第十八話 コレはコイの予感?いいえそれは問題(ケフィア)です
よろしこおねがいしますー
前後共にGに囲まれ絶望の色に染まるサチ・・・美人の顔が恐怖にゆがむとはきっとこの事だろう・・・
・・・・しかし・・・・
「優未ぃぃぃー」
それはサチにとって天の助けとなる声だった・・・。
声を出したのは男性のようだが影は2つあった。一人はリュウで間違いないようだがもう一人は・・・・分からない。涙で前が見えない・・・状態のようだ。
「ぁ・・?ゆ、勇人?助けて!!!」サチは大きな声で叫ぶ。
そして助けを求めて数秒もしないうちにGの黒い姿が真っ二つに分かれ消える。
「ゆ・・じゃなくてサチ。大丈夫か!!」リュウの声が間近に聞こえて安心したサチはそのまま視界が暗転していった。
「お・・おいサチィィ」リュウの声も空しくサチにはもう届いていない。
バッドステータスである混乱から恐慌を経て最終的に昏倒に陥ったのだ。
「う・・ん・・・。あれここは・・・・・。森よね・・・」目が覚めたサチはつぶやいた。
「サチ!目が覚めたか?急に倒れるからびっくりしたぜ。」
「リュウ・・・が助けてくれたんだよね?・・アレから。」
「ああ、森で狩りしながら掲示板見てたらさ、お前の事が書いてある記事を見つけてな。読んでみたらお前が昔から嫌いな例の蟲の群れに追われて逃げ回ってるっていうじゃねえか。コリャやばいと思って掲示板の中継者・・・コイツ・・クロスっていうんだけど・・・に話を繋げてお前を追ってたところにさっきのお前の悲鳴ってわけだ。あー、ちゃんとアレは全部倒しといたから安心しろよ。」
リュウの言葉でもう一人の影の正体が分かったのだがよりにもよって先輩だったとは・・不覚です。
クロスは相変わらずニヤっと笑みを浮かべてウィンクまでしてきた・・・うぅ・・吐き気が・・。
「そうだったんだ・・・クロス先輩・・・もありがとうほんとに助かったわ・・。まさかVRの中でもアレに襲われるなんて思ってなかったから・・アレでもし死んでたら私きっとゲーム辞めてたよ。今でもほんとはつらいけど・・。
ところで・・・リュウ。私ってどのくらい倒れてた?」
「まだ10分経ってねぇと思うぞ。それがどうかしたのか?」
と聞かれ突発クエストの事をし説明し残り時間が20分弱である事に気づいた。
「あ・いけない!リュウ・・・とクロス先輩。すいませんがもう少し奥へ行った所でクエストアイテム採取するので少しの間護衛お願いできませんか?」
「おう!任せろ~」とリュウ。
「ふっ、僕としては前回の事について言及したい所だが・・まあいいだろう。他ならぬ幸淵・・・サチさんのお願いだからね。」とクロス。
二人が了承したので、二人をPTに誘いマップを見ながら森の奥へ向かうとそこは大きな枯れかけた
太い大木とその回りに虫系モンスターがわんさかと蠢いていた。もちろんあの黒いのも・・・怖いよ・・シクシク。
「虫は俺たちに任せてサチは採取に専念しな。」かっこいい言葉が飛んできてちょっとキュンとしそうになったよ・・。ち・・ちょっとだけなんだからね?そこの所勘違いしないでよね!!
言葉通りリュウは虫の群れをひきつけつつ、ヒット&アウェイで即撃即離脱で少しずつ各自に数を削り
クロスはというと獣人にしては珍しく風の魔法を使って虫を吹き飛ばしている。
サチは大木の根元に生えていた草を鑑定すると 壱薬草と表示されている。
サチは根元から土を掘り起こして見ると、
『クエストアイテム:壱薬草の根(1/10)』と表示されたので周りにあった壱薬草を掘り起こしていった
続けて大木の周りにある壱薬草がすべてクエストアイテムボックスへ入ると
【期間限定突発クエスト:森の薬草を守れ!】の条件が変更されました。
(壱薬草の根のポーションを大木へ使用せよ(0/1)!)
今度は調合ですか・・・アイテムボックスから初日に購入した初心者調合セットを取り出し
調合のウィンドウを出すと丸秘ポーション〈クエスト専用〉というアイテム名があったので迷わず
それを選び調合開始。このポーションの成功率は100%だったので問題なく完成した。
すぐに枯れかけた大木に丸秘ポーションを使用すると大木が光り輝き青々とした葉が茂り、
根元にはたくさんの壱薬草がニョキニョキと生えてきた。その光景をボーっと見ていると、
ポポポーン
《【期間限定突発クエスト:森の薬草を守れ!】の条件がクリアされました。
称号〈森の守護者の〉を取得しました。
アイテム〈秘薬草〉を取得しました。
おー・・称号ゲットですね・・・あんな怖い思いをして報酬が称号とアイテムが一つずつでした・・
チッ
あ・・・っといけない舌打ちしちゃいました。幸いリュウにもクロス先輩にも聞かれていなかったようですね。えっと~詳しい情報はっと・・・
〈森の守護者の〉:森を悪意あるものから守ったもの達に送られる称号 敏捷+1 魅力+1
普通過ぎますね・・・はっ!?いけません。私ってばチート称号効果に侵されすぎているようです。
普通こそ一番なのにね?反省しなくちゃ。
「あれ?俺も森の守護者の称号を手に入れたぞ。ちょっと入っただけで称号もらえてラッキー。
サンキュー サチ。」嬉しそうにリュウが言うとクロスも同じようにお礼を言ってきた。
「ところでクロス先・・さん。前にお会いした時は弓を持っていたと思うんですが魔法もお持ちだったんですね。」と聞いてみたところ
「まぁね、僕は弓と魔法どちらもメインにして物理、魔法のスイッチャーになるのさ。」
「ス・・スイッチャー?ってなんですか?」聞き覚えの無い単語におもわず聞き返してしまう。
「ん?興味あるかい?スイッチャーって言うのは僕の造語さ。簡単に言うと魔法が効かない敵には弓で物理の効果が薄い敵には魔法攻撃などの援護射撃をしたりする両利きみたいなものさ、それに剣と魔法って言うありがちなものよりは奇をてらってるだろ?」
得意げに話しているが要するに器用貧乏なんですね・・という言葉がついつい出かけたが助けてもらった事には変わりないので今回だけは、いつものように変質者扱いはしないように心がけた。
しばらくして「終わったなら戻ろうぜ?」とリュウが言い、サチはこれ以上森に居たくない気分だったので賛成するとクロスも了承した。うん・・早く出たい。もう蟲なんて見たくないよ・・・。
サチは今回遭遇した恐怖がちょっとしたトラウマになりしばらく森系フィールドに寄り付かなくなったとか・・
薬草系素材どうしよっかな・・・・そんな事を考えながら帰路につくのだった。
名前 サチ(♀)
種族 獣人種猫又族
職業 格闘家LV10・鍛冶師LV10・錬金術師LV4
控え職業:投擲具職人New・投擲手New
称号 〈熟練の〉・★〈絶対的幸運の〉・〈無望な〉・〈姫の〉
〈森の守護者の〉New
スキル 格闘家 ;〈ラッシュ〉・〈ダッシュ〉・〈コンボ〉
鍛冶師 ;〈鑑定〉・〈鍛冶〉・〈採掘〉・〈固定レシピ化〉
錬金術師;〈鑑定〉・〈錬金〉・〈採取〉




