同郷の転移者
クリスマス当日。
百合は仕事だし、他の皆も仕事。
北斎は冬休みに入ったからには彫刻に本腰を入れさせたいと、甫坂さんから暗に「会わせませんよ」と言われた。
一人ぼっちのクリスマス。
公園でぽつんとしてしまう。寒いのだから、早く帰れば良い。
現世の友達に声をかけて、遊んだりすればいいのに。
喫茶店に入って、暖かい珈琲でも飲めばいいのに。
どうしてか、一人になりたかった。
皆にあげようと思って作っていた、クリスマスプレゼント。
私がこれまで撮っていた写真のアルバム。
写楽は最初の頃は鬼のような表情ばかりだったんだね。今は和らいでる。
百合は可愛い表情ばかりだったのに、最近は雄々しくなっている。
北斎は――ずっとずっと、変わらない。
「北斎は、優しいね」
結局私を追い出したり、皆を一番に気遣って対策をしてくれた。
一番に嫌な役目を自らしてくれた。
でも、不思議だね、御礼を言う気になれないんだよ。
だって、皆と会えなくて寂しい。
「皆と、遊びたいよ。ずるいよ、何で皆で先に走っちゃうの……」
私だけが、恋心というもので遊べない。
ぐすぐすと泣いていると、一人の男性が声をかけてきた。
青色の髪の毛という目立つ見目で、学ランを着ていた。
「あ、あの、すみません! 泣いてるところ申し訳ないのですが、ここは、ブレッドシザー街ではないのですか!?」
「……ブレッドシザー街って……まさか」
「その反応ご存じなんですね!? ああ、よかった、やっと帰れる……!」
「あ、あの――それは、この世界にはありません」
「へ?! じゃ、じゃあここは何処なんですか?!」
見目に覚えがある――この、男は……。
「貴方は、勇者のパーティにいた魔術師の方ね?」
「……――僕を知っている、の……? き、君は誰なんだ!?」
「お久しぶり、魔王の――嗚呼、発音できない、名前が。向こうの世界で倒された魔王よ」
「……魔王、だって?!」




