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好々爺の思惑


 写楽と二人で堺由樹さんに会いに行くことになった。

 堺由樹さんは、快く約束を取り付けてくれたらしい。

 個展で会う約束をした。


 堺由樹さんは、思っていたよりかは若い見目で、四十代半ばに見えたけれど、本当の年齢は六十代だと事前情報を持っていたので驚いた。


「よく来てくれたもんじゃ……写楽君、少し席を外してくれんかの。二人で話したい」


「薫、オレはロビーにいるから、セクハラされたらすぐ叫べ」


 写楽は目を細め、堺由樹さんに「何かしたら許さない」と暗に脅迫じみた視線を送っていた。



「さて、異世界の魔王どのよ、本当によくぞ来てくださった」


「……私の前世を知ってるのですね。あの絵はどうして描いたのですか」


「お嬢さん、あの絵をどう思う? 自分のことを抜きに、感想を仰ってくだされ」


「何を急に――!」


 好々爺だった表情が一変して、眼光が鋭くなり、真剣みを帯びる。

 怯えるわけにはいかないので、瞳をにらみ返してから、絵を見やる。


「とても風景画みたい。夢や空想からって言ってたけれど、写真を見て描いたみたいだわ」


「ほう? 言葉には続きが隠されていそうですな」


「感覚だけだし、私は芸術には素人だから失礼な言葉をこれから言います。あの絵は、北斎のように好きで作られた作品じゃなく、何か媒体で見たままをそのまま雑に描いて誰かの気を引こうとしてるように思いました」


「君は、甫坂君の知り合いかな? 成る程、君こそが儂が待ち望んでいた人物のようだ。失礼も何もない、全てが正解じゃ。あの絵を夢に見たのは本当である、しかして儂の描きたいものではない。だが、あの絵に興味を持つ者を集わせることが出来る」


「誰を、集わせたかったのですか」


「まず貴方の想像範囲で理解できる人物から、挙げていこうか。北斎、あれは儂の弟子で、一番に来て欲しかったが、まぁ情報を遮断されているようであるな」


「……他には」


「もう一人は写楽君、北斎の兄であるからかな」


「まだいるの?」

「百合といったか、あのしんがぁそんぐらいたぁ、もだな。……それから、甫坂君。最後に君。要するに、あの夢に関わりのある人物だな」


「どうして集めたかったんです?」





「……遠い、昔。儂は、君達に会ったことがあるのだよ」




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