表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/66

大混乱北斎


 百合の控え室を三人で探していた。


 甫坂さんは保護者として、北斎は私よりかは建物になれていた。


 三人で百合の控え室を見つけて、ノックをしようとする直前、怒鳴り声が聞こえた。



「その日は絶対に休みが欲しいって言ったじゃないっすか……!」


「しょうがないだろう、仕事なんだ! 文句があるなら、社長に言え!」


「どうして……ッ、ああ、もう!」


 今にも泣きそうな声が響いたので、私と甫坂さんは顔を見合わせて様子を窺おうか悩んでいたのに、北斎が空気を読まず扉を開く。


「百合、化粧ぽぉち届けにきたぞ」


「ちょ、ちょっと北斎、今は……」


 空気が悪そうだよ、と言おうとするも、ぼろぼろ泣いてる百合が、私を見つけるなり突進してきて抱き締めてきた。


「薫ーーーー!!! 聞いてくれよ、クリスマスの予定、仕事になっちゃった……!」


「百合、苦しいよ、百合」


「だって、俺、クリスマス楽しみにしていたのに……!」


 ……百合にちょっとだけ違和感。


 あれ、百合って……こんなに雄々しい表情する人だったっけ?


「大方儲かるから、写楽が予定を年末年始終わるまでびっちりいれたんだろう」


「あの鬼畜……!! そんな、酷いよ、俺、色々クリスマス考えていたのに!」


「……百合、なんだその喋り方は? 何となく不思議だ」


「え? ああ、ええとね、こっちでは男だからそろそろ男らしくしようと思ったんだ。


いつまでも女の子ぶっていても、な。それに、男でもいいかなってそろそろ思い始めたから」


「……――まさか、百合。お前は……」



 北斎が目を眇めて、私を百合から離そうと引っ張る。


 百合は私に抱きついたまま離れないから、身体が痛い。



「痛いから、痛いから!」


 背中をばしばし叩くと、百合はようやく渋々と離してくれた。


「薫、百合に近づいたらいけない」


「どうしたの、北斎。急に……」


「――すっかり忘れていた、こっちの世界では百合は敵なんだ。薫に関しては」


「……? 私に関すると、敵なの?」


「うん、敵だ。百合、教えろ、お前が拘るクリスマスに何があるのか!


 薫もクリスマスって浮かれていた! なんだ、チキンとケーキの日じゃないのか!?


 僕の知らない何かがあるなら、ずるいぞ、フェアじゃない!」


「イエス様の降誕祭です」


「そういう意味で聞いてるんじゃない、知ってるぞそれくらいは!」


 甫坂さんの言葉で、北斎は益々苛立つ。


「はっ……そうか……そういうことなのか、これは……あれだな。クリスマス、とは……陰謀説」


「違う、違うよ、北斎。ちょっと落ち着こう」


 百合の控え室で映像が流れていたテレビが、クリスマス特集へと変わる。


 アナウンサーの言葉が、控え室に響き渡る。




『クリスマスといえば、イルミネーションが綺麗でデートにぴったりですよ。ホワイトクリスマスにでもなれば、恋人達の日にぴったりではないでしょうか!』


「こいびとの日……」


「ほ、北斎、家族と楽しく過ごす日でもあるから」


「なんだ、なんなんだクリスマスとは! 恋人の日であり、家族と過ごす日?! 尚且つケーキが美味しい日!?」


「先生、イエス様の降誕祭でもあります」


「だからそれは知っている!! 甫坂さん、どうしてだ、何故そんなどや顔をしている?!」


 北斎が、混乱で頭パンクしそうだったから、百合に忘れ物を渡すと、北斎の手を引いてそこから立ち去る。


「忘れ物確かに届けたから、頑張ってね、百合。行こう、北斎!」


「うーん、うーん。ケーキと家族でイルミネーションファイヤー……」


「先生、イエス様を忘れないでください」


「甫坂さん、今は駄目です、忘れさせてあげて」








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