N★T★R・・・10 パンツはパンツでも!?(若干BL要素入ってます?)
袖振り合うも他生の縁・・・
街中でふと触れ合う袖。
ただそれだけの出来事なのに、それらは前世から縁がある人物かもしれない・・・
ちょっとした事で知り合った人物であっても何かしらの縁があって知り合ったかもしれない。
それが深い仲に繋がる可能性もあるだろうし、そうではなくそのまま一生涯その人とは再び出会う事もないのかもしれない。
そして、今俺はその「袖振り合うも他生の縁」の真っただ中であった。
「マズイな・・・まさか俺の机の中にこ、こ、こんなモノが入っているなんて!?」
時刻は15時50分。
帰宅しようとした俺は担任教師に呼び出され手伝いをして欲しいと頼まれちょっとだけ帰る時間が遅くなってしまった。
莉子は仕事が入っていて先に帰ってしまった。
「ふむ、むしろ良いタイミングだったのだろう!」
「何が?」
「へ!?・・・」
俺は机の中に入っていたアレを両手に持ちそのまま声のする方へと振り返った・・・
「ヤッホ♪」
「・・・・・・・・・」
「?」
辛うじて首だけを向けた為相手には持っている物は見えなかった様だ。
「え、えぇ~っと・・・も、モデルの一之瀬美亜・・・さんだよね?」
「そだよ。って何ボケかましてるの?先生の用事終わったんでしょ?だったら久しぶりに一緒に帰ろうよ?」
「え、えぇっと・・・お、俺・・・ちょっと整理したいんだ(頭の)先に帰って頂いて宜しいでしょうかぁ~?」
丁寧に全身硬直したまま彼女に言った。
「えぇ~!?私も丁度用事が終わったから一緒に帰られる大チャンスだと思ったのに・・・」
「あ、あぁ~・・・ははは。ごめんな~、色々と片付けたいんだよ。結構最近貯まってたからなぁ~・・・」
苦笑いで答える俺。
「ふぅ~ん♡何だぁ~♪溜まってたの?だったらぁ~♡」
しまった!この展開はマズイ!非常に・・・マズイ!
「い、いや。冗談抜きでマジで片付けたいんだよ!机の中も汚れてたみたいだからさ。い、いいから先に帰ってろって!」
冷汗混じりで俺は必死に説得した。
「そっか・・・だったら仕方ない。あ、言っておくけど女の子のパンティー持ったままはぁはぁしてると変態だって思われて大変な事になるから気を付けなよ?じゃぁ、先帰ってるね~」
そうか・・・既にバレてたのか・・・
「最初からそこツッコんどけぇぇぇ~っ!!!」
帰宅後・・・
「それにしても、何故俺の机の中に女子の下着が?」
いくら考えても理解不能である。
ただ、一つだけ全ての問題が解決する糸口に心当たりがある。
「ちょ~っと、菜々子さん?そこへ座ってはくれませんでしょうか?」
俺は目を瞑り、冷静に菜々子を呼びかけた。
「え?いいけど、鷹矢から誘って来るなんて珍しい事もあるものだね~(ニヤニヤ♡)」
「さっき気付いていたみたいだから普通に話を進めるが、コレお前の仕業だろ?」
俺は手に持っていたアノパンティーを机に差し出す。
「うぅ~ん・・・趣味悪いよね~?こんな如何にもって感じのエナメル質の紫色をしたパンティー。それも露出部分が結構多いからある意味紐パンとかビキニみたいな感じもするし・・・」
この反応、菜々子じゃないのか!?
「それに!・・・いくら私だって学校でそんな変な事しないって!」
いや、どの口が言う?
こっちへ編入して来たしょっぱなから莉子を呼び出して仕向けていた事やら、
さっきもそうだったが、学校で溜まっているんだったらどうのとか・・・
「よ~く見てみなよ?これ、開きあるじゃない」
菜々子に言われて初めて気が付いた。
指摘された通り、真ん中部分に開き目がある・・・
「ってコレ!?」
そこで初めて俺も全てが一つに繋がった!
「えぇ、これは男子用のパンティー」
いやいやいやいやいや、男子がパンティーって穿くもんなのか!?
