第二十七話 またしても友人が増えました!!的な問題かもしれない
書いてるうちに今迄で一番長く書いてしまいました
(掲示板の文字数を除く)
「おねぇちゃん!今日は二人で狩りにいこうよ~」
ボス戦のあった日から2日経過し、まだまだ夏休み中の幸淵寺家リビングで美希は家族で朝食を食べている最中の優未にゲームの誘いをしてくる。
「午前中は友達の所へ勉強会という名のお喋り会に行くから無理よ?午後から夕方の間か夕食後なら時間は取れると思うけどそれでもいいかな?」
優未は夏休み前から決まっていたスケジュールを見て予定を確認し、美希へ答える。
それに対して美希は「二人で遊べるなら時間なんて気にしないから絶対行こうね!」といつも通り姉ラブ(シスコン?)な答えをし、優未と共にそんな発言を聞いていた母が苦笑する。
「もう、美希ちゃん。おねぇちゃんとばっかり遊ぶ約束しないでママとも遊ぶ約束してよね?」
娘達と一緒にショッピングをしたい盛りの母、幸淵寺蛍(年齢不詳)が口を尖らせる。この母にしてこの娘ありだと世間に言わしめる若々しい体に美貌、ご町内でこの蛍のファンになっていない男はいないと目されているのだ。もう一ついえば何故その美貌をもつ蛍がパッとしない一般人の父に惚れたのか・・それがご町内の最大の不思議の一つである。
「パパも娘と遊びたいんだが・・・近いうちにどこかへ旅行に行かないか?」
とそこへそのパッとしない男である幸淵寺家の大黒柱、幸淵寺透摩が新聞から目を離し優未たちに話しかける・・・それを無視する優未たちではないのが不思議?だ。優未や美希は父親の事は嫌いではない。むしろ女子高生にしては天然記念物級に父親との仲が良い方なのだ。
なのでこの日の父の誘いに対して優未は、二つ返事でいいよと返し姉が行くならと当然のようにセットで妹も付いてくることになり父親ラブな母親蛍も同伴する。
父の仕事が休みになるお盆休みに家族でキャンプ場へ行くことになった。
こんな感じで幸淵寺家の朝の食卓会議は終了した。
朝食を食べおわり優未は簡単に身だしなみを整え、ほんの少し薄く化粧をして友人との待ち合わせ場所である地元のショッピングモールの噴水広場へやってくる。待ち合わせの時間まであと10分ほどある。
ここの噴水アニエスのに似てるなぁということを考えながら友人を待つこと5分・・・。
「ゆぅみ~、ごめんねおまたせぇ!」ショッピングモールの上方から声を掛けられ声の主を見上げる優未。そこには見慣れない金髪のギャルの姿が・・・。え?誰?
その金髪のギャルがそれなりに大きな手荷物を抱え、小走りに優未の元へ来る。
「・・えっともしかしなくても纏ちゃんだよね?いったいどうしたのよ。その頭・・・」
近くまで来た金髪ギャルの顔を確認してから念のためにきいてみた。
「私は私だよ!?優未ちゃん。まだ最後にあってから2週間も経ってないし、幼稚園以来のこの大親友の顔忘れたりしちゃったのー?しょーしんしょーめい!優未ちゃんあるところに私ありの八背纏に決まってるじゃないの~。ライバルは美希ちゃんだよ!?」
・・頭が痛くなってきた・・。この子は確かに私の親友の纏ちゃんのようだ・・だけど・・しかし・・
変わりすぎている姿に目の前が暗く・・・あぁ・・・私はそのままストンと噴水横のベンチに座るとコメカミをグリグリとしてみた。とりあえずいいたいことはたくさんあるけど、理由を聞いてからにしよう・・。
「私の知り合いには八背纏という人は確かにいるんだけどあなたのような金色の毛をした知り合いはいませんよ?」と意地悪く聞いてみると見て分かるほどすごく狼狽する纏。
「あわわ!これにはね?フッカーい訳があるのよ。」纏は必死に説明しようとする。
昔からちょっといじるとあわてて言い訳しようとする所が可愛らしくてついつい黒い本心g・・ゴホッゴホッ。
