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ハーヴィーの噂

「あとはハーヴィーと魔女だけだね。どこにいるのかな」


 私はわくわくが抑えきれず、写楽と百合を見つめる。

 二人は期待しているのを察知すると――微苦笑を浮かべた。


 どうしてそんな笑みを浮かべるのか判らない私は不安になって、

 写楽と百合の衣服をつい引っ張ってしまった。


 二人は顔を見合わせてから、決意した顔で私を見つめる。


「薫、ハーヴィーは心配ない。相変わらずあいつは騙されやすい。

 今も贔屓にされてる詐欺師がいるくらいだ、まったく……。

 ただ、魔女は――行方知れず、だ」


「誰も魔女様と連絡が取れませんの。どなたになったのかすらも判りませんわ」


「一番魔女の行方を知っているのは、ハーヴィーだという噂もあるが、

 あいつは絶対口を割らない。

 あいつは不器用だから、どうせ、魔女だと確定できるまで期待させられないから教えない、とかだろうな。候補がいたとしても」


「……魔女は、私に会いたくないのかな」


「それは判らん。魔女が何を思っているのか判らんが、勝手に気持ちを決めるのも好かん」


「写楽! ナイーブな魔王様に言い過ぎですわ!」


「オレは人の気持ちを、他人が決めると思い込んでる奴が嫌いなのだよ」


 本人に直接会って聞けってことかな。

 魔女が見つかるまで諦めるなって言いたいのかな。

 だとしたら、不器用な慰めは写楽だと思うけれど、何だか微笑ましくなった。


 写楽は先ほどの機械を取り出して操作すると、私の手を引っ張った。


「行くぞ、パーティーの支度が調った。ハーヴィー……五十嵐北斎いがらしほくさいもいる」


「ハーヴィーの名前、相変わらず聞く度に、苦笑いでますわ……写楽に北斎」


「オレを入れてくれるな」


「此方では兄弟、でしょう? あちらでもお顔似ていましたし」


 ふと私は、あのハーヴィー……北斎が、何をしているのか気になった。

 騙されやすいから、ありとあらゆる役職に向いていない気がする。

 勇者に絆されて写楽の大事な人を攫う計画を台無しにしてしまったこともあったし。


「北斎はこっちで何をしているのかな」

「……それも本人に聞いたほうがいいな」


 写楽の笑みは、どこか寂しげなものだった。




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