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第四十五話 ダンジョンアターーック⑧ モンスターハウスは蜜の味?といった問題ですね。

本日投稿3作品の1個目です!

実は3作目で完結しなかったので続きはまた次回に・・。

 5階のナゾの石像については謎のままサチ達は7階へ続く階段の前でいつもどおりのミーティングを済ませ、7階のエリアをどうまわるかを決める。


 「確か7階は南西方向に8階への階段があって、東の方向から反時計回りに回らないとたどり着けないようになっているわ。なので東から南西に向かっての探索は既にどのPTも終わらせているので私達は西から反時計回りに探索すれば効率良く探索できるはずよ。モンスターはガス系統の無形モンスターが多いみたいだから魔法力は切らさないように気をつけて!」

 ユーリアさんがいつも通り自分の意見も混ぜて説明してくれた。


 「それじゃあ、探索方向は西から反時計回りに隅々まで回りましょう! 7階ここも踏破率100%にするわよ!」


 私の声掛けに全員がおぉ!と返事をし気合が入った所で7階へ侵入。

3階よりも継続ダメージによる減少効果が3階よりも多く2分で3%の減少効果が見られた。


 サチたちが西へ向かい始めて5分も経たない内に現れたのが〔フレアクラウド〕というガス系統モンスターと〔ボルケイノワーム〕というミミズのようなモンスターである。

 前者は空中をフワフワ浮きながら、炎系統の魔法攻撃と触れた際に精神力を吸収するという種族効果を持ったモンスターだが総じて自属性以外の魔法攻撃に弱い特性がある。

 後者は地面に潜り土の中あるいは溶岩の中から飛び出し飛沫による範囲攻撃を仕掛けて来る意外とイライラさせてくれるモンスターで、このミミズも打撃攻撃は聞きにくい特性を持つ。


 「ユーリアさんはガスの相手よろしくね。リーシャは治療師の回復メインでお願い!

リュウはミミズの攻撃をガード反撃できるならしていいわ!リリーナは補助魔法と余裕があればガスを光魔法で処理してね。マトイはミミズの出現位置の指示お願い・・場所分かるわよね?」


 サチの視線を受けたマトイは頷き投擲手のスキル【鳴動感知】を使用し、地面や溶岩からの不意打ちに備える。


 サチの指示通りに全員が動き、フレアクラウドは弱点である魔法で沈黙し、ボルケイノワームは襲いかかろうとする位置を読まれて隙をさらした所を切り殺される。そして恒例の剥ぎ取りタイムだがこういったものがとれるのだった。


 『炎の小魔石:フレアクラウドの核。火の魔力を多く含有している。品質65』


 『炎蚯蚓の焔袋:ボルケイノワームの胃袋のようなもの。体皮よりも丈夫で敗れにくい。溶岩のようなものを大量に含んでいるので取り扱いに注意。品質60』


 この2種類だけである。そこまで苦労する相手ではなかったのでこんなものだろう…という気持ちがあったとも言える。前者は【素材属性委譲】で火属性の鉄鉱石なり、糸素材や革素材に火属性を移譲すれば

全生産職の悲願である属性武器や属性防具が作れるようになるわよね。


 後者は革素材扱みたいだから売却になりそうかな・・・。もしくは属性だけ抜き取れるのか実験してみるのも良いかも・・。


 剥ぎ取りが終わりサチたちは西側へ到達し8階への階段がある南方向を見るがそこにはそこが見えない程の高く切り立った崖があるだけで、ショートカットができそうな場所では無い。仮に空が飛べるとしてもごめんですね。


 ここには別の道が無いことを確認したサチたちは予定通り北へ向かって進み始めると前方に大量の溶岩の池と大きなクレーターがこれみよがしにあいている。


 「……うーん。ユーリアさん、これどう思いますか?」

 いかにもなにかあるような雰囲気をプンプン匂わせるクレーターと溶岩の池。

RPGゲーム好きなら絶対に怪しむ地形である為、ブレインであるユーリアに聞いてみたのだ。


 「確かに見てるだけでドキドキして来る地形ね……RPGならミミックあたりの宝箱が置いてありそうよねぇ。まあ踏破率の為にも行かない選択肢は無いわけですから行ってみましょうか」