「汚ねっ!!!」
食卓の上に堂々と広げて置いていたパンティーを俺は急いでゴミ箱へポイした。
「ぷっ。鷹矢ってば、そっちの趣味があったんだぁ~♪」
わざと揶揄って来る菜々子さん。
「おまっ!分かってて何も言わなかったのか!?」
「だって、鷹矢は気付いてて隠していたのかなって思ってたから・・・」
「んなワケあるかぁっ!!・・・それで全然怒らなかったのか」
「えぇ~?それでってどう言う意味かなぁ~?」
俺の横に来るとニヘラ顔を浮かべて頬を突いて来る。
「五月蠅いっ!もういい。解決・・・ってそうじゃなくてだな、何で俺の机なんだよ?あんな汚物俺に対しての嫌がらせか何かか?」
「ん~、どうだろうね~?鷹矢は恨みを買う様な事はしないと信じているけど・・・」
突然、険しい表情に豹変する菜々子。
「ひょっとすると、知らない間に誰かに恨みを買われていた・・・とか?」
「だとすれば、何の意味があって人さまの机の中に男モノのパンティーを放り込むんだよ?」
「そんなの、私が知ってるワケ無いじゃない!本人に直接聞いてみれば?」
「その本人さんが誰なのかが分からないんだよっ!」
「まぁ、学園外の人物とは考えにくいからゆっくり探せば?」
「本当、他人事だな・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日
「おぃおぃ、大変だぞ!?別のクラスだけど昨日転入生が来たらしいぜ?」
教室に入るやいなや、鉄平が近付いて来ると大きな声で俺達に話掛けて来た。
「お前はいつも声がデカい!悪い事じゃないが、少しは空気を読め」
隣に莉子が少したじろいだ状態で佇んでいた。
「何かさ、超絶イケメン男子だと思ったらさっき聞いた話なんだけどさ、どうやら芸能人らしいぜ?お前、莉子ちゃん守ってやれよな?」
少し胸騒ぎがした。
だが、まさかな・・・
「鉄平君。言っておくけれど私、鷹矢以外は眼中にないから!
何をされてもこの気持ちが他に移っちゃう事なんて100%あり得ないからっ!」
佇んでいた莉子が鉄平の目の前に来るとしっかりとした強い口調で言い切った。
「お、おぅ・・・莉子ちゃん、いつもに無く凄いオーラを放ってるね・・・じょ、冗談だよ冗談、あはははは・・・」
「お前の冗談は既に冗談じゃねぇんだよ!」
一応、ツッコミを入れておく。
そして、昼休みに俺は雪人と鉄平に例のパンティーの件を伝える。
「マジかよっ!?お前、それってコクられてんじゃねぇの?」
「おぃ、鉄平。今日は一段と度を越えた発言が目立っているぞ?鷹矢は困ってるんだ。君もいい加減にそう言う部分を察する力を身に着けた方がいい」
いつもの様に雪人が鋭いキレのあるツッコミを披露してくれる。
「それにしても、お前、パンティーって言ったよな?トランクスとかブリーフとかじゃねぇんだよな?」
「あぁ、最初見間違えたからな。女子の下着だとばかり思っていたんだけど前の方に開きがあったからこれは男子用だと分かって・・・」
思い出すだけでも反吐が出そうだった。
だが、犯人がこの学園内にいると考えると一刻も早く捕まえたいとさえ思える。
この不快感を何日も味わう事になると考えただけで俺は滅入る・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「って、それマジかよ!ウケるぅ~。それでどうなったんだよ?」
「あぁ、何か離れた瞬間どこぞの馬の骨とも知んねぇ野郎に寝取られちまったって聞いてる」
「馬鹿だよなぁ~。自分の彼女を信じていた男が知らねぇ間に他の男に寝取られてんだぜ?間抜けにも程があんだろう?」
昼休み、廊下を歩いていると下品な喋り声が聞こえて来た。
廊下の端の方でお弁当を食べながら大声で誰かの陰口を言っているみたいだった。
「七条鷹矢って言ったっけ?そいつ、ホント馬鹿だよバ~カ♪」
どうやら、品格の無い話をしていたのは鷹矢と私の事だったみたいだ。
「けどさ?妹は義理で超絶美少女だとか・・・」
「それマジ話!?そんな軽い女俺でも奪えるんじゃね?」
「ぎゃはははは、いやいやお前はねぇわ~♪むしろお義兄ちゃん側だわぁ~」
「んだよ!テメェだって同じじゃねぁかよ」
「いや、でもホント馬鹿過ぎて笑えるわ~あははははは」
「・・・・・・・・アンタ達の方がよっぽどバカでクズだっつぅの!!!」
「へ!?・・・き、キミって・・・一之瀬美亜ちゃん!?」
私はそのまま黙ってその場を後にした。
「んだよ!アイツ、ちょっと可愛いからって調子こいてんじゃねぇっつぅの!」
「ねぇ、君達?人の事を笑い者にして下品に廊下でバカデカい声出しながら注意されてその態度・・・気に食わないな」
「んだとぉぉ~!?テメェ、昨日転入して来たヤツじゃねぇか!ナマ言ってんじゃねぇぞぉっ!!!」
「っ!・・・遅過ぎだよ」
バキッ!
