日律帝國最後の反抗1
mitotayo
3年前からずっと繰り広げてきた妄想を文章にする事が出来る喜びで夜しか眠れませんでした。出来れば続編も書きたいと思っています!(モチベがあれば)。そして、私の始めての作品となります。至らない所も多々あると思いますが温かく見守って頂けたら幸いです。
〈序章〉
──空に見知らぬ飛行機が見える。
両翼のエンジンが唸りを響かせ、大型爆撃機の群れが無数の複葉機に守られて飛んでいる。遅すぎる空襲警報のサイレンが鳴り響き、届くわけも無い対空砲火が上空へ上がってゆく……。白石武の網膜に映る景色は、紅蓮の炎に包まれた日律帝國首都、東奏の無残な姿だった……。
ラッパの音が起床の時間を告げる。白石は目を擦りながらベッドから起き上がり、上段で未だ寝息を立てている2人に声を掛ける。
「お前らいい加減自分で起きろ」
独り言のようにそう告げて、1人ずつ叩き起こす。
「痛いじゃ無いですか! もっと優しく起こしてくれたらいいのに……」
草加部広宣は白石に叩かれた胸をさすりながら文句を垂れる。
「我儘言うなよ。起こしてもらっておいて……」
水島隼人は草加部を咎めながら白石に謝罪する。
「申し訳ございません少尉殿。我々の鍛錬不足です」
草加部と水島は広隼の愛称で親しまれる白石小隊の列機である。白石は小隊長になってから広隼と3年間同室で過ごしているが、2人とも朝が弱いらしくいつも起こしてやっている。
「いや、構わん。それより早く着替えろ。朝礼に遅れるぞ」
「はっ!」
2人はせっせと着替えを始める。その光景を見ながら白石は今朝の夢を思い出し、思い出の感慨に浸る。
──まだ……忘れられないな……。
〈一章 忘れられない記憶〉
15年前、白石は帝都東奏に住んでいた。父親は軍務省の中級官僚、母親は日律帝國海軍の御用達、西川航空機の事務員で、生活にはあまり困ることはなかった。しかし、そんな日々がいきなり終わりを告げる。第一次世界大戦が幕を開けてから5年、日律帝國(日帝)と海と空で一進一退の攻防を続けていた世界最大の海である大東海の向こうにある‘‘レイブン皇国‘‘が帝都東奏に空襲を仕掛けてきたのだ。
「数十機の双発爆撃機と旧式の複葉機約70機。いくら旧式でも数を揃えられると太刀打ちできない……。どれだけ護衛機を落としても数が減らないように思えた」
帝都初空襲の際、迎撃に向かったパイロットはこう話したと言う。当時最新鋭、単葉の八一式艦戦2個中隊計20機が出撃し、中隊内に熟練パイロットが多数居たにも関わらず撃墜は護衛機23機、爆撃機10機程度。対して被撃墜は11機に及び、帝都侵入はおろか爆撃を許してしまう結果となった。
爆撃機隊の爆撃目標は帝都に集まる各官庁だった。空襲警報が遅れたため、各官庁に居た職員は7割は逃げ出せたものの、残りの職員は取り残されたまま業火の中に消えた。この空襲で白石の父も消息を絶ち、家も焼かれ、白石は住む家を失った。帝都初空襲から7ヶ月が経過し、日帝の敗戦後八一式艦戦は装甲面で致命的な欠陥が見つかり、西川航空機の八一式艦戦開発チームと開発のサポートを行った関係者らは懲戒解雇となり、白石の母もその中の1人に含まれていた。白石は家も財産も幸せな生活も全て失ってしまったのだ。
──何でこんな目に遭うんだ……。僕が……僕らが何をしたって言うんだ!
思わず叫んでしまいそうになった心の声を白石は胸の内に留める。日帝の敗戦から7年が経ち、12歳になった白石は活版印刷の活字を組む仕事をしていた。メモ用紙に書かれた文章通りに活字を拾って行くのが職務であり、細々としたものが嫌いな白石にとっては苦痛だったが、日帝が敗戦した今、このくらいしか仕事がなかった。白石は慣れた手付きで活字をピンセットで掴んで四角い鉄カゴに並べる。母は半年前に過労で命を落としてしまったために、白石は飼い猫のクロと2人で暮らしている。
──僕はこんな事をする為に生きているんじゃ無い!
心の中で1人の僕が叫ぶ。
──でもこれが現実だ! このほかにどうやって生きていく手段があるんだ!
