言葉の真意を振り返れば
「へぇ、これが現代の芸術家の工房なんだ!?」
美鶴を北斎のアトリエに連れて行くことに。
北斎のアトリエでは、北斎と甫坂さんがいるらしく。
チャイムを押せば、甫坂さんが出てきた。
「こんにちわ、魔王様を倒してくださったくそ生意気な魔法使い様」
「うわぁ、魔女サンの毒舌久々に聞いたなぁ! あはは!」
え、人間相手には甫坂さんはこんな喋り方する人だったの!?
美鶴は全然ダメージ受けていないから、これが敵対するときの通常運転だったのかな。
「先生にも参ったものです、嬉々としてこんなくそ馬鹿と会いたいだなんて」
「魔女……?」
「ああ、すみません、薫さん。これは、私の性分というやつでして。
向こうで人間だった奴を見ると、自然とこういった言葉が出てしまいまして。
あ、勿論薫さんや現代人には向けません! 安心してくださいね」
ちっとも安心できないのだけれど。
「北斎は今作品作ってるの?」
「いえ、それが――詐欺師の方々から買った、幸運のマーライオン彫刻の置き場で悩んでます……」
「あれだけ禁止されていたのに、買っちゃったの!?!」
私は驚いて、北斎のところへ駆けつける。
北斎はベランダにマーライオンの彫刻を置いて、惚れ惚れとしていた。
北斎にたたみかけるように、詐欺師三人衆がセールスをしている。
「北斎先生、こちらは何と純金を使ったペンダントで贈り物に最適でして……」
「此方は長寿を目指せる健康なお水です!」
「この素晴らしい光沢こそ、先生に相応しい万年筆です、お値段は……」
「北斎! アトリエにはこの人達来ない約束じゃ……」
「あ、薫。うん、今日は僕から呼んだんだ。薫との恋にいいものはないかって」
「その結果のマーライオン!?」
「恋のお守りに素晴らしく効くらしい。実際効いたな、今こうやって薫がきてくれた」
純粋に人を信じる北斎に、力が抜けていく――それと同時に、詐欺師三人衆に苛つく。
こんなに純粋な北斎を騙し続けても、良心が痛まないとでも?
疑うことを知らない北斎も悪いけれど、欺し続ける相手も相手じゃないの?
「皆さん、警察呼びますよ」
『失礼しましたー! またのごひいきに!!』
「まったく……北斎には、私がついてないと駄目ね」
「薫……どうしてだ? どうして、皆あの三人を厭うんだ?」
「あのね、あの三人は法外な値段で、貴方からお金を奪おうとすることしか考えてないの!」
「そんなことないぞ、最初こっちの世界で皆と出会えなかった頃に、世話になったんだ、あの人達には」
そういえば、最初に出会った頃に北斎はあの三人にGPSをつけられることに関して――気になることを言ってた気がした。
『一人きりにならないってとても素晴らしいよな』
あの言葉の真意について、考えたことがなかった。
北斎編はじんわり暖かくなる、はず……!




