第四十二話 ダンジョンアターーック⑤。秘密の修行場そこって問題ありませんよね?
本日2話投稿予定ですが2羽目の投稿時間は不明です。
投稿されないかもしれません(低確率ですが)
今までに見たこと無いタイプのモンスター、ゴーレム〔アイスゴーレム〕と対峙するサチたち。
通常のロックゴーレムではなく亜種と最初に出会うのは珍しいのだがこの際そんなことは言ってられない。サチたちが祭壇に踏み込むとすぐに起動し、攻撃してきたのだから・・。
「ゴーレムかぁ・・・弱点あったっけかなぁ・・」リーシャはロックゴーレムとの戦闘経験があるらしく思い出そうとしている。しかしその時はPTを組んでいて、自分は遠距離から魔法しか使っていないことに気づき記憶は役に立たないと思考を放棄した。
「ゴーレムの弱点はコアですね。心臓部か頭の中にある場合が多いです。ただし基本硬いですので弱点を露出するべく打撃武器でダメージを与えることが必要です。」ここでも役に立ってくれるユーリアさんの知識。ほんとに毎度お世話になっております・・・。ぜひともここのダンジョンで魔石を入手してユーリアさんに渡してあげたいと思います。
とはいえ打撃武器を使う人はいません・・私のは打撃攻撃ですし・・・。
はい屁理屈です。打撃が通るのならリュウを盾にしつつ私が打撃を行うしかありませんね。
アイスゴーレムはその巨体から動きは早くないのですが攻撃が全て着弾位置から小範囲に効果を及ぼす為、PTで戦うときは同時にダメージを食らわない位置取りをすることが求められます。いわゆるプレイヤースキルってヤツですね。私は単に種族のマイナス補正で最大耐久力が少ないので攻撃の届かない場所を見分けるのは得意・・・かもしれません。
動くたびにゴゴゴゴゴという音を立てるアイスゴーレムの攻撃をかわしつつ前面側面背後と小回りの聞かない隙を狙って少しずつ表装を小突き落としていくサチ。
「オォォオオォン!!」・・ご・・ゴーレムが泣いたぁぁぁ???いぇ・・どうでも良かったですね。
サチの攻撃で表層のはげたあたりを狙ってリーシャとユーリアさんが魔法を放ちダメージを蓄積させる。
マトイは【見通す目】を使い、露出していく弱点の位置を逐一後衛メンバーに伝える役目である。
リリーナさんは私への補助魔法と盾になっているリュウの回復に忙しいようだがちゃんと回りの確認をしながら行動している。
アイスゴーレムの耐久を半分ほど削り取った時、異変が起きる。アイスゴーレムを型どっていた氷の塊がパージされ、中にあったコアらしきものが光り、新しく体が再生されたのだ。耐久値に変更はなかったが、また表装を剥がすことから始めないといけないため大変そうである。
だがここでサチは見てしまったのだ。一旦パージされその体が再生される際にゴーレムの体のつくりが・・。コアの周りに雪や削った体の破片などがどんどんくっついていく様を・・・。
何が言いたいかというと、サチのスキル【発頸】のダメージが通るということだ。
サチはてっきり3階で戦った試練の石像と同じように中身が空っぽなのだと思い【発頸】を使用せずアイスゴーレムと戦っていた。だがアイスゴーレムはコアの周りまでびっしりと詰まっているのだ。
「私・・ゴーレム倒せるかもしれない!リリーナ!腕力系と知力系の補助魔法お願い!」サチが言うとリリーナはすぐに声に反応し魔法を詠唱、他の全員が何をする気かとサチを見る。
一足飛びにゴーレムのコア前方へ肉薄したサチは攻撃に出た。
「【発頸】!!これならとおる・・はずっ!」
渾身の発頸がアイスゴーレムへ直撃コアのある位置へ撃ち込まれる。
衝撃でアイスゴーレムの半分ほどあった耐久を示す数値が急激に消えていき消滅。
「うわぁ・・すごいね・・・おねぇちゃん・・・チート?」リーシャが言う。
「すげぇ威力じゃねぇか・・・。でも前より威力高くなってるよな・・・」リュウも不思議そうに言う。
「あ~、さっきはぐれた時にさすごい狩り場見つけて敵倒してたら3つくらいLVあがっちゃって・・。
基礎能力が結構あがってるのよね・・。後今のゴーレムでもあがっちゃった・・」とサチの返答に一同びっくり。
「それってこの階層だよね?どこなの教えてよ!おねぇちゃん!!」LV上げが大好きなリーシャが詰め寄る。他の皆もあの短時間でそこまでLVが上がる場所ということですごく気にしているので説明をしてあげることにした。
「でもその前に剥ぎ取りしようね・・。」
アイスゴーレムの残骸から剥ぎ取りを行うサチ。すると手に入ったものが・・
『蒼月銀:青く輝く神秘的な銀鉱石。魔石や属性促進素材との相性がよく特殊効果が付きやすい。品質70』x20
『蒼石核:ゴーレムの中位ランクの青い心臓核。錬金術の触媒になる他ゴーレムの素材にもなる。品質85』x1
『蒼石:青よりも深く美しい色合いの石ころ。多少魔力を含んでいるのでただの石ころと思うこと無かれ。品質60』x15
思ったよりたくさん剥ぎ取れました。特に蒼月銀が綺麗で目を惹かれます。私を魅了するなんてなんて石なの!
