第四十七話 ダンジョンアターーック⑩念願の○○を手に入れたぞ!というすばらしい問題です。
生産回を入れすぎたため予定の12話でも終わらないので
少し伸びます・・・。
インゴットの準備が終わり製作一覧画面から槍の穂先を選ぶ。
何故穂先だけかというと、先ほどリュウから連絡があり品質の高い棍ができたのでそれに穂先をつけて自作の槍を作りたいという希望が出たからである。その際属性はつけて良いかを聞くと、二つ返事で頼むといわれている。
「リュウの持ってる剣が風属性で火はリーシャが使える。地属性はマキノさんが使えるし光と闇はそれぞれリリーナとユーリアさんが使える……となると残るのは水/氷ってことになるから氷属性の穂先で良いわね」
メンバーの持っている属性を思い返しながら不足している属性を補う構成にする。
黒鉄鉱と蒼石、蒼石から属性を移譲した真鉱石とダンジョンで手に入った魔剣の残骸を使い作ったこの
『魔蒼石のインゴット:魔剣の残骸と属性が多く含まれたレアメタル。魔剣を材料にしている為高確率で属性が付与される。品質120』
「うん。いいのができた。後はコイツを穂先に加工してっと・・・完了!」
『蒼魔の穂先:伝説の魔法金属ミスリルに匹敵するほど魔力に適正のあるレアメタルで作られた槍の穂先。品質120』
「我ながら良いできです。そしてこの作成で職業経験値が大きく増えましたし。後数本作ればLVが30になりますね。あとはリュウに連絡とっておきましょうか」
サチは穂先が完成したことを伝え、取りに来るというのでしばらく待っていると入り口がバァァンと開き、リュウが現れる。
「お・・おぅ!取りに来たぜ。早速見せてくれよ。代わりに俺が作った棍でもみててくれ」
「リュウったら、そこまで期待してたのね。連絡してから2分も経ってないわよ」
サチは愚痴を言いながらもトレードを開き、穂先をリュウに渡す。それを見たリュウは嬉しそうにいう。
「サチはあいかわらずすっげぇのつくるなぁ。まあ今回に限って言えばありがたいけどな。俺の作った棍が品質95だからよ。接合に成功すれば品質100は堅いって事だしな。てことでよ、早速作ってくるぜ。
………あぁわりぃ忘れてた。お礼代わりといっちゃなんだがここの素材で俺が作ったアクセサリなんだが良かったら使ってくれ。じゃあな!サンキュ~」
リュウが素早くサチへトレードウィンドウを開きアクセサリを一方的に渡すと足早に去って行った。
「あ!ちょっとリュウ!……もぅ、いきなりなんだから。それにギルメンなんだからお礼なんていらないのに……。」
そういいながらもサチはリュウからアクセサリを貰えた事を喜んでいたようで顔がほんのりと朱に染まっている。サチはリュウからもらったアクセサリを鑑定する。
『トゥルーアイスサークレット:氷樹を加工に加工を重ね最高品質部分だけをより分けて作成された手間隙をかけた心のこもった額保護用のアクセサリ。耐久補正+大・魅力補正+大・知力補正+大
品質100』
「………なによこれ!すごいわ。私みたいに称号効果なしでそれこそすごい時間かかって作ったんだろう事がよく分かる造りになってる・・。それに効果つきで私の種族のマイナス補正を激減させてくれてる。……ありがとうね…リュウ」
予想外の出来事があったがそのおかげで気分よく鍛冶作業に入るサチ。次々と武具を作ってはアイテムボックスへ放り込むを繰り返し、10本ほど武具を造った時にお待ちかねのお告げが現れました。
ポポポーン
『鍛冶師のLVが30になりましたので上級職である【マスタースミス】へ派生転職が可能になりました』
