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第三十一話 ギルド設立を目指してその②。とある職業が問題ですの~

次話は日付が変わる頃に投下できたらいいな・・。

 ガックラーム大山脈 ~麓~


 サチ・リーシャ・リュウ・マキノ・マトイの5人は孤高狼のいる中腹を目指し大山脈にやってきていた。

しかしこのエリア麓ですら強いモンスターが現れる難所の一つとして有名なのである。初見殺しの多い多彩なモンスターは、同種族の群れで来ることもあれば異種族で乱雑に襲い掛かってくることもあり、対処に困るというのが理由であった。


 サチたちもその例に漏れず遅い来るモンスターの多彩さに翻弄されており思うように先に進めず足踏みをしているのだ。


 「くぅ・・!!なんで周りに水場もないのにワニがいるのよ~!」リーシャは火の魔法を放ちながら場違いなモンスターに悪態をつく。このワニのモンスター[フォレスゲーター]はその大きな顎で岩や木を噛み砕きながら対象に迫ってくるというモンスターだ。ガッチンガッチンと音を立てながら迫り来るのは恐怖を覚えても仕方ないだろう。さらにこのフォレスゲーターは属性は水らしく火の魔法の効果がほとんどないのでリーシャにとっては天敵である。水属性だから火の魔法が効きにくいと言うだけが理由ではなく

フォレスゲーターの体皮のワニ皮自体に火耐性がついているらしく半減の半減と言う意味であるので間違えないようにしてもらいたい。裁縫職人や皮細工職人などからすればこのワニの皮は喉から手が出るほどほしい素材の一つでもあるのだ。


 そんなワニのモンスターだけではなく一緒に襲ってきた空からの捕食者ハンターであるワシ[ブラストイーグル]も厄介なのである・・。なんとこのワニとワシ・・(ワつながりだね)なぜか共生関係にあるらしい。

理由は不明だ・・仕様としかいえない。


 サチとマトイがこのブラストイーグルの対処をし、リュウ・リーシャ・マキノがワニの相手をする形で距離をとったのだ。リュウもワニの正面に立って受けきるのは難しい(恐怖した)ので、挑発をしつつワニの敵対心を自分に集めるべく動くのだ。リーシャが狙われたのはあくまでも偶々である。

マキノはマキノで関心がリュウに向いたワニの背後に移動し、土魔法の行動阻害魔法を使う。


 「土のランドプリズン!!」詠唱後すぐに発動した魔法でワニは土の檻に囚われ一時的に行動を阻害される。そこへ反転したリュウが武器を剣から槍に変更し、隙間からチクチクと耐久を削っていく。

リーシャは、回復要員としてリュウの背後に待機しつつ補助魔法バフのかけなおしを担当している。


 「てぃや![連突き]x2!!」リュウの剣ほどではないがそれなりに育っている槍捌きがワニに襲い掛かり、その体皮を傷つけていく。その後にマキノの[土の矢」がざっくりと突き刺さり息絶えるワニ。


 一方サチとマトイは空から襲い来るハンターへ[エアリアル]と体術の踵落としを決めワシの体制を崩し、そこへすかさずマトイが、ナイフを数本投擲しさらに耐久力を削る。

 ワシはフラフラとしながらもその戦意は衰えず、再度高く飛び上がりしばらく空中で停止し急降下攻撃を仕掛けてくるのだった。そんなワシの攻撃を避けきれずサチは錐揉みしつつ木へ激突してしまう。


 「カフッ・・いったぁい・・」木へ激突した衝撃で一時行動不能に陥るサチをターゲットに決めたワシが馬鹿の一つ覚えのごとく飛び上がり急降下攻撃を仕掛けてくる。ワシはこの瞬間相手が二人いることを忘れておりそれが自分の運命を変えることに気づかなかった。


 先ほどと同じく急降下攻撃で突進してくるワシの側面から突如ナイフが何本も飛んできてワシの体に突き刺さる。攻撃したのは当然マトイである。マトイはサチが行動不能になった際焦りのあまりすぐに庇いに行くつもりだったが、サチからのパーティ通信で隙を見て攻撃してといわれたため泣く泣くワシの動きを注視していた。ワシが2度続けて同じ行動を取ったためタイミングもばっちりだったのでマトイの投げたナイフはすべてワシにヒットしその命を削り取ったのだ。


 「しんどかったぁ!」サチは合流したリーシャに回復魔法をかけてもらい起き上がりながら言った。

リーシャは次にワシがでたらおねぇちゃんの仇?をとると意気込んでいる。いつもながらリュウは倒したフォレスゲーターとブラストイーグルから素材を剥ぎ取ってから合流する。


 「ワニからは革と肉と歯がとれて、ワシからは羽と肉と嘴がでたぜ。」

ふむふむ・・よさそうな素材が出たね。とはいえまだ山脈に入った瞬間の場所でありこれからも今回と同じように初見相手だと苦労しそうだなどと話しながら麓から中腹へ向かう道を進む。