 さすがブレイン!決めるときは鶴の一声で決めてくれます。リーダーは私ですが所詮はゲーム初心者なんですからなれてる人に従うのは当然の流れなのですよ。


 そんなわけでやってまいりました大きなクレーター。

 クレーターの中心にマップの状況的に隕石?と思われる岩がぽつんと存在しており、採取ポイントにもなっているようだ。


 一方、溶岩の池を探索していたリーシャたちはモンスターの歓迎を受けていた。

まずは3階にもいたリザードのようなモンスター〔インフェルノリザード〕というレア設定されているモンスターの群れである。他には溶岩の池の上をフワフワしていたフレアクラウドが少々。


 「ちょっとぉ、敵が多すぎるよ!?ユーリアさんたすけてぇ」

リーシャの声が周辺へ響く。そのユーリアさんの方はといえば、魔法の詠唱に時間がかかっているらしくすぐに行動には移せないようで、その隙を埋めるべくマトイはインフェルノリザードに対して投擲を行い、少しでも回復を担当中のリーシャへのヘイトを少なくする為に動く。


 「準備完了よ。魔法行くから皆気をつけてね!【ダークボム】!!」

ユーリアさんの放つ魔法で上空に広範囲の闇の球体が現れ一斉にインフェルノリザードへ落ちていく。

着弾した魔法により、インフェルノリザードはジタバタとのたうちまわり大きな隙を作り出す。


 そこへクレーターの調査もとい採取をおわらせたサチ達が駆けつけて、回し蹴りや槍でインフェルノリザード達を倒していく。フレアクラウドなどの少し離れた場所にいた個体に対しては、リリーナの光魔法で片付けて終了となる。



 『炎蜥蜴の皮:炎に対する抵抗値が非常に高い高級素材。加工は難しいが防具にできればすばらしいものができることだろう。なお水や氷の属性には抵抗値が非常に低い。品質85』


 『炎蜥蜴の肉:肉厚でジューシーで鶏肉のような食感の肉。この肉があればそこらの牛や豚など物の比にならないだろう。品質80』


 『炎蜥蜴のヒゲ:どこに生えていたのかは一切不明なヒゲ。しなやかさと弾力性に富み、炎の属性も多く含まれている。品質80』


 今回はレアモンスターの群れということもあり品質の高い素材がたくさん手に入った。

それにしてもヒゲかぁ。これってやっぱり……そういう方向の意味で使うほうがいいかなぁ。

製作が楽しみです。お肉はリリーナにお任せですから良いとして皮は属性移譲素材になるかリーシャの裁縫で使えるか後で相談しようかな。


 「それでおねぇちゃん。クレーターのほうは何かあったの?」

治療師の魔法でみんなのダメージを癒しながら聞かれる。サチと一緒にクレーターへ行ったリュウが、

質問に対して大雑把に答える。


 「えっとだな。結論から言うとクレーターは採取くらいしかできない普通の場所だった。

だが4階で見たような石像で鳥の様な像があって、調べたが何かをはめるような場所がある事も含めて4階と変わらない反応だったぜ」


 それにつづけてサチが採取できた物についての補足を加える。

「それで採取できたアイテムだけど、溶石とか炎熱鉱とかの素材が多く取れるくらいでレアアイテムは無かったわ。継続ダメージの事もあるし長く採り続けることもできないからね」


 ユーリアさんはここにも石像があるのね。気になるわ・・。とか呟いていましたが、私にはどうしようもないと思うので気にしません。それよりも気になるものが目の前に現れたからです。


 「ユーリアさん考え事してるときに悪いんだけど、やばそうなのがきたわ。戦闘準備お願い」

その気になる物が、ズゥゥーンズゥゥーンと足音を立てながらこのクレーターのある場所へ向かって進行してきていたのだ。


 「ねぇ……なんでここってこんなにゴーレムとか石像ばっかりなのよ?いくら鉱山系ダンジョンという名目でもおかしいわよ?」


 この話から分かるように目の前に現れたのは巨大な溶岩で構成されているゴーレム〔ラーヴァゴーレム〕である。このモンスターはこの7階で見られる中で一番遭遇率が低いが物理的な強さが半端ないといわれているレアモンスターだ。防御のほうは低い設定なのだが流体ボディ(それも触れると反撃のダメージを受ける溶岩)ということもあり近接職は近づくことに気が引けるモンスターの代表格である。


 「さてどうやって倒そうか?やっぱり魔法メインのが良いのかな?」

お婆ちゃんの知恵袋もといブレインであるユーリアに聞くと、見た目以上に物理耐性が低いので攻撃してほしいとの事。とはいえ流体ボディのおかげで物理が通る場所が限られている為、見極めが難しいのだ。