『鍛冶師のLVが30を超えかつ称号【氷の王の加護】を持っているため【王宮鍛冶師】へ転職可能になりました』
『鍛冶師のLVが30を超えかつ称号【氷の王の加護】と【錬金術師】のLVが30を超えているため
【魔法鍛冶師】へ転職が可能となりました』
「あ……っれぇ?またいろんな職業が出てきた。とりあえず職業説明の補足見てみよう。」
【マスタースミス】:鍛冶師をそのまま特化型に仕上げた職業。武具作成時にボーナススキルが付きやすい。最上級鉱物ですらノーコストで加工できるようになる。
【王宮鍛冶師】:王のために様々な装飾の付いた武具を造る職業。鍛冶師としての武具だけでなく細工作業も可能となる。煌びやかな装備を作成時にボーナスが必ず付く。
【魔法鍛冶師】:錬金術と鍛冶を併せた作業を得意とする。魔法武具・道具に特化され魔石を武具に合成時に別の特殊効果を任意で付与することができる。
「ふむふむ。それぞれ武具特化・装飾武具特化・魔法武具特化って事だわね。
っと、それよりも鍛冶師のほうのオリジナルスキル習得しなくちゃね。NPCさんのところへ行こう。」
サチは思い立つやいなや錬金術師ハスランを紹介してくれたNPCの元へ向かう。
「おや?ほぉ!?貴女は既に職人として2つもの上級の道を拓いたのですね。貴女の様に有望な方でしたらまずは鍛冶師長レイラムさんのところへ顔を出し、技術の取得をした後に私の元を尋ねて頂けますか?」
「ふぅ~。次は鍛冶師のレイラムさんですか。それにオリジナル取得後にNPCさんの元へ出頭要請があるなんて……。こんな情報あったかしら?とりあえず掲示板を確認しましょうかねぇ」
10分後掲示板を見終わり………
「ないわね。他にも条件を満たしてる人のコメントも確認したけど普通の対応だったって言ってるし。
ということはこれってやっぱり私の称号効果によるクエスト発生なのかしら…」
取引掲示板に先ほど作った装備の目録を載せておき町に付き次第取引をするという流れで書込みをしておきましたからきっと売れますよね。
書込みが終了し、鍛冶師施設の鍛冶師長レイラムの元を訪ねたサチはハスランのときと同様にクエストを頼まれる。
一つ目は特殊効果のついた装備の納品。これは手持ち装備で達成完了。
二つ目は品質が80を超え、魔法金属を含んだインゴットの提出。だったが魔剣の欠片と鉱石素材でインゴットを作るとあっさり条件を満たすことができた。
三つ目はレイラムが見たことの無い装備、もしくは品質値が高い中級素材以上の物で作られた武具である。このクエストについては2つ目の条件で作ったインゴットと属性の付いたインゴットを併せて作った氷の魔法剣を提出するとレイラムの顔が青くなるという事態に陥った。
「ぐぅ……見事!まさか私が見たことの無い武具を持ってくるとはいやはや末恐ろしい女子だな」
ポポポーン♪
職業鍛冶師にスキル【オリジナル鍛冶】が追加されました。
※このオリジナルスキルによりインゴット等の素材の配合比率や量を細かく設定できるようになりました。まずはレシピありの装備で比率を変えて練習することを提案します。
なおオリジナル鍛冶は失敗時に使用中の道具が壊れ増すので常に替えが利くように用意しておきましょう。
「オリジナル鍛冶は錬金と比べて失敗時のペナルティが少ないようね。これは安心ね。」
ここで漸く生産職のオリジナルを取得しここで手に入れたレアアイテムを自分の専用武器に加工できる準備が整ったサチは今までに手に入れたレアアイテム素材をアイテムボックスから取り出す。
