表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祐兵さんと豊久くん ――日向の空の下で――  作者: Gさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/92

第七話 雪の日の訓練

祐兵さんと豊久くん 登場人物紹介


祐兵(すけたか)さん…伊東祐兵いとう すけたか。紆余曲折を経て、飫肥藩初代藩主になった。知略に優れ、学問を愛する。

豊久(とよひさ)くん…島津豊久しまづ とよひさ。あの作品で有名。島津氏家臣で、島津家久しまづ いえひさの息子。武芸一筋で、まっすぐな心を持つ。

冬が訪れ、日向にも珍しく雪が降った。


祐兵(すけたか)殿!雪ですぞ、雪!」


朝早くから豊久(とよひさ)が興奮気味に訪ねてきた。


「見ての通りだ。珍しいな」


「こんな日は訓練日和です!」


「雪の日に?」


「そうです!実戦では天候を選べません。こういう時こそ、訓練すべきかと」


祐兵は豊久の熱意に負けて、訓練場へ向かった。


雪が積もった訓練場は白一色だった。


「では、まず槍の型から」


豊久が言った。


「待て、その前に準備運動だ。冷えた体でいきなり動くと怪我をする」


「なるほど、さすが祐兵殿」


二人はゆっくりと体を動かしてから、訓練を始めた。


豊久の槍捌きは雪の中でも鮮やかだった。


雪を蹴散らしながら、槍が空を切る。


「見事だ」


祐兵が感心した。


「ありがとうございます。では、祐兵殿も」


「私は槍より刀の方が得意だが...」


祐兵も刀を構えた。


その動きは流れるように滑らかで


雪と一体になっているようだった。


「美しい...」


豊久が呟いた。


「祐兵殿の剣術は舞のようだ」


「型だけは師匠に叩き込まれたからな」


訓練が一段落すると、二人は雪の上に座った。


「寒いな」


「ええ。でも、心地よい寒さです」


「豊久殿は本当に武芸が好きだな」


「はい。刀を握っている時、槍を持っている時、自分が生きていると実感します」


「分かる気がする」


祐兵が言った。


「私は本を読んでいる時にそう感じる」


「互いに好きなものがあるのは、良いことですな」


その時、雪玉が飛んできて豊久の頭に当たった。


「何だ?」


城下の子供たちが雪合戦をしていた。


「おや、お侍さんたち!一緒にやりませんか?」


「子供の遊びに武士が...」


と祐兵が言いかけた時、豊久がすでに雪玉を作っていた。


「良いではありませんか!たまには童心に返るのも」


「...仕方ないな」


祐兵も雪玉を作り始めた。


雪合戦が始まった。


豊久の投げる雪玉は速く正確だ。


一方、祐兵は戦略的に動き、子供たちを誘導する。


「さすが!」


「負けませんぞ!」


笑い声が雪の訓練場に響く。


しばらく遊んだ後、子供たちは満足して帰っていった。


「楽しかったですな」


豊久が笑った。


「ああ。たまには良い」


二人は雪だるまを作った。


大きな雪だるまが完成すると、豊久が言った。


「これは私たちですな。一つは知恵者、一つは武人」


「どちらがどちらだ?」


「両方です!」


祐兵は笑った。


雪はまだ降り続けている。


白い世界の中で、二人の姿は温かく輝いていた。

~二人の日常は、こうして穏やかに、そして豊かに続いていく~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