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このノートは誰が書いたのか  作者: 珀桃
2006年夏から
5/15

心中計画

僕は大学ノートを開いた。このノートは使わずにとっていた。いつかこういう日のためにとっておいたわけではないが大事においていた。今から書くことはあまり他人には見られたくないことだ。だから鍵付きのノートでも用意できればもっとよかったのだが、生憎そんな金はない。有り金は全て計画のために使いたい。おもむろにパソコンを起動する。検索ボックスに「自殺方法」と打ち込み検索すると、一番上に自殺を思いとどまらせようとするメッセージが現れた。


あなたの気持ちを教えてください。


お前に僕の気持ちが分かってたまるか。さらに下の広告にはこうあった。


楽に死ねると思ったら大間違いですよ。


こんなメッセージで僕を思いとどまらせようだなんて馬鹿だ。僕の意思はかたまっている。引き返す?そんな選択肢は最初からない。僕はただ死んで終わるのではない。生まれ変わるのだ。飛び込み自殺、飛び降り自殺、首吊り、いろいろ方法がある中で僕の目にとまったのは、焼身自殺だった。社会に強いメッセージを残したいならこの方法、とある。

強いメッセージ…そうだ。僕はニューパパの顔を思い出した。今、どこで何をしているのだろう。僕の母と僕の人生をめちゃくちゃにして消えた屑。あの屑はどこか別の世界で彼女とのうのうと暮らしているに違いない。火事で大騒ぎが起こればニュースになって、あの屑にも思い知らせられるのではないだろうか?

ここまで考えたことを簡単にノートにまとめる。自分の家に放火する。方法が決まった。問題はいつするかだ。母はあまり家に帰って来ない。時々気が向けばふらっと戻ってくる程度だ。ここは気長に待つしかないと思った。

それから僕は灯油を買った。

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