「炎蜥蜴のヒゲ、氷龍のひげ・蒼月銀・真紅岩鉄といったレア素材。
これを加工し私専用の武器に生まれ変わらせるのです。
フフフ。構想はもうすでに完成してるので後は失敗無く作るだけ。
できれば魔石も使いたいけど、魔石の取り付けは後からでもできるから良いかな…。」
上記にあげた素材以外にもつなぎに使うもの。生産施設内で出会った革職人さんから買い取った秘密のアイテム(すぐに明らかになりますけどね)、錬金施設に戻り属性移譲した素材達。
「さてと~はじめましょうか~。称号は【絶対的幸運の】へ変えてから、スキル【オリジナル鍛冶】発動!」
スキルを発動すると、目の前に大量のウィンドウが表示される。
作成武器の種類、素材の属性値メーター、素材を測る為の分量計、重心位置、更には専用装備か汎用装備か、細かい設定画面をきっちり整えサチが思い描く姿が表示されるまで思考を重ねる。
試行錯誤を重ね、ようやくサチの望む形、性能が表示されて喜びをかみ締めるサチ。
後はこの通りに寸分の狂い無くハンマーで叩くだけである。鍛冶師のスキル【渾身の一打】を何度も使い
1時間が経過し一つ目の装備が完成する。
2つ目の装備はその2時間後、3つ目はその2時間後。それらを併せた4つ目が完成したのは計5時間後であった。
『真紅手甲:真紅岩鉄と魔法金属を絶妙な比率で加工し作成されたこの世に同じものは2つと存在しないといわれるほど美しくかつ獰猛な見た目をした手甲。攻撃力もさながら観賞用としても人気が出ること間違いなし。
※サチ専用。全ステータス補正+大。品質120』
『蒼空扇:蒼月銀をベースにした見た目癒し系な色彩で空を舞う鳥の描かれた扇。ただし見た目とは裏腹に現時点で最硬の魔法金属で作られており攻撃力・美しさの面では他の扇の追随を許さない至高の逸品。
※サチ専用。全ステータス+大。品質120』
『 双龍の協奏曲:炎蜥蜴のヒゲ、氷龍のひげのしなやかさと弾力、丈夫さを活かしさらに素材自体の属性効果を引き上げた同じものは2つと作れないと言わせしめる逸品。
攻撃時炎属性と氷属性を帯びる。
※サチ専用。全ステータス+大。品質120』
『秘されし者の暗器群:真紅手甲・蒼空扇・双龍の協奏曲を組み合わせ暗器のセットとしたもの。
単体では目立つ武具ですらも誰の目にも止まらず行使する事ができるという至極のセット。
裏の生活に疲れたアナタもこの暗器で永久なる眠りにつける事だろう。
※戦闘中一対象に10秒以内に全ての武器を使用した攻撃ヒット時に即死効果付与極大。(ボス無効)
※サチ専用。全ステータス+極大。品質120』
「燃えた・・・燃え尽きたよ・・・」
サチは全ての武具の製作が終わりグッタリと床に倒れている。その姿はまさに精も根も尽き果てたというにふさわしい。周りの生産職人達もそんなサチにどういった対応をするか決めかねているようで近寄ってくる気配は無い。それに甘えてひたすらに地面をゴロゴロところがるサチ。
「もぅ!おねぇちゃん!こんな所でゴロゴロしないの!皆が困ってるじゃない!」
「だって~やっと私の専用武器が完成したんだよ?気力使い果たしたんだよ~。しばらくは動きたくなーい。」
注意するリーシャに対して反撃をするサチ。リーシャはしばらくその場で何とかする方法は無いか考えこみ、何かを思いついたのか施設のほうへ向かって走り出し、それを見送るサチとサチの眠り込み(すわりこみ?)を目の保養としてみていた生産職人達。
「はーい。おねぇちゃん動きましょうね~。早く自分で動かないと~……」