「んだぁっ!?手・・・手がい、イダダダダダダダダ!!!」
「もう一度聞こうか?どちらが叱られるべき人物であるのかを・・・」
「お、俺達が悪かった・・・だからもう・・・止めてくれぇぇぇ~」
「仕方がない。でも次同じ事をしたら・・・容赦しないからね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パンティー事件から1週間。
依然として犯人らしき人物すら見当たらず。
「おぃ、知ってるか?先週転入して来た男子生徒の件!」
「そんな、どこぞのライトノベルのタイトルらしき案件になっているぞ?・・・
って俺、ライトノベル知らないけどな」
「どうやら、陰口言っていた生徒にガツンと灸を据えたらしいぜ?」
「そうなんだ。それは中々出来た人間って事じゃないのか?」
「それがだな。直前に一之瀬さんが何か言っていたらしいぜ?」
菜々子が!?・・・一体何だろう?
「きっと・・・」
「鉄平、そこまでだ」
鉄平が続きを喋ろうとした瞬間、雪人が止めに入った。
「何でだよ?」
「何ででもだ!鷹矢が考え込んでいるじゃないか」
菜々子がその陰口を言っている生徒に何かを言ったのか?
あまりそう言う事をしない菜々子のはずが一体何を喋っていたんだろう?
「鷹矢、あまり気にするな。君はいつも考え込んでしまう。
一之瀬さんも色々とあるだろうし」
「あ、うん。まぁ・・・いいんだけど」
放課後、俺はまた担任に呼び出され雑用を手伝わされていた。
「すまんな。何度も。お前は真面目で気が利くから助かるんだ。
ほら、これは誰にも言うなよ?」
雑用終了直後、先生は俺に映画のチケットを2枚渡してくれた。
「あ、あぁ・・・ありがとう・・・ございます・・・」
ザ・任侠モノ
すみません。俺には縁が無い作品でした。
それも、2枚も頂いて誰と鑑賞して来いと?
「さてと、今日も今日とて一人で帰宅するのだが・・・」
そう呟き教室へ入ろうとすると・・・
「!?・・・あ、あぁ何と言うかこのクラスに一之瀬美亜さんと白川莉子さんがいると知ってね。流石にもう皆帰ってしまった様だね」
知らないイケメンが俺に話し掛けて来た。
「え、えぇ確かにそうですけど二人に何か用事ですか?」
俺も思わず返してしまった。
「あ、すまない。この間この学校へ編入して来たんだけど僕、二人と仕事をした事があってね。少し色々と話を聞いてみたい事があって・・・」
(二人と仕事をした事があるのか・・・
ってこのイケメンが編入直後から評判があったあの・・・)
「じゃぁ、君が例の有名な・・・」
二人に聞いてみたい事って何だ?
何か嫌な胸騒ぎを覚えた。
「おぉ!僕の事を知ってくれていたのか!それは光栄だ」
いや、学校に来てからのあの噂を耳にすれば誰だって・・・
「あ!そうだ。もし迷惑じゃなければ、帰り道どうかな?」
(多少嫌悪感を抱いてはいるが先日の菜々子の話が聞けるかもしれない!)
