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日律帝国最後の反抗  作者: mitotayo
名も無い島で
17/17

日律帝國最後の反抗17

mitotayo(みとたよ

お久しぶりです。本当にお久しぶりです。失踪していたわけではありません(事実的に失踪していたのは間違いない)。夏休みは部活で潰され、生徒会選挙は何故か当選して更に仕事が増え、夏休みが終わっても文化祭云々で生徒会地獄を味わう羽目になってこっちに手が回りませんでした。本当に申し訳ありません!頑張って時間作って書いていくので、またよろしくお願いします。

〈二十一章 夜闇に紛れた刺客〉

 白石が森下宅に着いた時、まだ綾香は帰ってきていなかった。

 「どこ行ったんだろう……」

 白石は思い当たる場所を片っ端から探し回っていたが一向に見つからず、気付けば日が暮れていた。

 「白石くんじゃないか。どうしたんだこんな所で?」

 白石が顔を上げると、森下和重が立っていた。

 「……綾香が走って何処かに行ってしまって、全く見つからないんです」

 「あぁ……なんだそんな事か」

 森下は全く驚いていない様だった。

 「そんなことって……」

 「あいつをよく知っている私が言っているんだ、そんな顔しなさんな。綾香は感情で動く性格だからこういう家出みたいなこともするんだ」

 森下は白石の肩に手を置いた。

 「きっと綾香はすぐ帰ってくるよ。感情の整理だか知らないが、私の妻が亡くなった時もそうだった。綾香は強い娘だ。君のことを嫌いになったりなんかしないよ」

 「森下大将がそう言われるのならそうなのでしょう。私も綾香に嫌われたくありませんから……」

 そう言って白石は小さく頷いた。


 「……どうしよう」

 綾香は日の暮れかけている空を眺めながら歩いていた。

 「飛び出したは良いけど……いや良くないか。武くんに嫌われちゃったらどーしよう……」

 頭を抱えてぶつぶつ言いながら歩いていると、ふと良い匂いがして綾香は顔を上げた。

 「あっ、食堂……。こんな所まで来ちゃってたんだ」

 綾香は少し悩み、結局立ち寄ることにした。

 「いらっしゃい!あら、森下さんの娘さんじゃない!」

 扉を開けると、女将が元気よく出迎えてくれた。

 「こんな時間に一人で居たら危ないじゃない。なんかあったのかい?」

 「あっ、いや、あのぅ……」

 綾香は女将に気圧されて言葉が出せないでいる。

 「同じ女なんだから遠慮せずに相談してみなさいよ!あれかい、恋愛かい?」

 言い当てられて綾香は目を見開いた。

 「あなたは分かりやすいわねぇ。不安な事があったら尚更人生の先輩に相談した方が良いわよ?」

 綾香は女将の言うことを聞いて事情を話すことにした。好きな軍人がいるということ、久しぶりに帰ってきたら以前より残酷な思考になってしまっていること、そして怒って走って来たことを女将に話した。

 「うーん……好きな子ってこの前来たあの子でしょ?だったら大丈夫だよ。あなたが思っているほど冷たい人にはきっとなっていないよ」

 「でも……」

 「心配する気持ちは分かるわ、私もそうだから。旦那が陸軍で東アニア方面軍にいるんだけどね、いつ戦死報告が来るかっていつもビクビクしてるんだよ。私がそんなんだからさ、きっと旦那も神経削って頑張ってると思うの」

 女将は綾香の背中をバシバシ叩いた。

 「あの子はそんなに弱い子じゃないと思うわ。あなたも信用してあげなさいな、せっかく身を粉にして私達を守ってくれてるのんだから」

 「……はい!ありがとうおばさん!」

綾香はにっこり笑って食堂を出て行った。


 「まだ帰ってこないですね……」

 白石は黒猫のクロを撫でながら呟いた。

 「うーん……。いつもならそろそろ帰ってくる頃なんだがなぁ」

 森下も首を傾げている。

 「しかしこう暑いのに蝉一匹鳴かないなんて、おかしいですね」

 「ああ、こんなに静かだと何かが起こりそうで怖いな」

 二人で窓の外を見た。

 「やめてくださいよ、私は怖い話は苦手なんです」

 「おや?そういう風に見えないな」

 「怪談話は本当に嫌いなんです。実際の話なんかなおさら……」

 白石が言い終わらない内に廊下で電話が鳴った。鳴森下が立ち上がって受話器を取りに行った。

 「はい森下。……哨戒……どこでだ?…………B42……推定目標は?…………東奏……今すぐ空襲警報を出せ!迎撃に上がれる航空部隊は全機出撃!高射砲も展開させろ!」

 森下は血相を変えて勢いよく命令を飛ばして通話を切った。

 「白石君、やはり蝉の一件は関係あった様だ。東奏府の七宝島(しちほうじま)近海で哨戒中の駆逐艦が怜軍の機動艦隊を発見したらしい」

 白石はクロを離して立ち上がった。

 「艦載機はB42。俗に言う戦術爆撃機だ。そいつが合計で65機、空母五隻から発艦したらしい。そして爆撃目標は、ここ東奏だ」

 「では、私はどうすれば?」

 「……ここから一番近い蒲島飛行場には予備機がいくつかある。休暇中に悪いが出来れば出撃して欲しい。もちろん無理にとは言わない」

 森下は一瞬考える素振りをしてからそう言った。

 「行くに決まってるじゃないですか。我々はこの国を守る為の軍にいるのですから」

 「ありがとう。飛行場には私から言っておく。ちゃんと君がいつも乗っている三三式艦戦を用意させておくよ」

 「ありがとうございます!」

 「歩きでは遠いからな、自転車を貸すよ。家の前の道を突き当たりまで行ったら飛行場はすぐそこだ」

 「はっ!」

 白石は飛行服を持って家を飛び出して行った。森下は白石を見送ってから電話を掛けた。

 「私だ。今から海軍の飛行士が一名そっちに行く。勿論腕は保証する…………。ああ、三三式艦戦を一機……いや、有るだけ用意しておいてくれ。頼む」

 森下は電話を終えると玄関を出た。

 「夜闇に紛れる黒い鉄の鳥。罪の無い民衆を死に誘う悪魔の不死鳥……」

 そう呟きながら、森下は東奏の中心部の空を睨んだ。


 7月30日午後7時11分、怜軍のB42戦術爆撃機隊が常総(じょうそう)半島上空に侵入。

 同時刻に東奏府、千奈(ちな)県、柏川(かいがわ)県全域に空襲警報発令。

 午後7時45分、蒲島、青山、羽川、曽根、横川飛行場から迎撃機が一斉離陸。東奏府上空にて待機。

 午後8時5分、高射砲部隊が千奈、東奏の県境に展開が完了。

 午後8時17分、B42部隊が高射砲の射程圏内に侵入。高射砲による迎撃により、12機の撃墜が確認されるが、東奏府に侵入を許す。

 そして午後8時36分、B42と羽川飛行場所属の二式戦闘機が接敵。大東海戦争初の日律帝國本土上空での空戦が始まった。

二ヶ月開くって相当忙しくないとそうならないはずなんですよね、と自分で思っています。

それはそうと東奏周辺の地名がある程度出て来ましたね。飛行場の名前は基本実際の地図には無いと思うんですけど、県名についてま分からないことは無いと思います。ゆめを壊す可能性があるのでこれ以上は言いません。

頑張って続編書きます。

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