そういいつつ戻ってきたりーシャの横には、リュウとドンさんがいた。
その様子でサチは嫌な予感を感じたのかスッと立ち上がり、スススッとリーシャから離れる。
「あらーおねぇちゃん動いちゃいましたね。残念でしたねリュウさんもドン=ファンさんも」
「あのーリーシャ?参考までに聞くんだけど私が動かなかったらどうなってたのかしら…?」
サチのその恐る恐るといった聞き方に対してリーシャはニマーと笑いこう続ける。
「も・ち・ろ・ん。おねぇちゃんをこの二人に運んでもらおうと思ってたに決まってるよ」
「と……飛び起きてよかったぁ。リ、リュウだけなら大丈夫だと思うけど、ドンさんがいたら多分ダメだったよ。」
過去に男性関連でいやな目を見たサチは男性恐怖症であるため、TCOというゲームの中でも拒否症状が出ると予想できたのだ。だけど今までリーシャはサチに対してこういった嫌がらせじみたことはしなかったため、なにか引っかかった気がしたが、しばらく考えても何も思いうかばなかった為思考を放棄した。
サチの前言を聞いたことでリュウは嬉しそうな表情でかつ少し紅い顔をしていたがどうしたんでしょうね。
「それよりおねぇちゃん!おねぇちゃんのためだけの防具作れたよ。着てみてよ。」
考え事をしてる間にリーシャの中では先ほどの出来事は完結したようで先だって言っていた私のための防具の試着をお願いされた。すぐにトレードウィンドウを開き装備を受け取る。そして装備ウィンドウへセットすると一気に服装が変わった。
その姿はまさに神々しいの一言に尽きる。
白と朱で構成されたコントラストがサチの素材を更に引き立てる。生産に集中していた職人ですら二度見をするレベルだから仕方ないだろう。
「それで、な・ん・で・私の見た目装備が巫女服なのかな?」
「えっと~私のインスピレーションが働いた結果こうなった……としか~てへっ」
「ま・・まあ可愛いから今回は許してあげるわ!次の装備はもっと綺麗系にしてくれないとだめだからね?それで戦闘用装備はどれなのかな?」
サチの言葉にリーシャは一瞬躊躇したがトレードウィンドウに装備を載せ終了させる。
サチはそのまま装備をウィンドウへセットし変更コマンドを押す。
「え・・えぇ!?な、なによぉぉぉこの服ぅぅ~」
サチの可愛いながらも悲しみも混ざった声が回りに響くのだった。
名前 サチ(♀)
種族 獣人種猫又族
職業 格闘家LV35・鍛冶師LV32・錬金術師LV31・女帝LV21・〈空き〉・〈空き〉
選択可能職業 〈投擲手〉・〈投擲具職人〉・〈修道尼僧〉
〈拳聖〉・〈龍拳師〉・〈聖拳師〉・〈マスタースミス〉
〈王宮鍛冶師〉・〈魔法鍛冶師〉
称号 アクティブ
〈駆け出しの〉・〈絶対的幸運の〉・〈無望な〉・〈姫の〉・〈覇者の〉 ・〈怪しさ満点の)
称号 パッシブ
〈試練を超えし者 (パッシブ)〉・〈氷の王の加護 (パッシブ)〉
スキル 格闘家 ;〈ラッシュ〉・〈ダッシュ〉・〈コンボ〉・〈ロック〉・〈エアリアル〉・〈発頸〉
鍛冶師 ;〈鑑定〉・〈鍛冶〉・〈採掘〉・〈固定レシピ化〉
〈看破〉・〈渾身の一打〉
錬金術師;〈鑑定〉・〈錬金〉・〈採取〉・〈分離〉・〈素材属性委譲〉・〈素材合成〉
女帝 :〈ひれ伏しなさい〉・〈オーホッホッホ〉・〈貴女何様なのかしら?〉・〈あんたの物はあたしの物〉
装備 武器:秘されし者の暗器群
頭:トゥルーアイスサークレット
体:真鋼の胸当て
腕:真鋼の手甲
足:真鋼の脛当て
アクセサリ:試練のネックレス
アクセサリ:無骨な三錆リング(赤)
所持金185450R




