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第二章 波乱のギルド研修                第五話

「で、出た!」 

 

 ミランダもメノも驚いている。

 喜んだのも束の間――


「あちぃっ!!」


 人差し指につきそうなぐらいに出した炎が熱くて、地面にこすり何とか消すことが出来た。

 

「あっ、ごめん……今、素手で魔法を使うのは危険だって言おうとしたんだけど、あなたがまさか炎を発現させるなんて思わなくて」


 ミランダが申し訳なさそうな表情で言う。


「いや、俺が勝手にしたことですから。それより自分が出した魔法は自分には無害なんじゃないんですか?」


「魔法はそんなに甘いものではないわ。普通は耐熱性や耐冷性の手袋をしたり、杖やロッドなどの特殊な加工をしたモノを使うのが常識よ」


「全然知らなかった……」


「でもイロハ……あなた、最初から魔力を発現させるなんてなかなか出来ないことよ、驚いたわ」


 まさかEランクの俺が誉められるとは……。


 三人のやり取りを離れて見ていたレオネスは思った。

 面白い二人だ。一人はSランク並みの魔力があるのに魔法を発現出来ない。かたやもう一人はEランクなのに魔法をすぐ発現させた。

 魔力判定はあくまで魔法の潜在能力を測るためのものだ。発現させる才能はまた別にある。

 雪の地域で暮らす者は、氷の魔法を発現させやすいと聞いたことがある。魔法使いは、これまで育った環境や経験に大きく影響する。


「イロハ、あなたは確かEランクだったわね。Eランクはかなり魔力が少ないから使い過ぎに注意ね」 


 ミランダは俺が危なっかしいのを感じたのか心配するように言ってくれた。


「使い過ぎるとどうなるんですか?」


「まずは血の気がひいてきて脱力を感じるわ。もっとひどくなると意識が混濁(こんだく)して気を失うの。そのまま亡くなった人もいるわ」

  

「…………そうですか……色々教えてくれてありがとうございます」

 

 魔法を出せた嬉しさはあるが、危険なものでもあると実感してしまった。それまで魔法に対して幻想的な良いイメージだけを想像していたが違った。

 だけど色々知れて来た甲斐があった。


「休憩は終わりだ、行くぞ」


 レオネスは立ち上がりみんなに言う。


 再び俺達は移動し、山の(ふもと)まで来た。目の前にある岩石地帯は、大小様々な岩が点々とあり、先が見通しにくい。

 レオネスは厳しい表情に変わる。


「ここからは、いつゴブリンと遭遇してもおかしくない。二人は俺達の真ん中にいろ。見学と言ったが戦う準備はしといてくれ」


 俺とメノは黙って頷く。

 他の三人もレオネス同様戦闘モード切り替わり武器をそれぞれ持ち、構える。

 前衛にレオネスとボット。

 後衛にミランダとゲイル。

 俺達はその間に入り守られる陣形で岩石地帯へと進んで行く。

 前衛のレオネスとボットが前方の様子を注意深く探っていると。


 「あそこゴブリンいる」

 

 ゴブリンのいる方向にボットが斧を向けてみんなに知らせる。ゴブリンも俺達に気づいたのか岩陰から4体出てきたのだ。

 ゴブリンは想像の通り鼻や耳が長く尖っており、異様な目をしている。身長はそれほど高くはなく、肌は緑色で手には棍棒や短剣を握っている。

 

「ボット行くぞ」


 レオネスはボットに同行を求め、武器を構えて四体のゴブリンとの間を素早く埋める。ゴブリンが棍棒を振り回すより速くレオネスのサーベルが一匹のゴブリンの心臓に突き刺した。

 ボットもレオネスに続き斧を振り上げゴブリンめがけて振り降ろす――。短剣で防ごうとするもボットの斧は力強く、短剣を折り、ゴブリンの頭を鈍い音と共に深く(えぐ)った。

 あっという間に二匹のゴブリンが地面に倒れこんだのだ。


「冒険者強えっーー!」


 あまりの速さに俺は言ってしまった。


「後ろにもゴブリンがいるぞ!」


「―――!」


 後衛のゲイルの声がして振り返ると、三体のゴブリンが俺達が来た道に回り込んでいたのだ。

 俺達の背後を取り、薄気味悪い笑みを浮かべ、ゴブリン共は後衛の二人に向かって走る。


 そうか、前方のゴブリンは囮だったんだ――

 最初から挟み撃ちにするのが向こうの作戦なのだ。まんまとやられた。前衛の二人とは距離があるし、あと二体のゴブリンを倒すのに少し時間がかかる。

 

 ヤバいな……魔法職の二人じゃ、接近戦は不利だ


「やはりそう来ると思ってたわ」


「本当に芸がないヤツラですね」


「…………?」


 ミランダとゲイルがまるでゴブリンの作戦を見抜いてたかのような発言をした。

 準備してたかの如く杖をゴブリンに向けミランダは呪文を唱える。


「レイシクル!」


 ミランダの杖の周りに氷のつららが五つ現れ、ゴブリンに放たれた。

 先頭のゴブリンの身体に幾つものつららが全身に刺さり倒れ込む。

 その倒れたゴブリンのことなど気にすることなく二匹目ゴブリンがゲイルを狙い近づく。


「ふー、近接戦は苦手なんですがね……」


 腰に忍ばせていた短剣を取り出しながらゲイルは呟き、二匹目のゴブリンの攻撃を軽く躱し、短剣で首を刺して仕留めた。

 三匹目のゴブリンは気づいたら地面に伏していた。その前には返り血のついた杖を持つミランダが嫌そうな顔をして言う。


「あ〜あ、洗わないといけなくなったじゃない」


「魔法職も強ええええっーー」


 びっくりして叫んでしまった。

 状況から察するにミランダが直接杖で叩いてゴブリンを倒したのだ。

 俺の知ってる魔法職は魔法以外は出来ないイメージだった。だけど、魔術師のミランダ、僧侶のゲイルはなんと魔法に頼らずゴブリンを倒してしまったのだ。

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