そう思うと俺は彼と帰宅を共にする。
校門を出た所で話題をあげようとしたのだが・・・
「え、えぇっと・・・僕の事は何処で知ってくれたのだろうか?」
流石は芸能人だ。
自分がどれ位人気があるのか気になっていると言う訳か・・・
「ご、ごめん。実は俺、うちの学校へ編入して来たのが芸能人で、話題になっていたからそれで知ったのが初めてなんだ」
正直に言ってみた。
「そ、そうか・・・」
言葉が詰まりそうになるとしょんぼりと俯いた。
「あ、そう言えばさ・・・な、いや、一之瀬美亜とも仕事をしたって言ってたけど、この間廊下で一之瀬が男子生徒に何か言って立ち去った後灸を据えたとか聞いたんだけど、何があったのか知ってるかなって思ってて・・・」
率直に尋ねてみる事にした。
すると・・・
「あ、あぁ。そんな事があったね。う~ん、これは君に直接言うべき事かどうか迷っているんだけど・・・」
少し困った面持ちで言葉を濁す。
「その様子だと俺の事を言っていたみたいだな」
「流石、勘が鋭いね。これ以上隠しても直ぐにバレてしまうだろう。
いいよ。何をあの男子生徒達が話していたかを教える事にするよ」
一瞬空を見上げると歩きながら一連の出来事について彼は話をしてくれた。
「まぁ、その話を聞いて僕は君と義理の妹さんの状況は理解出来たけど・・・」
菜々子は、その男子生徒が俺達のあの日の状況を笑い話として雑談していた事に怒りを覚えてひと言モノ申した後立ち去った訳か・・・
そして、彼が更に菜々子(一之瀬美亜)に対して文句を言っていた所に入って灸を据えたと言う事か・・・
「ありがとう。そいつ達を一之瀬と同じく怒ってくれた訳だな。感謝するよ」
「ふぅ~。相変わらず君は聡い。それでもって優しい・・・」
(相変わらず?・・・俺はこの男子を知っている?)
イケメン芸能人は優しい笑みを俺に見せた。
俺は背筋がゾクッとした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「菜々子。最近何か異変は無かったか?」
「え!?異変?・・・は特に無いけど・・・どうかしたの?あっ、まさか莉子ちゃんと言う超絶可愛い彼女がいるのにも関わらず他の女の子(な♡な♡こ)に目移りしちゃったとか!?」
「う~ん、話題の主旨を変えつつ何気に聞き捨てならぬワードを括弧内にブッ込んで来たよな?」
「えぇ~?そんな事ないよぅ~♡菜々子はいつでもOKだから♡」
(ダメだこりゃ・・・菜々子は本当に何を秘めているのだろうか?)
莉子にも電話をしてみる事にした。
「え?例の転校生の男子・・・うん、確かに一度仕事はしたよ。
菜々子ちゃんと一緒にバラエティー番組で。でもそれっきりだったから・・・
あ、まさか彼に寝取られちゃうんじゃって不安になっちゃった・・・とか?」
「あ、いや・・・別にそこまでは・・・」
「って事はそれに近い感情を覚えちゃったって事だよね?
大丈夫だよ。私は絶対に他の男の子になんて目移りしないから!
だから鷹矢、安心して?私の初めても全部鷹矢に捧げるつもりだから・・・」
とんでもない事を言われた様な気がしたが、今の所二人共大丈夫だったみたいだ。
安心した俺は今後の事があると思い、気を配る事にした。
そう思えば何かしらの出来事が起きてしまうもの・・・
数日後、事態は急変した。
「はぁ~・・・いつもの事ながら、何故俺ばかりなんだ!?」
また呼び出されてしまった・・・
どうやら俺は、ことごとく気に入られているみたいだ。
(先生にとって俺は都合の良い道具なのか!?)
ひと気が無くなった廊下を段ボール箱を抱えて視聴覚教室へ・・・
「それにしてもうちの学校は思いの外広いな・・・」
階段を上がり視聴覚教室が見える通路へ入ると・・・
「おぃ、一之瀬美亜ってあのグラドルじゃねぇのか?」
誰かの声が聞こえて来た。
俺は、視聴覚教室の手前の空き教室の中から聞こえて来た様に思いふとその教室の前へふと立ち止まる。
「そうなんだけどさ、こいつこの間ダチにナマ言って通り過ぎて行ったんだってよ」
「そりゃぁ黙っちゃいられんな。俺達の大切なダチなんだぜ?あ、そうだ♪
グラドルって言ってるからには流石にいい体してんじゃねぇか。ちょっとヤラせろよ?それで許してやるよ」
「誰がアンタ達なんかに!?」
(ん?この声まさか!菜々子か!?)
