メロンソーダの約束
Ryoは、仕事帰りにふと懐かしい喫茶店へ立ち寄った。メニューを開くと、そこに「メロンソーダ」があった。迷わず注文し、ゆっくりとグラスを口に運ぶ。
しゅわしゅわと弾ける炭酸。甘く、どこか切ない味が広がる。
「Ryoくん、大人になってもメロンソーダ、好きでいてね。」
中学生の頃の記憶が蘇る。放課後、ちあきが微笑みながら奢ってくれたあの日。彼は遠慮して「水でいい」と言ったが、ちあきは笑って言った。「じゃあ、私が奢るね。」
それから二人は仲良く過ごしたが、ちあきは親の転勤で引っ越してしまった。最後の日、彼女は駅のホームで手を振りながら言った。「忘れないでね。」
そして今、Ryoはメロンソーダを飲みながら、静かに呟いた。
「ちあき、俺、今でもメロンソーダ、好きだよ。」
窓の外には、やわらかな街の灯りがにじんでいた。