このダンジョンでは運命の出会いが多すぎますね。やっぱり他の国へ来るってすばらしいことです・・・。
さて素材を剥ぎ取り、私が恍惚な表情でトリップ(メンバーの一部を魅了)している間、ユーリアさんだけはしっかりと祭壇の探索をしていてくれていたのだ。
「はいはい。皆戻ってきてねー!今祭壇を調べてたのだけどサチさん。この祭壇の中央に来てください。理由は後で説明しますので・・。」
ユーリアに呼ばれサチは言われるまま祭壇中央に乗ると光が現れ、またしても宝箱が出現したではないか・・・。サチがその宝箱を開けると古ぼけた本が入っていた。
読んでみるとこのダンジョンの秘密?っぽい内容が書かれたある冒険者の日記だった。
要約すると『一本目から北・北・南・南・東・西・東・西(獅)・東』
『一本目から南・西・北・西・南・東・東(竜)・南・東』
『一本目から南・南・東・東・北・西・西・北・東』
とだけ書かれていた。
「これって何かの暗号かな?」ユーリアに尋ねてみるとユーリアは何かを考えていたがハッと目を見開き答える。
「おそらくこれは4階の進行方法だと思います。何故そう思うのかと言いますと先ほど私達が5階にあがる時に通った道順が3つ目のものと一致したからです。」
「なぁんだ4階の地図かぁ・・残念~」リーシャは既に興味をなくし祭壇周辺をぶらついている。
「ただし気になる表記がありますね・・・。一つ目と二つ目の後半の【竜と獅】の2文字・・・可能であれば調べたい気もするのですが、情報を掲示板に上げて他の人に攻略してもらいましょうか・・。非常に残念ですが・・。」
「別に5階を探索したら4階に戻って確かめればいいじゃない。回復アイテムならまだたくさんあるんだし・・。」ぽろっと出たサチの言葉にユーリアが珍しく食いついてくる。
「本当ですか?いやー言ってみるものですねぇ。ふふふふふ♪」
・・・むぅ・・言ったのは失策だったのかな?・・・でもユーリアさんは色々助けてくれてるしこの位の手間ならいいよね・・・と一人納得し、他のメンバーにも了解を得る。もともとこのダンジョンはユーリアさんが希望を出した場所ですし、希望はできるだけ聞いてあげたいですものね。
祭壇を後にした私は数人に絡まれました・・・誰に・・・ですって?
もちろんエルフに絡まれました・・・絡むというよりすねてる感じが可愛いです・・・。
「おねぇちゃん!!狩場狩場!!」
「???」首をかしげるサチ。
「???じゃないよ!!!さっき言ってたでしょ?経験値効率の良い狩場だよぉ!」
そういえばそういう話してましたっけ・・ユーリアさんの剣幕に押されて頭から抜けてました・・。
「全員で行ってもおいしくないと思うよ?それでもいい?」と確認した後林へ向かう。
「ここが氷狐のポップポイントでね。採取ポイントもあるし周回してたらLVがどんどん上がったのよ。」と説明。回っているうちに幾つかのポイントを見つけてあるので少しの間バラけてソロ狩りするということになった。
まずはリーシャには最初の数が多いポイント。リュウとマトイは採取ポイントが多くあり狐も結構わくポイント。ユーリアさんとリリーナさんたちには、チョコチョコ沸く場所を伝える。
私はといえば洞窟で採掘した後祭壇でのんびりしてます。祭壇内は継続ダメージが無く安全でしたので・・。
言い忘れてましたが洞窟で採取できた素材は鉱石でアイスゴーレムの落とした蒼石ばっかりでした。
暇つぶしに開始2日目以降使用されていなかった手持ちの簡易錬金セットに蒼石をセットすると錬金術スキル〈素材属性移譲〉が対応しているようなので詳しく調べてみる。
蒼石 カテゴリ:岩石 所持属性:氷魔術基礎 移譲対象カテゴリ:岩石・鉱石・水
「どういうことだろう・・・?」意味の分からない表示に首を傾げる私。
とりあえず手持ちの蒼石をセットして〈素材属性移譲〉を使ってみるが変化は無い・・・
「・・失敗・・なのかな?それとも同じアイテムじゃあ効果が無いだけ?」
まだ集合時間には時間が有るのでもう少しいじってみるべく、手持ちの素材から鉄鉱石を取り出す。
そして蒼石と鉄鉱石をセットし〈素材属性移譲〉を発動する。すると蒼石が崩れ去り後に残ったのは鉄鉱石だけである。その鉄鉱石を鑑定すると・・
鉄鉱石(氷):加工すると〔攻撃時確立で凍結〕の付与率が上がる能力を持った鉄鉱石。自然界には存在しない。
「へぇ・・・〈素材属性移譲〉ってこういうスキルだったんだ・・・覚えて長いけど一回も使ってないから驚いたわね。」
私はその後も大量にある蒼石と移譲可能カテゴリ内のアイテムに移譲し続けていると錬金術師LVがあがりました・・・。
ポポポーン
※職業錬金術師のLVが30に到達いたしました。以後町の錬金術師に話すことでオリジナル錬金のスキルクエストを受注することができます。
※職業錬金術師のLVが30に到達いたしましたので上級職マスターアルケミストへ変更できます。
初級職業は最大50LVまで育てることができますので目的が決まっていないのであれば極めてみるのも良いですよ!
