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美鶴と昔話

 大晦日に、美鶴と一緒に、今年最後の買い出しに出かけていた。


 近所同士だからなのか、親同士が仲良くて、「あら、知り合いだったの、それなら一緒に買い物してきて」と二人して追い出された、というわけ。



「ねー、ねー、この世界で一番美しいものって何かな」


「目に見えるもの?」


「うーん、目に見えるような、目に見えないような。どっちだっていいんだけど、僕はいつだって世界で一番美しいものを知っておきたいのさ!」


「美しいものなら、そうね。私の部下もこの世界に転生していて、芸術家だけど……」


「芸術家!? わお、そりゃ最高だね! 是非見てみたいものだよ! どの魔物だい?!」


「貴方たちが以前騙してくれた龍よ」


「あー……ああ、あの龍か。あの時は悪いことをしたなぁって皆で嘆いたんだよね。いや、自分たちに正義があるっていうのは揺らぎなかったんだけどさ、あの龍は敵なのに僕らの話全部疑わないでさ。逆に罪悪感でいたたまれなかったよ! 僕のパーティの一人なんか、夢で泣いてる姿見たって落ち込んでいたしさ!」


 北斎の騙されやすさからの罪悪感は、人間にも有効的だったようで、少し笑っちゃう。

 一緒にスーパーに入りながら、野菜の鮮度や、買い物で頼まれた物のついでにお菓子も籠に入れてしまう。

 お菓子を買うのに躊躇いがなくなったのは、少しおかしいことかな。


「そういえば、魔王側についていた人魚の子なんか、とびきり美しかった! 勇者でさえもくらくらしかけたけど、女性陣にぶっ飛ばされて目が覚めたっけ」


「今は男になってるよ」


「へ?!!!! あ、あの綺麗な女の子が?!!! そ、そんな……ばばばばば馬鹿な……なんてこの世は残酷なんだ……世界遺産損失レベルの綺麗さだったのに」


「吸血鬼の魔物は覚えてる?」


「ああ、とても倒すのに苦労したのだけは覚えてる。あ、あと、龍の魔物が人になっていた時の顔にすっごい似ていたから、罪悪感リターンしたよね!!」


 皆の思い出話ができるのが嬉しくて、何となく私は美鶴と皆を会わせてしまいたくなった。


「そういえば、魔女サンもいたよね。中々表舞台にこない敵だったなぁ」


「うん……皆、こっちの世界にいるよ」


 魔女の話を聞く度に、少し胸がつきりと痛むけれど、何とか笑ってみる。

 買い物をあっという間に一緒に終えながら美鶴と帰路につこうとしていたが、美鶴が美しい物が見たい見たいと五月蠅かったので、今度北斎のアトリエに連れて行くことを約束した。

 北斎が許可してくれれば、だけど。

どたばたさせたい……_(:3 」∠)_


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