第八話 新年の誓い
祐兵さんと豊久くん 登場人物紹介
祐兵さん…伊東祐兵。紆余曲折を経て、飫肥藩初代藩主になった。知略に優れ、学問を愛する。
豊久くん…島津豊久。あの作品で有名。武芸一筋で、まっすぐな心を持つ。
年が明け、新しい春が近づいていた。
元日、祐兵と豊久は神社で初詣を共にした。
「今年もよろしくお願いいたします」
二人は並んで頭を下げた。
参拝を終えると、境内の茶屋で甘酒を飲んだ。
「祐兵殿、今年の目標は何ですか?」
「そうだな...」祐兵は少し考えた。
「もっと多くの書を読み、知識を深めたい。そして、その知識を民のために使えるようになりたい」
「立派な目標ですな」
「豊久殿は?」
「私は...」
豊久が真剣な顔で言った。
「もっと強くなりたい。ただ強いだけでなく、祐兵殿のような知恵も身につけたい」
「豊久殿は十分強い」
「いえ、まだまだです。強さとは、力だけではないと、祐兵殿から学びました」
二人は甘酒を飲み干した。
「そうだ」祐兵が提案した。
「今年は互いに師となり、弟子となろう」
「と、言いますと?」
「私が豊久殿に学問を教える。豊久殿が私に武芸を教える。互いに切磋琢磨するのだ」
豊久の顔が明るくなった。
「それは素晴らしい!」
「では、決まりだな」
二人は手を取り合った。
「今年も、よろしく頼む」
「こちらこそ」
境内では梅の花が咲き始めていた。
新しい年、新しい季節。
二人の前には無限の可能性が広がっている。
「祐兵殿」
豊久が空を見上げて言った。
「私たちの友情が、いつか両家の平和にもつながれば良いですね」
「ああ」祐兵も空を見上げた。
「必ずそうなる。私たちの世代が、新しい時代を作るのだ」
「はい!」
青い空に、二人の声が響いた。
戦国の世は厳しく、未来は不確かだ。
だが、この二人が共にいる限り、二人は前を向いて歩いていける。