 その後も猪のマウントボア、その幼生ウリュボウ、コボルトシリーズ(ソード、アックス、メイジ)と戦いがありその都度苦戦しつつも何とか退ける。とはいえ何度も遭遇すれば攻略法も見つかるわけで、ワニとワシが再登場したときはワシに対してリーシャの火魔法とマトイの投擲、ワニに対してはサチのエアリアルでワニの背中に着地し、顎を締め上げながらロックで絞め技を強化しほぼ無傷で討伐できるようになった。


 イノシシたちは文字通り猪突猛進で行動が読みやすく耐久力は一番高いが倒しやすい相手でドロップアイテムの高級イノシシ肉が出たときは全員喜んだものだ。料理職を誰も持っていないが、このドロップが出たときの流れでサチが5つ目のスロットが出た時もしくは、マトイが4つ目の職業スロット解禁で料理人を取得する流れになったのだった。


 そんな感じで麓での戦闘に慣れてきたサチはくだんのユニーク職業である《女帝》になってみたのだ。装備武器はまだ用意できていないので格闘家のときの装備だが止め以外で近寄るつもりはないので大丈夫だろう。


 《女帝》に変更すると早速ステータスを確認、職業効果で2%x4人分の補正がかかるが職業LV1の為それぞれの数値が1ずつあがった程度である。代わりにほかの4人はマトイ以外は現在の基礎能力値が高かったため、女帝の職業補正の1%+でもそれぞれの数値が2~4ずつあがっている。ステータス値の1ポイントでも威力の変化は劇的なので特に火力を重視するリーシャやマキノは喜んでいる。


 こんな強い狩場で未使用職業をいきなり実践投入することは普通なら自殺行為だが、今回は周りを知り合いが固めてくれているので検証にも便利だった。その後も散策しながら進んでいると、空気を読んだのかマウントボア2体とウリュボウ8体といった大所帯に遭遇する。


 「数が多いね・・・・どうする?」とサチが聞くと、リーシャは気になっていた女帝のスキルを見たいと言い出し、他の3人も「カバーするから使ってみて?」というような視線を向けてきたのだ。


 「まだ職業LV1なのにきくはずがないじゃん・・」と抗議したが聞いてもらえなかった。


 仕方なくサチは女帝の恥ずかしいスキル名を叫んだ。


 「っ・・〈ひれ伏しなさい〉!!」


 しかしマウントボアAには効かなかった。マウントボアBには効かなかった。ウリュボウA~Hは驚きとどまっている・・・といった説明文ナレーションが聞こえてきそうだ。

・・・ウリュボウには効くんだね・・・そう思ったのは一瞬。


 「あははははは。おねぇちゃんすっごい!イノシシの子供ビクッてしたよ!」

リーシャは笑い転げている・・といった説明文が・・・シクシク。


 その一度で羞恥心を捨てたサチはこうなったら自棄だとさらに別のスキルを発動する。


 「〈貴女何様なのかしら?〉」サチがスキルを発動しながら冷めた瞳でマウントボアの目を見つめる。

マウントボアAは恐怖に陥った。と説明文がきこえ・・た気がした。


 「おぉ~?そのスキルは親イノシシにも効いたみたいだな・・・・」リュウの感想が洩れる。


 そして今行動できるモンスターは親イノシシBだけなので最後のスキルを行使する・・・。


 「・・〈オーホッホッホ〉!」

 スキル発動時のサチは顔が真っ赤だ・・。なんだかんだで恥ずかしいのですね。わかります。


 マウントボアBは怒りに燃えている。その目はサチを親の仇(貴女しか見えない!)というような目つきだ。


 「グモモォォォ」マウントボアBがサチへ向けて突進する・・・が、笑いから覚めたリーシャが火球を横合いからぶつけてマウントボアBの体制を崩す。そこへリュウが斬りかかりヨタヨタになったマウントボアBへサチが止めの爪で引き裂く一撃をお見舞いし倒しきる。その際女帝のLVが5つほど上がったのだが、まだ戦闘は続いているので残りを片付けにかかる。

 数分しないうちにマウントボアAとウリュボウ達は駆除されドロップした普通のイノシシ肉などを剥ぎ取った。


 「さっきの戦いだけで女帝がLV8になったんだけど・・。」


 「おー?一気に上がったな?まあここの敵は強いからおかしくはねぇけどな」

 「そうね。普通のLV1ならありえないモンスターでレベリングしたんだし当たり前っちゃ当たり前よね」

 「あははは~。・・ダメおねぇちゃん見るとさっきの思い出しちゃう・・プッククッ。」


 若干一名は失礼な反応をしているが気にしないでおこうと決める。でも次の私のご飯当番のときにひどい目にあわせてやると心に決めたのはここだけの話。


 しかしこの様子でカバーしてもらえるなら十分女帝の職LVをあげるのは簡単そうだと、一人ほくそ笑むサチ。そんなサチの横顔を恍惚な表情で見つめる?もう一匹の金髪の猫。


 麓も半分以上踏破し、まもなく中腹への入り口の前で新しいモンスターに遭遇したサチたち。

おそらく中腹エリアへ入る為には倒さなくてはならない相手なのだろう。

そのモンスターの名前は、〔テンタクルプラント〕植物の蔦で体表を覆ったモンスターである・・。


 10分後、消し炭になったテンタクルプラントを横目にワチたちは中腹へ上っていった。

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