「お前みてぇなヤツ枕とか経験済みなんだろ?いいからヤラせろよっ!」
「キャッ!・・・止めてっ!放してよっ!私はそんな事していない!大切な人は1人だけだからっ!!」
「またまた、演技うめぇな。ほら、黙って俺に抱かれろよ?あ、オメェらも俺が終わったらな?」
数人の男子生徒が取り巻き菜々子が襲われそうになっていた。
「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~ッ!!!!!」
菜々子が襲われる!!
「クソッ!!!ざけんじねぇぇぇぇぇぇ~!!!」
俺がその教室の扉を開けようとした時、反対側から駆け付けた男子生徒が先に教室の中へと入った。
ドカッ!バキッ!!
「うごっ!!・・・な、誰だテメェ・・・」
あの転入生だった。
「君達。これは重大な犯罪だぞ。直ぐに警察に通報し、厳正な対処を学園に求める」
「う、うっせぇぇぇぇ~!!!」
大声を出して襲い掛かる男子生徒をも一本背負いで投げ倒し、
その場は収拾がついた。
「もう、大丈夫だよ。今、携帯で先生に連絡を入れたから。警察にも通報してくれるみたいだ。それより、怪我は?」
「あ、ありがとう・・・この間もあの後・・・」
「いいや、僕は何もやってないさ。大切な人を馬鹿にされたら誰だって許せないよ。僕だって君と同じ気持ちになったと思う・・・」
「え!?・・・あの・・・私と鷹矢の事・・・」
「あぁ、大体の察しは付いているよ。それより、辛いだろうから良ければ」
そう言うと震えていた菜々子は彼に寄りそう様に近付き密着した。
(あれ!?・・・俺、何・・・やってんだっけ?)
俺は鼓動が早くなり、頭が真っ白になってその場に倒れてしまった。
「ん?・・・ここ・・・は?」
「目が覚めたかい?相当ショックだったんだろうね。色々と頭の中に過った後君は気を失ったみたいだ」
「運んで・・・くれたのか?」
保健室へ運んでくれたみたいだ。
「色々と大変だったと思うし、過去の記憶にリンクしてしまったんだろうね。
もう、夜になる。君の事も先生に伝えてある。君は落ち着いたら帰るといい」
「悪い。俺・・・」
「それ以上は言わなくても分かるよ。
君は正義感の強い男子だ。僕の事は忘れてしまっているみたいだけど、
僕は君の事を忘れない」
意味深なセリフを言って来た。
「あの・・・ずっと気になっていた事なんだけど」
思い切って聞いてみる事にした。
「何だい?」
「俺、あんたと会った事あるのか?だとすれば悪いけど俺、本当に覚えていなくて・・・」
そう言うと俺の口に人差し指を押し当てると・・・
「あれは、僕がまだ芸能界へ入る前の出来事だった・・・
一人で遊んでいると周りが真っ暗になってしまって変な男に連れて行かれそうになった事があってね、その時に君が現れて手を繋いで一緒に交番まで走って助けてくれたんだよ」
俺が?・・・
「えぇっと・・・それが俺だって言う確証はあるのか?」
「あぁ、明確な証拠がね」
どうやらその日の帰りに俺が両親に連れられて帰宅する所を見ていたらしく、
名前も憶えていたみたいだ。
「だから・・・その日以来僕の心は君に向いていたと言う訳さ」
潤んだ瞳で俺を見つめて来る・・・
(こ、これって!?かの有名な・・・アルファベット2文字で記されるあの・・・)
「い、いや!それが俺だったとして、どうしてこうなるんだ!?
俺は、俺には付き合っている女の子がいて・・・それで・・・」
慌てる俺を眺めながら楽しそうに笑みを零す美少年・・・
「ぷぷっ♪あぁ、知っているとも。えぇっと、白川莉子さんだよね?