まあ纏ちゃんにも言い分があるらしいので聞いてあげようと思い先を促すようにすると、出るわ出るわ言い訳のオンパレード!しかし最後の最後に聞き捨てならない内容があったのです。
「それでね?わたしがたまたまインターネットで暇つぶしでゲームの動画見てたんだけどそこに銀色の髪の毛の優未ちゃんがあの嫌いな蟲に追いかけられてるのがあってね。優未ちゃんが髪の毛染めたなら私も!ってことになったの・・。」
なんとこの纏ちゃんは私の決して触れられたくない思い出動画を見てしまったようです。私はその場にがっくりと膝を突き天を仰ぐことになる。なんてこと・・・。
そんなこんなで今日私と会うってことで金髪にして待ち合わせ場所に来たけど私の髪の毛は元の黒のままだったことに驚いたそうだ。この子は現実とゲームの区別付いてないのかしら・・・すごく心配になりました。とりあえず私はあれはゲームの中のキャラだからごっちゃにしないように言い、纏ちゃんには、次あう時までに髪の毛の色を元に戻すようにいいっておきました。
「優未ちゃん失礼だよ?いくら私だって本物と偽者の区別くらい付くよ!?」とか言い出す始末。
さっき髪の毛銀じゃなくて驚いたって自分で言ってたくせに・・・。ほんとに馬鹿で可愛い親友ですね。
「うぅ!!しんじてよぉ。・・・あ!証拠にほらこれ!!」そういって纏ちゃんが持っていた荷物から取り出したのは、VR機械本体とTCOのパッケージだった。
「え・・纏ちゃん・・TCO始めるの?な・・なんで?」
「もちろん!優未ちゃんと遊ぶ為だよ?それ以外に理由は要らないもんね。」
といった兼ね合いが多々あったがここでは省かせてもらうとして・・・
「わかったよ~もう。どうせTCOでの私のことなんて調べてるんでしょ?帰ったらさっさと接続してしまいましょ。」
観念した私はショッピングが終わった後に纏宅へ行きセッティングをしてあげることを約束したのでした。約束をした後は待望のショッピングタイム!流行のカフェからコスメ、服などを見歩き、久しぶりに
のびのびとした気分になりました。途中私を見て驚いている高校生くらいの人がいましたがそんな事は些細なことです。その驚いていた高校生位の子は私に何度か声を掛けようとして様なのですがあえて気づいてない振りをしていると、纏ちゃんがその高校生に気づいて威嚇して追い払っていました。GJ纏ちゃん。
なんだかんだとたくさん買い物をし、とうとう運命の時がやってきてしまいました。
私は纏ちゃんと一緒に纏ちゃん宅へ赴き、纏ちゃんの部屋でVR機器のセッティング。その後纏ちゃんは一旦TCOへログインし、キャラクタ作成を済ませる。やはり獣人で作成したそうだ・・・本人は教えてくれなかったが、美希並に私にべったりな纏が獣人以外を選ぶ道理が見つからなかったのだ。
とりあえずフレンドコードだけを交換してそのまま纏ちゃんの部屋でグッタリする。
途中纏ちゃんのお母さんがお菓子とお茶の差し入れをしてくれた。毎度のことだから纏ちゃんのお母さんもなれたものだ。
そして午後3時を回り、家に帰ろうとすると纏ちゃんが早速TCOで会おうねといってきたが、今日は美希と二人で遊ぶから明日ならいっぱい遊べるよというと、纏ちゃんは美希という言葉にピクッと反応していたがしばらくして・・お腹に一物抱えていそうな笑顔でそれじゃしょうがないか・・と言っていた。
纏ちゃん宅を出たわたしは途中のコンビニで買い物をして、家に向かう途中後ろから視線を感じたのでした。見ると買い物中に見かけた高校生っぽい人ですね。これはもしかしてストーカーってヤツでしょうか・・・私はずっと付いてこられるのは鬱陶しくて嫌だったので意を決して危険?に飛び込んでみる。
ちゃんと携帯をもってワンタッチですぐに警察へつながるようにしてありますよ。
「あのぅ?もしもし?」
