日律帝國最後の反抗9
mitotayo
お久しぶりです。設定を見直して修正して、煮詰めてたら定期考査が始まってしまいました。定期考査が終わったら気付けば3月になっててびっくりしました。とにかく、今回のは生存確認ということで、これから海戦の文章を考えていきます。また間が長くなるかもしれませんが許してください。
〈十三章 大海戦の予兆〉
マッツウェーク島から南西に600キロメートル進んだ地点に、怜軍機動艦隊が停泊していた。
「ヒルチャー司令、陣形の再編が完了しました」
副官がヒルチャーと呼んだ男に声をかける。ヒルチャーは無言で頷いた。
「敵の通信を傍受し暗号を解読した結果、敵機動艦隊は第二機動艦隊と判明しました。また、敵本国より援軍として一個艦隊を投入すると見られます」
副官の報告を聞き、ヒルチャーは数秒間考える素振りをして、口を開いた。
「慌てる必要は無い。日帝本土からこの周辺までは丸1週間かかるはずだ。1週間以内に追いつけば良い」
「はっ」
「日程は航海長と貴官に任せる。日帝の艦隊を各個撃破するのが目標だ」
ヒルチャーはそう言って副官を下がらせた後、一つため息を吐いて窓を見た。
「……日帝ほど戦いたく無い相手は居ないな」
ヒルチャー……マイク・スレーブ・ヒルチャーはそう呟いた。
怜軍機動艦隊からさらに南西400キロメートル離れた海域に、第二機動艦隊が居た。
「ウォール島まであと何日かかる?」
私、真田三郎は参謀に問いかけた。
「あと1週間程度です」
参謀は何故そんな事を訊くのかと言うような顔をしている。
「確かウォール島司令部から何隻か派遣されるはずだったな?」
「ええ、水先案内の為に軽巡洋艦1隻と駆逐艦2隻が派遣されたはずですが……」
「変だな。もう合流してもおかしくは無いはずだがな……」
私の言葉に参謀も首を傾げる。
「確かにそうですね……。司令部に電信を送りますか?」
「……いや、これ以上電信を使うと敵が暗号を解読してきそうなものだ。電信は控えた方が良いだろう」
参謀に言うと彼は頷いた。
──それにしてもおかしいな……。何もなければ良いが。
ただでさえ損傷艦を抱えているのに派遣艦捜索の為に戦力を割く余裕は無いからしょうがない。と自分に言い聞かせながら、私は指揮の為に艦橋へ向かった。
皇暦2515年7月12日、マッツウェーク海戦から2週間と2日が経った日。ウォール島から出発した軽巡1隻と駆逐艦2隻で構成された艦隊は濃霧の中を航行していた。
「夜中だし、霧は濃いし、曇りだし。何も見えやしねぇな」
軽巡洋艦「多古」の見張り員の1人が呟いた。
「こんな小型艦じゃあ電探も装備できないんだから目で見て判断しないといけないからな。しょうがないだろう?」
「んな事言ったって……、おっと、なんか前方に船影が見えねぇか?」
もう1人の見張り員が霧の中を目を凝らして見る。
「……ほんとだな。じゃあ俺ちょっと艦橋に報告してくる」
「おう、気ぃ付けろよー」
報告に行った仲間を見送り、見張り員は煙草を取り出して火をつけた。煙を吐いてふぅっと一息つく。数秒後、霧の向こうが赤く光った。続けて、ドォンと爆発音がする。
「んあ?なんだありぁ?」
見張り員が言い終わるのと同時に、多古の左側に居た駆逐艦が爆発した。真っ二つに折れた駆逐艦は爆炎をあげながら海に沈んでいく。
「えっ?なんだ?」
見張り員が左側に目を向けた瞬間、後ろ……多古の右側を航行していた駆逐艦も爆発した。続いて魚雷発射管にも誘爆したのかもう一度爆発し、3つに折れて沈み始めた。
「な……なんなんだぁ、一体?」
見張り員が呟くと同時に、多古にも衝撃が走った。
「ヒルチャー司令。前方に居た3隻の小型艦がレーダーから消失しました。恐らく撃沈出来たものかと」
「……うむ。よくやった」
怜軍機動艦隊の司令官、ヒルチャーはそう返事をした。
──何故小型艦が3隻もこちらに向かってきたんだ?まるで友軍を見つけたかのように……。日帝の援軍の先遣艦の類いか?だとするともう近くまで来ているのか……。
ヒルチャーはそこまで考えると、口を開いた。
「空母エンタープラネット、ホレステルに通達。夜が明けたら偵察機を発艦させる。攻撃機隊の発艦準備も最低限行うように。とな」
生存確認なので今回出てきた艦艇は後日紹介します。とにかく時間をつくらないと……。あとウォール島については現実世界で言うウェーク島がモチーフ……のはずです、はい。