以前一緒した番組の楽屋で少し聞いた事があるよ」
知っていたにも関わらず?
「ねぇ、鷹矢君。君も寝取られる子の気持ちを知りたくは無いかい?」
(それって、俺がこの目の前の男子に寝取られろって事か?
いやいやいやいやいや!それだけは絶対にあり得ない!)
「何を言って・・・」
「まぁ、誰が一番先に君と出逢っているのかは別として、僕だって君を寝取られてしまった身ではあるんだけどな・・・」
俺から目を決して離さず引き続き潤んだ瞳は俺に媚びている様に見える・・・
「な、何て言うのか・・・真面目な事を言う様で恐縮なんだけど・・・
俺、本当に莉子が好きなんです。だから・・・ごめんなさい」
「・・・・・・・ふふっ。君ならきっとそう言うと思ったよ。試す様な真似をして済まない。二人共、これで分かっただろ?」
そう言うとベッドを区分けしているカーテンが開かれそこにいたのは・・・
「ご、ごめんなさい・・・」
「その・・・彼が鷹矢を奪い取るって言うから鷹矢はそう言う趣味も無いし、意志も固いから絶対に貴方には靡かないって言ったんだけど・・・」
菜々子と莉子が分が悪そうに立っていた。
「お前ら・・・後で説教な!」
「はい・・・」
「ごめんなさい・・・」
「ははは。まぁ、許してあげてくれないかな?これは僕が彼女達に挑戦状みたいに送り付けた様なものだからね。それに、僕のこの気持ちに嘘偽りはないからね」
パコンッ!
「お前もだっ!」
俺は思わず上履きを手に持ってイケメン男子の後頭部を叩いた。
「痛っ・・・あ、その証拠に例のアレ・・・どうだった?」
耳元で囁く様に言って来たが何の事だ?
「な、何だよ例のアレって?」
「アレだよア・レ・・・僕の穿いていた・・・」
穿いて・・・という単語を聞いて一気に蘇った。
「あ、アレってアレ・・・の事だよな?アレはつまり・・・
穿いていたやつ?」
理解出来た俺は改めて恐る恐る質疑した。
「うん」
笑顔で一度だけ頭を上下に振る。
「ぎ、ぎ、ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~!!!!!!!!!!!!!」
「なんてね。流石にそんな変態染みた事なんかしないよ!あれは、ちゃんと洗濯してあるものだから安心して」
「何が「なんてね」だぁぁぁっ!!!人さまの机の中に自分が穿いた例え洗濯済みであってもその行動自体が変態なんだよ!!!!!!!!」
「お気に召して頂けたかな?」
「謹んでゴミ箱へお還り頂いたわっ!!!!!」
「えっ!?・・・鷹矢の机の中に彼がパンツを入れたの!?」
「そ、そうみた~い・・・(知ってたけど)」
「気持ち悪い物入れてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ~!!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「と言う事があったそうです」
「ぷっ・・・な、何だいそのボーイズラブを無理矢理ギャグ要素に捻じ曲げた様な話は」
「会長。笑い話ではありません。七条君、悩んでいるみたいですから」
「まぁ、その転入生君のおかげで小悪な生徒は除外は出来たから感謝はしているよ」
それにしても、今回の彼は問題無かったみたいだが、きっと鷹矢君達の周囲に必ず元凶の犯人が接近して来る事は目に見えている。
このまま様子を伺う事しか今は出来ないが、必ず鷹矢君や菜々子ちゃんを苦しめている犯人は捕まえて見せる。
「会長?ボールペンの圧が強過ぎて書類が破れそうになっていますが・・・それにプルプルと震えていらっしゃいますが、どうかされたのですか?」
「い、いや、大丈夫だよ。決して鷹矢君に急接近している彼が羨ましいだとか自分も迫ってみたいだとか・・・そう言う事は考えていないからね」
(会長・・・それ程までに七条君の事が?)
