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笑みが引き攣る

「なるほど、子供のような理由だ」


 ただでさえ仕事で疲れてるだろうに、どんよりしている二人を見た写楽は、笑みを引き攣らせて私に理由を問うた。


 理由を話せば、今の言葉を漏らして、笑みが更に引き攣ってやや怖い。


 北斎は、儚い人イコール花と思い込み、詐欺師の人達から花畑を買おうとしたところを甫坂さんが止めてくれた。


 百合は、儚い人イコール悲恋の歌が上手い人だと思い込み、


即興で歌を作るも内容が「貴方を殺して自分も死んでやる」系……


ヤンデレの歌になり、甫坂さんが相談を引き受けてくれた。


 偶然北斎の作品を受け取りにやってきていた甫坂さんに感謝してしまう。


 写楽も同じようで、リビングで一息ついてどんよりしてる二人を気遣う甫坂さんへ、合図を送り、私と一緒に写楽の部屋へ。



「愚弟がいつもお世話になってます、すみません、手を焼かせてしまい……


ご覧の通り、落ち着いた外見の割には、どうにも幼い。アレは」


「いえいえ……その幼さの発想から素敵な作品ができてますからね」


「次の作品は――春のような花をイメージ、でしたっけ。そうだよな、薫?」


 写楽の何気ない言葉に、少し何かが動かされた感覚がしたけれど、私は大人しく頷く。


「そう、春。最初は息巻いていたのに、私が泣いたからって却下するって言い出してて……」


「――デザインを見たときは、これこそあの方の真骨頂だ、とも思えるほどの出来だったんですけどね」


 写楽は淹れたお茶に手を伸ばしながら、目を細める。


「オレにはいまいち、あいつの作品の良さは判らなくてですね。


今度、皆に北斎の作品の良さを教える時間でもくださいませんか?」


「勿論イイですよ。


ああ、ではこの辺で私は――それでは、失礼します。夜分遅くまでお邪魔いたしました」


 甫坂さんが帰ると、写楽は目を眇めてじっと玄関を見つめていた。


「――計画を、立てないとな」


 写楽は私を連れて、リビングへ戻る。




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