六
ジュンに真相を伝えに行くため、また山登りだ。
前より休憩する回数がはるかに増えた気がする。お礼として日本酒のサイダー割りを持ってきているが、その瓶を新聞とタオルでくるんで何本かリュックに入れている。それが重かったのだろう。
頬から汗と涙が交じって伝い、土や苔に垂れる。
もうここまでだ。もう歩けない。もう限界だ。
だが、こうなることを予想でもしていたのかジュンは以前と違い高い場所ではなく低い涼しげな川のほとりで僕を待っていてくれた。倒れこむように座ると、少しずつ何がどうなったのか話していった。
「まさか、奴の指紋データが過去に協力者として採取されたものだったとは。さらにあの叔父さんも関わっていた事件の、だよ。それを知った時は驚いたよ」
半分飲んだサイダー割りを片手に言った。
「そんなこともある」
ジュンは何かの実を大事にちょっとずつ食べている。サイダー割りもちびちびと飲む。
「叔父さん、だいぶ活躍してたからね〜」
顔がさらに熱くなった。
「あんな奴がいるのは当たり前のことだ。人を操作するなんて誰にも出来やしない」
ジュンは僕を見透かしていた。
僕はジュンに隠すことをやめた。そもそも無駄だった。
「うん……そうだね。分かってる。あの子はずっと前に死んでたんだ。分かってる。そうさ」
僕の瓶からはいつの間にかほとんど零れていた。
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このエピソードをもって完結となります。