♪コンコンコン
「どうぞ?」
「失礼します」
俺は、今回の件を念の為に会長にも話する事にした。
「おや?鷹矢君じゃないか。今お茶を淹れるからソファーに腰掛けてくれればいいよ」
「あ、すみません。俺なんかの為に・・・少しお話がありまして・・・」
「君達、ありがとう。後は直ぐに終わるからきょうは帰ってくれていいよ。
部活の子は部活の方へ」
俺がソファーに座ると、会長以外の生徒会メンバー達は出て行った。
「そうかい。色々と大変だったね。でも、鷹矢君は何もされていなかったのかな?」
「え!?俺ですか?・・・はい。俺は全く問題はありません」
「こう、鷹矢君の顎に手を掛けて・・・君の事が欲しい・・・などと世迷言で鷹矢君の心を惑わせて迫られたりとかは?・・・」
会長はソファーの隣であの男子にされた事を再現するかの如く凛とした瞳で俺を見つめて迫った。
「ちょっ!?何やってんですか!そんな事・・・って俺その話しましたっけ?」
「いや、さっきメンバーから聞いたんだ。君が転入生にこの様な事をされたと・・・」
「あぁ~、そんな事まで話があがっていたんですね」
だが、あれは男子から男子へ・・・
俺はそう言う趣味も無いし普通に断るよな。
「何か困った事があったら直ぐに私の所へ来るんだ!いいね!?」
「あ、あぁ・・・ありがとうございます。会長は頼りになりますからね・・・」
適当にあしらう。
「それか、あの様な事になるのならばこの私が今ここで・・・」
「会長。目がマジになってます」
「へ!?・・・あ、あぁ、すまない。転入生の様な状態になった時の事が頭に浮かび上がってしまってね。気にしないで欲しい」
「いや、完全にハート目になってましたから・・・説得力皆無です」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやぁ~、まさかのBL展開。まぁ、私は鷹矢の事を信じていたけどね」
「どの口が言う!?」
カーテンを開けた時、菜々子の足は確実に震えていた。
菜々子に纏わる人物だったのか?
だが、彼は俺に興味があったみたいだし、あのパンツの件もあったのだから
先ず関係は無いと踏んでいいだろう。
でも、菜々子は今も苦しんでいるみたいだ。
夜な夜な電話で誰かと通話している声が聞こえて来る日もある。
本人は、振られたとは言っているけどまだ関係は続いている気がしてならない。
だとすると、俺達が通っている学校に接触を試みようとして入って来る可能性も考えられるはずだ。
「かや?鷹矢?・・・大丈夫?」
「あ?あぁ、大丈夫だ。ちょっと考え事をしてただけだから・・・
それにしても、例の退学で捕まった生徒達に怒ってくれたみたいだな。
その・・・ありがとう・・・」
「へ!?・・・知ってたの?」
鷹矢が私にお礼を言ってくれるなんて♪
「あいつが教えてくれた。何か、悪いな。あれが無ければお前があいつらに酷い事をされそうにならなくて済んだと思うと・・・それに、俺もあんな間抜けな事になっちまうなんて!」
俺は話を続けている内に自分に腹が立って来た。
肝心な所で気を失ってしまう自分が許せなかった・・・
「え!?」
そう考えていると菜々子が俺を抱きしめてこう言った。
「大丈夫・・・私は絶対に靡かないから・・・鷹矢がこうして信じてくれているなら決して・・・」
何故か懐かしい気持ちがした。
昔もこう言う事をされた事があった様な・・・
「菜々子・・・」
「ねぇ?キス・・・しよ?」
「・・・・・菜々子・・・ダメだ!それだけは・・・俺には莉子がいる」
流される訳にはいかない。
俺には大切な彼女がいるんだ!
