを。……――薫、もう一度、私にチャンスをください。もう、二度と、貴方を泣かせません。気付きました、私は、もう、貴方を他の奴に手渡せない程に愛している」
「ッ魔女、貴様――!!!」
「私はきっと今まで、写楽さん達を侮っていました。決して私から我が神を奪うことはできないのでしょう、と。だから、ふることができた。ふった後でも、我が神は私を第一優先にしてくれるはずだって、侮っていました」
甫坂さんは私ににっこり笑いかけて、手を繋ぐ。
「ごめんなさい、皆様方。もう二度と、侮りませんし、私の薫を譲りません」
私は甫坂さんの顔を真っ直ぐ見られなかった――。
「この方は、もう二度と貴方がたに譲らない。私の、大事な、愛しい人だと気付いたから――」
それはあまりに、大胆な――ライバル宣言。
写楽編終わりです。
北斎関連がごちゃっとしてきたり、甫坂があれあれってなってきましたね。
ちなみに執筆中の現在、百合編ができてません\(^o^)/現在、薫編書いてます。