※職業錬金術師のLVが30に到達いたしましたので称号【怪しさ満点の】を取得しました。
【怪しさ満点の】:錬金術師のLVが30に到達することで取得。セットすると錬金術の成功率とオリジナル錬金時の異種配合確率が上がる。パッシブ効果、生産成功率+10%
調べれば調べるほどナゾの説明言葉が出ますね。
★異種配合確率:オリジナル錬金時に自分で決めた素材が適合する確立。
称号の方はつければ錬金術使用時に効果が出るんですね・・でつけない場合でも成功率があがるっと。
てことは鍛冶師の時【姫の】をつけて叩けば効果つきで生産性効率が上がった状態で製作できるって事なんだねぇ。
上級職への変更かぁ・・・私は別にオリジナル錬金や鍛冶さえできれば良いと思ってたから、成るにしても基本50LVのマスターしてからでも遅く無いはずよね。他の人が上級職になったときに聞いてみよっと。
当面の指針を決めて私はそろそろ集合時間が近づいているので作業を終了して洞窟入り口へ向かった。
そこには満面の笑みを浮かべたリーシャたちの姿。
「すっごいかせげたぁ!おねぇちゃん!!私魔術師30LV突破したよ!!派生職が二つあって迷ってるから後で相談に乗ってね」
「いやぁ・・あそこマジすげぇのなぁ・・・。素材も拾えるし良い感じに敵も出るし、これでダンジョンの中じゃなければなぁ・・・」
そこでサチをボソッと一言。
「祭壇が安全ポイントだし、継続ダメージないからあそこでログアウトすれば良いんじゃないかな?
まあ、この階層に攻略者が増えたらできないことだけど・・・。」
この一言にリュウはやる気になっていた為、後日回復剤の提供をする代わりに氷狐のドロップや蒼石とかを貰うことにすることで契約が成立した。この際LVが高くないリリーナとマトイも一緒に行動するらしい。
南から西エリアまでも探索し北エリアへ向かうとサチの受けたクエストが反応するのだった。
名前 サチ(♀)
種族 獣人種猫又族
職業 格闘家LV29・鍛冶師LV28・錬金術師LV30・女帝LV21・〈空き〉
称号 〈駆け出しの〉・〈絶対的幸運の〉・〈無望な〉・〈姫の〉・〈覇者の〉 〈試練を超えし者 (パッシブ)〉・〈怪しさ満点の)New
スキル 格闘家 ;〈ラッシュ〉・〈ダッシュ〉・〈コンボ〉
〈ロック〉・〈エアリアル〉・〈発頸〉
鍛冶師 ;〈鑑定〉・〈鍛冶〉・〈採掘〉・〈固定レシピ化〉
〈看破〉・〈渾身の一打〉
錬金術師;〈鑑定〉・〈錬金〉・〈採取〉・〈分離〉
〈素材属性委譲〉・〈素材合成〉
女帝 :〈ひれ伏しなさい〉・〈オーホッホッホ〉・〈貴女何様なのかしら?〉・〈あんたの物はあたしの物〉
装備 武器:真鋼鉄爪
頭:なし
体:真鋼の胸当て
腕:真鋼の手甲
足:真鋼の脛当て
アクセサリ:試練のネックレス
アクセサリ:無骨な三錆リング(赤)
所持金185450R