 それならば…とゴーレムに相対する相手として最適とサチが思いついたのはマトイだ。

「あーマトイ。弱点箇所を見抜いてそこに投擲お願い。目印があれば後は私達で何とかするわ」

サチの指示で自分の仕事が理解したマトイは、素早く行動を開始。【見通す目】で弱点箇所を見破り、

マトイ自作の返しの付いた銛を投げつけ楔の用途として固定する。返しがついているため、刺さり続けている限り微小なダメージも期待できるのだ。


 いくつかの弱点箇所に楔をうちこまれたラーヴァゴーレムが嫌そうに身をよじったりしている死角を突き、サチとリュウがそれぞれの攻撃が届く範囲の楔のある場所に対して点の攻撃を加える。

 具体的には、サチは楔のある場所に対して蹴りをぶち込み銛を更に体内奥深くまで押し込み、

リュウは銛の刺さっている場所へ更に槍を深く突き刺すのだ。


 いくら物理攻撃が高いと定評のラーヴァゴーレムといえど、攻撃をさせてもらえず弱点をネチネチと攻撃されればなす術もなかった。戦闘開始からわずか5分でラーヴァゴーレムは倒れた。


 『R真紅岩鉄:100年以上の年月を溶岩の中で精錬され続けた史上稀に見る品質を誇る鉄。鉄に分類されるものの中では間違いなく最高級品である。品質95』


 『R真紅の魔核:ラーヴァゴーレムの本核。同種ゴーレムの素材や錬金の触媒として高い性能を誇る。

品質90』


 『R溶製石:火属性の魔力を注ぎ込むことで溶岩を生み出す石。溶岩や熱を使う職業の人にとっては喉から手が出るほどほしい一品。品質95』


 手に入ったアイテムは3種類だけだが、非常に品質の良い素材があったのでサチはホクホク顔である。

このとき既にサチの頭の中には幾つかの武具が思い浮かばれており、素材の数も申し分ないことを確認する。


 「早く武器作りたいな・・・」手に入れたアイテムの使い勝手が良さそうなのでついつい口から洩れる一言に、近くにいたユーリアが反応する。


 「ふふふ。後3階層で終わりだからもう少し我慢してくださいね。オーファンに付いたら転移でアニエスにすぐ戻れますからね。」



 ラーヴァゴーレムを倒してからも探索を続け西から北、東とマップの踏破率を確認しつつもうじき8階への階段が見えるというところで、またしても出会いがありました。お相手は先ほどと同じく遭遇率が低いはずのラーヴァゴーレム……あとはそのラーヴァゴーレムと戦闘する一団の姿。チーム【妖精剣士の集い】である。


 「つらそうだねー?手伝いましょうか?」

とサチが声を掛けるとシズルが反応して答える。


 「あーー女神ギルドの皆さん!助かります。まさか8階への入り口にこのモンスターが数体もいるとは思わず、どうしようかと考えていた所だったのです」

その答えを聞き驚いて8階の階段方向を見ると、いるわいるわレアモンスターの群れ・・。

ラーヴァゴーレムに、インフェルノリザード、フレアクラウドのレア種〔ビタークラウド〕もいるようです。


 「うわぁ・・・これ倒したらあいつらのレアアイテム取り放題じゃない!皆行こう!!!」

サチの目が$になっており、リュウ達はなんだかなぁと思いながらも自分が担当できるモンスターへ向けて駆け出す。リーシャの補助魔法で一通りバフをうけてサチが突っ込むのはインフェルノリザードである。

 ラーヴァゴーレムのほうは動きが速くは無いので、素早さの高い個体を掃討し後衛の安全を図ったためだ。


 インフェルノリザードの巨体を蹴り上げでわずかに浮き上がらせ露出した腹部へ【発頸】を打ち込み倒す、といった作業を繰り返していく。一通り片付いた所で、ラーヴァゴーレムを探すサチ。


 「マトイー!お願いね!」ちょうどビタークラウドの討伐を終えたユーリアやマトイと合流しラーヴァゴーレムのほうへ向かうサチがマトイに先と同じ対処を頼むとマトイはすぐに頷き銛を投擲する。


 弱点への目印さえあればラーヴァゴーレムなど只の雑魚レアモンスターであり、サチたちPTの敵ではない。階段周辺にいたレアモンスターを狩りつくしたサチたちは剥ぎ取りを済ませ大量のレアアイテムを取得したあとに、チーム【妖精剣士の集い】の戦いがまだ続いていることに気づき援護に向かうことにしたのだった。

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