起きている、正気の状態で俺自ら莉子では無く菜々子を求めてしまえば・・・
「何てね♪・・・やっぱ鷹矢はガードが堅いかぁ~・・・でもいつか堕としてやるから覚悟しててね!?その時は、俺~、菜々子じゃなきゃイケない体になっちゃったぁ~♡菜々子に身も心も捧げま~す♡・・・って言わせてあげるんだから♪」
「ったく。ふざけやがって!早く寝ろっ!」
「ふぁぁぁ~・・・丁度眠くなって来たから寝る所だよ!ほら、鷹矢、一緒に寝るんだから早く私の部屋へイこ?」
「微妙に下ネタ引っ掛けて来るよな?俺もスルーすればいいんだろうけど、気になって仕方ねぇ!」
「今の会話の何処に下ネタがあるのよ?私は健全なJKなんだからっ!」
「一緒に寝る=SEXだろ!部屋へイこ=絶頂だろ!」
「きゃん♡鷹矢ってばエッチぃ~♡私の言葉でそんな妄想してたんだぁ~♪ケダモノみたいね♪」
「五月蠅いっ!本当の意味で襲うぞ!?」
「きゃぁぁぁ~♪鷹矢がエロ魔獣になっちゃったぁ~♡襲われちゃうぅぅぅ~♡」
「嬉しそうに言ってんじゃねぇ!とっとと寝ろ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はい。と、とっても・・・気持ち・・・良かった・・・です。
いつもより・・・感度が・・・上が・・・って・・・
た、鷹矢ですか?・・・はい。徐々にですが私に対する抵抗心も薄くなって来ている様な気が・・・しま・・・す。
私のエッチなトラップ・・・ハニートラップにもそれ程抵抗無く・・・
恐らく・・・
恐らくですが、鷹矢の心の傷も少しずつ・・・はいぃぃぃ~
ちゃんと、弄ってますぅ~。
ご主人様の事を考えながら・・・
決して・・・鷹矢の事を想いながら・・・では無く・・・
はい・・・ご命令通りお与え頂いたパンティーを穿いて擦りながら・・・んっ!
必ず・・・鷹矢の心を再び私へ振り向く様に仕向けて・・・あっ!
ご覧に・・・いれます・・・
どうか・・・お慈悲を・・・出来損ないの菜々子にお慈悲をお与え下さい。
んっ!い、イクッ・・・イキますぅ・・・ご許可・・・ありがとうございます」
今日も、不快で辛い報告の時間が終わった。
気持ち良くも無い状況の中、無理に感じている演技で私は主に報告と自慰行為を聞かせる。
鷹矢の心は既に・・・
でも、私は挫けない。
鷹矢の気持ちが私に向く事は・・・無い。
だって、鷹矢を裏切ったのは私だから・・・
私が再びこうして元恋人の所へ転がり込んで誘惑した所で
不快感や嫌悪感しか生まれないだろう。
私が逆の立場だってそうだ。
「でも、これは・・・表面。建前の話・・・」
私は、初めて鷹矢と出逢ってから鷹矢と離れ離れになっていた時も、
今でもずっと鷹矢以外の男の人の事なんて心に無い。
鷹矢の心が万が一にでも私に靡いてくれたら・・・
私はこれ以上鷹矢を裏切る様な真似はしたくない。
その時が来てくれたら、今度は絶対に・・・
「ご主人様を・・・」
裏切って見せる!
「鷹矢、お義兄ちゃんは何を思う?・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生徒会室
「ふむ、やはり新たな情報と言うものはそちら側では取れないと言う事だね」
「はい。一応、一通り調べてはみたのですがこれ以上は難しいかと」
「分かった。では手数を掛けてしまい大変心苦しいけれど・・・」
「いえ、動く事に対しては慣れていますからその辺りは調整さえ掛けて下されば直ぐにでも」
「分かったよ。編入手続きは済ませておくからキミは安心してくれていい。詳細はまた数日以内に連絡を入れる事にするよ」
「ありがとうございます。必ず、菜々子さんと鷹矢さんの仲を崩した者を・・・」
「あぁ、それは私も全く同じ気持ちだよ。ところで・・・」
「はい。何かございましたか?」
「キミ、鷹矢君を大層気に入っているいたいだね (°Д°)クワッ!!」
「そっ、それは・・・ご安心下さい。私はそう言うつもりではありませんっ!」
「ふぅ~ん。そうかい?まぁ、今回の鷹矢君と菜々子君の間に踏み入った者の二の舞とならなければ良いだけさ」
「あ、あの・・・電話越しに物凄い騒音が聞こえて来るのですが・・・梨美夜様、一体何が!?」
「あぁ、気にしないで欲しい。誰もいない生徒会室で最近運動不足気味だから少し鍛えようかと思ってね♪」
「い、いや、そんな場所で鍛えるって・・・と、兎に角よろしくお願いいたします!」
「あぁ、宜しく頼むよ・・・私の唯一の右腕となってくれて本当に心強く思っている」
「そんな・・・恐れ多いお言葉です」
END