その高校生は自販機の影でコソコソしている。高校生の名は城戸聡地元高校に通うゲーマーだ。彼には今ハマッているゲームがある。その名はTCO。正式サービスが始まって約2週間経過し、初日から話題に事欠かなかった。聡も初日からログインし、掲示板でもたくさんの書込みを行っている。
そんな彼がたまたま親に用事を言いつけられやってきたショッピングモールで聡にとっては運命の出会いをする。先も述べたとおり彼は掲示板の住人であり、掲示板の情報は可能な限り目を通している。
彼が掲示板でよく利用するのは【猫美人女神専用板】シリーズである。そう彼はTCOで女神親衛隊を設立した一番槍だったのだ。そんな彼がリアルな空間で対象である彼女に似た女性を見つけてしまった場合、どんな行動をとるのだろうか。聡にはリアルで行動する力はなかった・・なので彼女の後ろからコソコソしているしかなかったのだ。途中彼女と一緒にいた女の子にバレて威嚇され逃げたがすぐに、再度追跡をする。
追いかけて行くと彼女はとある家に入っていく。ここで引くか続けるか・・葛藤していながらウロウロすること数時間。対象である女性が一人で家から出てきた。彼女を見たことで結局続けること選択した聡は、ある程度行くと彼女が後ろ・・自分がいる方向を警戒していることに気づき、流石にやばいと思い始めた。このままだとストーカー扱い(他人から見るとすでにアウトだが)されてしまうと思って、勇気を振り絞って声を掛ける為、自販機の後で呼吸を整えようとしたが不意に声を掛けられビクッとして声のしたほうを見るとそこにはTCOの動画や露店販売時に何度もこっそりじっくりと見た美人の顔だ。
「あのぅもしもし?」
「ひ・・ひゃい!!なななんでしょうか?」
思わず声が裏返ってしまう聡。その様子を見た彼女は少し微笑んだ様で聡はその顔に見蕩れてしまう。
「さきほど・・具体的にはショッピングモールからずっと付いてこられてますよね。すみませんが迷惑なので止めてほしいんですけど・・・。」と彼女のストレートな物言いに聡はバレてたのか!
と思いすぐさま謝ることにした。
「す・・すいませんでした!じつはあなたに聞きたいことがありまして追いかけている内にこの状況になってしまいました。」言い訳も混じってしまったが彼女は聡の態度に悪い人では無さそうと判断したのか理由を聞いてくれた。
「実は僕がやっているゲームで貴女によく似た人がいまして、差し支えなければ教えてもらえないかなっと思っておりました次第であります!」となぜか微妙に軍人口調になった聡。
彼女はゲームと聞いて少し考えていたようだが教えてもいいけど条件があるという。
条件とは質問の答えを聞いた後はリアルでは基本彼女に関わらないこと。要するにもう付いてこないでね。ということだった。
聡もここまで執拗に条件(追跡の件)に入れてくるのでよっぽど嫌だったことを深く理解し再度謝罪をし、聞いた後はおとなしく引き下がる事を約束した。彼女はその言葉で安心したようで聡の質問に答えた。その答えは聡が希望していた答えだったのだ。
「ゲームですか。私がやっているゲームは一つだけ。TCOですね。自惚れてる気はないですが結構有名人らしいです。」彼女が答えてくれ聡は自分も同じゲームをやっていて親衛隊のリ-ダーをやっていることも明かした。親衛隊の件については彼女は驚いていたが「くれぐれもやり過ぎないようにお願いしますね」という言葉だけで存在は認めてくれた。そしてさらに彼女はゲームの中でなら話しはしますよといってくれてフレンドコードを送ってくれたのだ。(聡君感激!)
その後彼女の条件どおりこれ以上の追跡はやめ、最後にもう一度不快な思いをさせた件を謝り、彼女と別れた。
「・・リアルでもやばいくらい可愛い・・・」聡は【親衛隊用?掲示板】と【女神専用掲示板】に書き込むか迷った末、女神掲示板に書込み、スレは炎上し聡君のキャラはTCOでしばらく夜も眠れない日々が続く事になったのは彼の自業自得である。




