日律帝國最後の反抗13
mitotayo
皆さんお久しぶりです!とある国家試験を受けることになってしまったので少し勉強に時間を振ることになってしまいました。もちろん落ちましたw。また中間考査も近づいてきてしまったので勉強をしなければいけません。ハッキリイッテ勉強なんか大っ嫌いです。
〈十七章 落ちた先で〉
「……んん、いっててて………」
白石は眩しい光を感じて目を開けた。目の前には朝日を跳ね返す青い海原と砂浜、そしてカモメが鳴きながら飛び回っている光景が広がっていた。
「……ここ、どこ?」
白石は辺りを見渡すと後ろには広葉樹が生い茂った森と、右翼が無く大破した状態の愛機があった。
「ああ、そうだ。イルカと衝突したんだった……。んで、ここはどこ?」
白石は起き上がって愛機に近づいた。
「機体から投げ出されたのかな……身体中痛いなぁ」
白石はブツブツ呟きながら操縦席から地図を取り出す。
「ウォール島……東北東……島……島……あった!」
白石が見つけた島は、ウォール島から少し離れた名前の無い無人島だった。
「人がいないんじゃしょうがないよなぁ……。通信機……通信機……」
白石は操縦席からさらにトンツー通信の出来る通信機を引っ張り出してきて、信号を発信し始めた。
「トントントン、ツーツーツー、トントントン……っと」
ぎこちない仕草で通信機を使っている白石にひとつの視線が向かっていた。
「よいしょ……っと。一旦これで良いか。なんかお腹すいたなぁ……。ん?」
白石は視線に気づいた。
「誰かいるのか?」
白石は視線を感じた方向に歩いて行く。操縦席から取り出した拳銃を握り締めながら慎重に草木をかき分けて進む。しばらく歩くとまた砂浜に行き着いた。しかし、白石はあるものを見て冷や汗をかき始めた。白石の目線の先には、翼端が破損しているエンゼルタイガーがあった。そして、機体の近くには、何か作業をしている男が居た。
──まさか敵が居るなんて……。
白石は動揺しつつも忍び足で男に近づいた。男は白石に気付いていない。そして白石は拳銃を構えた。
「動くな!」
白石の男はビクッと驚きつつも、両手を上げてこう返事をした。
「敵意はない。銃を下ろしてくれ」
白石は驚いた。
「……あんた、日律語が話せるのか?」
「ああ。しばらく日律帝國に住んでいた時期があったのでね」
白石は拳銃を下ろした。
「分かった、あんたを信用する。俺の名前は白石武。あんたは?」
男はしばらく考えてこう言った。
「その名前に聞き覚えがあるな……」
そして男は白石の方を向いた。
「僕の名前はアウグレット・フェルト。僕の名前を聞いたことは無いかい?」
男……アウグレットは白石にそう聞いた。白石は考え込んでから口を開いた。
「……そうだな……。その節は世話になったなぁ!!」
白石はそう言ってアウグレットに殴りかかった。アウグレットは白石の拳を手で受け止めてこう言った。
「森下さんにやった事を許して貰おうなんて考えてはいない。が、あの時は本当にすまなかった」
アウグレットにすんなり謝られて白石は呆気に取られた。
「森下さんは元気にしてるかい?戦争が始まる直前にレイブンに帰ったものだから謝罪も出来なくて」
「……ああ、元気にしてるよ。多分あんたの事なんかすっかり忘れてるんじゃ無いか?」
「うん、その方が良い。僕はあの時相当酷いことを言ってしまったからね」
白石はアウグレットの口調に違和感を覚えた。
「……あんた。あの時と印象がずいぶん違うな。もっとガキ大将みたいな感じだった気がするんだが」
「がきだいしょう?その日律語は知らないけど……確かにあの時はかなり調子に乗っていたな。……ふふっ。そうだな、こんな取ってつけたような丁寧語はやめようか。なんせ口調は厳しく矯正されたもんでね」
「……そうか。あんたも大変だったんだな」
「そういうお前も口調が変わったんじゃないか?なんか育ちが良さそうな言葉遣いだった気がするんだが」
「確かにそうだな。軍に入りたての頃に色々あってね」
白石はアウグレットと会話が弾んでいることに少し驚いていた。
「そうだろう。やっぱり成長の過程は環境で影響するんだなって思ったよ」
アウグレットは何やら神妙な顔で何かを考えている。その顔が面白かったのか白石は思わず吹き出してしまった。
「何笑ってんだよ?」
アウグレットは白石を睨む。
「いや、すまん。ちょっと面白い顔をしていたもんでな」
「おうおう、普通に悪口じゃないか」
白石はケラケラ笑いながらふと呟いた。
「アウグレットは日律語を話せるからこうやって意思疎通出来たが、これが違う奴だったらどうなっていたんだろうか……」
白石の言葉にアウグレットも真面目な顔になった。
「確かにそうだ。俺じゃなければお前が銃を向けてきた時点で撃ち合いになっていただろう」
「だとすればだ。戦争云々の前に相手の言語はある程度知っておかないと戦場で苦労するだろうな」
「そりゃそうだ。降伏しますって敵陣に行ったら言語が違うせいで意思疎通が出来ずに射殺……なんか普通にあるだろうし」
「そう考えると怖いな」
白石とアウグレットは互いに意思疎通が出来ることを喜んだ。空を見上げると、太陽は真上から少し西に傾いていた。
「腹減ったな」
アウグレットがお腹をさすっていった。
「ああ、確かになんか食べたいな」
白石は自分のお腹をながめた。
「そうだ。飛行食て感じのサンドイッチがあるんだ。一緒に食うか?」
「さんどいっち?なんだ、あのパンで具材を挟むやつか?」
「そうだ」
「……頂こう。じゃあ俺からは乾パンでも……」
「なんだ?日律帝國の飛行食はそんなにシケたもんなのか?」
アウグレットは首を傾げた。
「うるせぇ。美味しけりゃ良いんだよ」
白石はそう言って自分の機体へと乾パンを取りに行った。
日律帝國の戦艦について。
日本を代表とする戦艦は、大和型、もしくは長門型でしょう。扶桑や金剛は一旦置いておいて、日律帝國の話をしましょう。今現在登場している戦艦は西日と朝日だけですが、やっぱりこの二隻だけなんて事はありません。例えば、戦艦「長州」。三十六センチ連装砲四基八門を搭載する大型艦です。これらの詳細は、次回の後書きに書こうと思います。