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第二十四話 悪意なきプレイヤーキラー!それは仕方のない問題です

 「お・・お・・おねぇちゃーーーん!」


 露店街で商売をしていた突然サチに抱きついてきたプレイヤー・・改めキャラクタネーム リーシャ・・もとい現実名、美希。

このタイミングで会うとは思っていなかったサチは、驚いて声も出なかった。


 「うぇへへ~~、おねぇーーちゃんだぁぁぁぁ!!!!」変態的な声を出して引き離した後からまとわり付いてくる美希にどうしてこんなの子になってしまったの・・・と遠い目をせざるを得ない。サチが抱きついてくる美希のことを考えているうちにいつの間にやら周囲にはプレイヤーの人だかりができており、

「おお・・めがm・・いや・・びじn・・・いやあの人はサチさんか・・そんな彼女に抱きついているエルフっも可愛いな。」とか「グヌヌ・・こうなれば我らも・・・」とか「まさかTCOで禁断のチョメチョメ的な?」とかもう意味わかんない言葉が聞こえてくる。こら!途中のグヌヌはくるな!あと最後のチョメチョメって何よ!!


 「・・で?美希はどうしてここにいるの?って聞くのも野暮なのかしらね?」


 「えへへ!もちろん!私の目的はおねぇちゃんと遊ぶことだもん。ここまで来る為に私頑張ったんだよ?」我が妹ながらいい笑顔である・・。この妹は昔から事在る毎に私の傍に来たがる。

このゲームを開始する時も初期種族関連でブータレてたしね~。もちろんぜんぜん嫌いじゃないし、素直に嬉しいのだけど・・・場所は弁えてほしいと常々思っている。


 「もう・・・美希には聞きたいことは山ほど在るんだけど、いい加減恥ずかしいから離れてね?」


 「ブゥ~・・・せっかく感動的な運命の出会いの演出なのに、おねぇちゃんが冷たい・・・・

あとわたしはリーシャだよおねぇちゃん。」


 文句を言いながらも、リーシャは露店を閉めることを宣言し片付けをはじめると、リーシャの露店にいた数人のプレイヤーたちは他の露店を見るべく散り散りになっていった。幾人かはサチの事を気にしていたようだが主人公鈍感補正によりサチは気づかない・・・。

 露店の閉店作業が終わると、美希は嬉しそうにサチの腕に抱きついてくる。どこかのバカップルか!?といいたい人もいるだろうが、サチもまあ特に周りに目がないならいいか・・という気分だったので美希の頭を撫でて他の露店を見ながらいろいろと聞くことにする。なんだかんだでサチの情報源は大抵の場合が美希発信なのだから・・・やっぱり公式サイトくらいは隅々まで見るようにしようかな・・。


 

 そんなわけでリーシャに腕を組まされ日も暮れていく中、露店めぐりをしているサチだったが少し離れた露店に知り合いがいることに気づきリーシャの手を引くとリーシャもちょうどその知り合いを見つけたようでサチを見て行こう?という感じで意地悪そうな顔で頷いた。そして二人はその知り合いの後ろからこっそりと近づき

「わっ!!!」と声をかけると、「のぅわぁぁっ!!」と驚きすぎて後ろに倒れるという芸をしたのだった。


 「だー、もうびっくりしたぁ~一体なんだってんだよ・・・・っと・・おぉ?サチじゃんか~。

 ん・・・?あれれ?もしかして美希ちゃんか?」と驚いたような間の抜けたような発言をしたのはリュウである。

 「勇人サンこんばんわ~、こっちで会うのは初めてだね!あ・・こっちではリュウさんだったよね」とリーシャ。

 「フフッごめんねリュウ。わたしともこっちでは5日ぶり?くらいかな?」と頬に手を当てふわりと微笑むサチ。これは媚を売るような仕草ではなく、女性本来の美しさを引き出すような仕草であった・・・がゆえにサチの美人度がさらに上昇していることをサチは知らないし気づかない・・。そんなサチを間近で見せられてしまったリュウとリーシャにとってはたまったものではない。リュウは顔を真っ赤にして後ろを向いてしまうし、リアル家族であるリーシャに至っては見慣れているはずなのだが目がハートマークになってしまっているのはどういうことなんだろうね。


 当然周りにいたプレイヤーにもその姿を見られSSをとられその日のサチ関連の掲示板がひどく荒れることになったのはもはや問題にするまい・・(簡単に言えば、掲示板在住プレイヤーの女神親衛隊入隊希望者がさらに増加したらしいことくらいじゃないかなぁ。リーシャ談。)


 リュウの調子が戻った所でサチは先日のお礼という名目でサチが遠慮なく作った効果つきの剣と、微妙だが効果付きで性能が店売り程度まで抑えられている剣の2種類を渡してあげると、その性能差を見たリュウは驚き、高性能のほうの剣を付き返してきた。


それというのも


 「確かにすごい能力の剣だけど、オレは強すぎる武器は要らない。強い武器を扱うなら自分が強くなってから入手して使いたいからな。」とGから助けてもらった時に見た良い顔でカッコイイ事を言うのでサチのほうがドキッとさせられた上、顔を赤くしてしまったのだ。(・・・あれ?私勇人の発言なんかに何でドキッとしたのかな・・・今まで勇人と話しててこんなこと一度・・も感じなかったのに・・・・) リュウはちゃんとした理由をもっておりTCOで一本筋を貫いているので素直にカッコイイと思ったのだろう。

 私もすごい称号とかを使わない!とは言わないんだけど、何か筋を通せるように目標たててカッコイイ人になれるようにならないとダメね。そうすぐには見つからないだろうけど頑張って探そう!

ということで、〈目標を決めること〉もやりたいことリストに追加された瞬間だった。


 こんな感じで話がまとまった所でようやく目がハートマークになっていたリーシャが帰還してきて、

「あ!おねぇちゃんとリュウさん。せっかくここで会えたんだしさ、どこかダンジョンにいこうよ。」

と脈絡のない話がもちあがる。それに対してリュウは乗り気で「いいな。行こうぜ。」といっていたが、サチは流れをぶった切る現実的な発言をした。

 「ダメだよ美希!ウチはもうすぐご飯の時間だし宿題もやっていないでしょう?それに勇人も夏休み前のテストで赤点とってたんでしょう?ゲームばっかりやってないで今日は勉強にしておきなさいよ。休み終了前に宿題見せてとかは応じないからね?そのかわり明日なら一緒に行ってあげるわ。」


 サチの現実的な発現により両者ダウン・・・美希リーシャは泣く泣く食事と宿題の為にログアウトをし、勇人リュウは、サチの母親の如し剣幕に押され、しぶしぶログアウトしていった。それを見届けたサチも夕食の為にログアウトするのだった。ちなみにログアウト後、優未は勇人宅へ電話し勇人の母親へ監視をお願いしたのは内緒だ。

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