鍵の行方
「薫」
「ハイ」
写楽の丁寧な声色に、びくっとしてしまう。
にこやかに笑っているのに、目の奥は笑っていない。
「どこで、出会った?」
「クリスマスの日デス」
「あらぁ、随分ロマンチックな日の出会いですこと。あたくしがッ、薫をッ、口説けなかった日だっていうのに、勇者の元仲間は会えたのね!」
「百合、嫉妬は置いておけ。僕にはそれよりも気になることがあるんだ、何故勇者の仲間は僕に会いたいと言ってきた?」
「美しい物を知りたいって言ってたから、私が紹介したかったの。私にとって一番美しい物を作っているのは、北斎だったから」
北斎の表情がみるみると明るくなっていった。
怒りが解けてくれたので、私はほっとして、北斎にちょっとだけ近寄る。
他の二人、怖いんだもの。その動作にも北斎は嬉しげだった。
「北斎! 薫の言葉だからといって、絆されるな」
「だって! 僕の作品を美しいと自慢したがったんだぞ、薫が! なんて可愛いんだ!」
「北斎思い切り抱きつかないで、ちょ、ちょっと、苦しい!」
「これじゃ薫の龍じゃなく、薫の犬ですわね」
「何とでも言え! 自慢されるんだぞ、薫から! 僕の作った物が一番だと! いいだろう、お前ら」
「正直に言うと羨ましいですわ、もう!!」
「――オレは、魔女が大反対すると思うけどな」
「君も、でしょ。写楽、目が怖いもの」
「そうとも、魔女と協力して北斎と会わせないようにしてやる」
「写楽! 僕が勇者の仲間になると思っているのか、信じられないのか」
「思っている、貴様は現に騙されて秘密の作戦を一度教えてしまっただろうが!!」
「勇者の仲間、ですか」
「きゃあ!」
蜂蜜スープを紙コップからぐびぐび飲んでる甫坂さんが、私の後ろから現れたので驚いた!
甫坂さんは、瞬いて驚いてから笑って、うーんと小首傾げていた。
「勇者の仲間が此方の世界にきたんですか、成る程……」
「どうしたの、魔女」
「いえ、おかしな話ですね。魔物の皆様は、私という鍵があるので、納得はいくんです」
「判りやすく教えてくれ、甫坂さん」
「はい、先生。通常鍵がかかってますよね、扉には。魔物の皆様は、私が鍵をあげたから、扉を通れました。勇者はその鍵をどうやって手に入れたのでしょうね?」
『あ……』
「手はありますよ、手は。一つ目は私が鍵を渡すこと、二つ目は勇者にも鍵を渡せる人がいること、――最後はあまり考えたくないですが、勇者から見て敵と認識されて死んだ故に鍵を手に入れたこと。つまり、魔物側とみられる行為をしたということになりますね」
「……甫坂さんは、美鶴に何か思うことがあるの?」
「当人に会わなければ何も言えません。ただ、少し、鍵の入手方法は気になります」
どったんばったんしたい欲が高まる 。・*・:≡( ε:)いったいいつどったんばったんできるんだろう!




