絶望(ぜつぼう)
この世界に神はいないらしい。救世主もだ。これ、ひょっとして、「人類の最終章」が始まっちゃったかも・・・・・・。
「みなさん、聞いてください。大事な話があります」
人々が集まっている場所に、工場長が早足でやって来た。
(こんな状況で、大事な話?)
嫌な予感がした者も少なくない。その大事な話ってたぶん、「良くないこと」なんじゃ・・・・・・。
不安げな視線が、工場長へと集まってくる。
「対策本部からの朗報です。ゾンビへの対処法がわかりました」
それを聞いても、人々はあまり喜ばない。
「どんな対処法ですか?」
先にそれを確認しなければ。
その対処法、たとえば「一日に何人かずつ、ゾンビの生贄にする」とかでは困るのだ。ここにいる全員で、「命がけのジャンケン」とかしたくはない。
険しい顔ばかりが並ぶ中、
「ビールです」
工場長が言う。
「ビール?」
予想外の単語に、人々は戸惑った。
「そうです。あのゾンビたちはビールをかけると、大人しくなるみたいです。人間を襲わなくなるとか」
「おおっ!」
人々が興奮したのは無理もない。
ここは「ビール工場」だ。ビールなら、たくさんある!




