予測できた涙
甫坂さんに会いに行こう。
全て、甫坂さんに会いに行ってから、決めよう。
皆の好意より、美鶴の言葉通り本能で動くのならまずは、甫坂さんから――魔女からなの。
魔女に、ずっと言えてなかった。
ずっとずっと言いたかった言葉があった。
夜の坂を駆け抜ける、坂を登って、角を曲がれば北斎のアトリエ!
冬なのに、走っているからか、身体が温かい。でも指先は冷たい。
今は、呪いが解けた今は!
今は覚悟なんてものもなく、ただこの思い一つで、伝えたい言葉がある。
きっと皆が、「自分で考えて呪いをどうにかしてこい」って言っていたのは、皆にはこの言葉が見えていたからね。
私が、魔女にどういう思いを持っていたのか、知っていたから歯痒かったのね。
アトリエのインターフォンを押す。
「話したいことがあるの、甫坂さんに」
玄関から出てきたのは、北斎で、渋い顔つきだ――最初は私を門前払いしようとしていた、顔つきだった。
でも私の真剣な顔を見て、ほんの少しだけ微苦笑を浮かべて、「すぐ傍の公園に甫坂さんはいるぞ」と教えてくれた。
北斎がどんな表情をしているか、見てはいけない――きっと見れば、私は決心が鈍るから。
「有難う!」
御礼を言って、アトリエの近くの公園に行けば、甫坂さんが缶コーヒーを飲んでいた。
「――この日が来ましたか」
「ええ、貴方が、貴方が魔女でしょう?」
「――如何にも、その通り。貴方様のお探しの魔女です」
「……――魔女、あの、あのね。……私、呪い解けたの。解いてくれる人がいたの。
だから、もう言って良いよね……?」
甫坂さんが何かを言う前に、私は飛びつくように抱きついて、少しだけ涙が零れた。
言葉を告げることのできる喜び。
「貴方が、好きです」
――それから。
「――ごめんなさい、魔王様。お応えできません」
予測できた、解答に、涙が溢れた。
こういうジャンルって失恋ありなのかな?
でも個人的には、魔女にふられてからが、写楽、北斎、百合への思いに気づけるんじゃないかと思います。_(-ω-`_)⌒)_