もう1人の僕が冷たく言い放つ。出来ることならもっと自由に生きていたい。でもこれが現実なのは間違いない。心の霧が晴れないまま白石は活字を拾い終えて日給を貰い帰路に着いた……。
「ただいま〜」
白石は古びた扉を開けて言うが、返事は返ってこない。寂しく思いながら小さい畳の居間に座り込む。机を挟んで向かい側の座布団の上に赤い首輪をした黒猫のクロが丸くなって寝ているのを見て、お茶碗にアジの干物の半分を入れる。クロの分のご飯である。匂いを嗅ぎ取ったクロが起き上がって干物にがっつくのを見て少し頬を緩めて、もう半分の干物と帰りに買ったおむすびひとつを頬張りながらラジオをつける。丁度レイブン皇国やライハン帝国を始めとする戦勝国と、日帝や那満国などの敗戦国との平和条約について報道していた。
「明らかに不平等じゃないか」
12歳の少年ですら気付くほどの不平等さに、報道員の声が少し震えている。
「レイブン皇国首都ハウロークにおいて締結された平和条約において、我が国の占領地である南スベラ、及び本州北部の多度ヶ大島をレイネス王国とし、レイブン皇国が占領するとのことです。また、ハウローク軍縮会議において……」
白石はため息をついて番組を変える。今は悪くなり続ける状況を聞くよりも何かしら音楽が聴きたかった。幾つか番組をまわるがどこも報道番組やどこか暗い雰囲気が漂う日帝の演歌が流れるのみだった。気分の曲が流れず残念に思いながらラジオを切って寝転ぼうとしたその時、何処からか歌声が聴こえてきた。白石は耳を澄まし、体を起こす。
──懐かしいような感じがする……初めて聞く曲調なのに……。
何故か気になる曲調に引っ張られる様に玄関を出て、歌声が聴こえる方へしばらく歩くと寂れた公園に少女が1人、ベンチに座って歌っていた。白石は偶然立ち寄ったような仕草で公園に入り、ベンチに腰掛けて歌う少女に近寄って行く。少女は白石に気付く事なく歌い続けている。白石は緊張するも決心して声を掛けることにした。
「となり、座っていい?」
少女はビクリとして白石に目を向ける。
「あっ……えっ……どっ、どうぞ……?」
少女はビクビクしながら端っこに寄る。白石はベンチに座り、ひと呼吸おいて少女に話しかけた。
「僕、白石武。きみの名前は?」
「えっと……その……森下……綾香……です」
──森下綾香ね……なんて呼んだら良いんだろう……普通に綾香でいいか。
「綾香……ね。よろしく」
「あ……うん、よろしく……」
「綾香はいつもここで歌ってるの?」
白石はドキドキしながら質問する。
「うん……家が近いからよくここで歌ってるよ」
「そっか……僕も家が近いんだけどね、こんな所に公園があるなんて知らなかった」
「私も最近知ったんだ……学校から帰ってもお父さんいないからここで時間潰してる」
白石は学校に行けていないため、学校に行けて良いなぁと思いつつ質問を続ける。
「学校ってさ、中学?」
「うん……中1だよ」
「じゃあ僕と同い年だね。僕、学校に行けなくてさ……」
「え?……ご両親は?」
「父さんは帝都初空襲で、母さんは過労で死んじゃった……。だから僕は働くしか無いんだ」
「そっか……ごめんね……辛い事聞いちゃって……」
「いや……良いんだよ。それより何でいつも歌ってるの?」
白石は自分が考えた中で最大の疑問をぶつける。何となく聞いといた方が良いと思ったのだ。
「歌手になるのが夢……だから」
「……良い夢だね……なんか応援したくなったな。なんか手伝えることとか……無い?」
白石は立ち上がって綾香に向き合う。白石にとって応援したいなんて口実だ。白石は綾香ともっと話していたかったから一緒に居れる糸口を見つけたかったのだ。
「たまにね……同級生たちが練習の邪魔してくるの……その子たちが来たら追い払ってくれない?」
「そのくらいなら大丈夫だよ……相手がどのぐらいかによるけ……ど?」
いきなり綾香の顔が青ざめる。まるで地獄を見た様な目で白石の背後を見つめている。白石が振り返ると、そこには4人組の男子中学生がいた。
〈ニ章 夢と希望〉
「おいおい今日も懲りずに叶いもしない夢に手を伸ばしてるぜ!」
リーダー格らしき金髪の少年が大声で叫ぶ。
「お前みたいな無能はさっさと家に帰ってせいぜいボッチを楽しめや!」
取り巻きたちがケラケラ笑い出す。白石は苛立ちを隠せず舌打ちをして金髪を睨め付ける。
「おうおうなんだぁ? きったねぇネズミがこっち睨んでるなぁ」
「ほんとだな。こいつ身の程もわきまえない貧乏人だぁ!」
金髪が白石を指差して笑うと、取り巻きも同調して捲し立てる。
「乞食は死ぬまで働けば良いんだよ! 分かったかドブネズ……」
そこまで言われた所で白石の思考回路がブチっと音を立てて切れた。
「ぐぶぇっ……ぐぅ」
白石にみぞおちを殴られた取り巻きの1人が奇妙なうめきを上げて地面に崩れ落ちる。
「ひぃぃっ……」
残りの取り巻きは青ざめながら後ずさる。
「おい金髪のガキ……名乗れやゴルァ」
自分でも驚くくらいドスの効いた声で威圧しつつ質問する。
「ぼ……僕はアウグレット・フェルトだ……僕はお前ら猿と違ってレイブン人だ……人間様だぞ!」
「黙れ異邦人……貴様こそ猿並みの脳で家帰って勉強でもしてろ」
白石は目一杯の力でアウグレットの首筋に手刀を叩き込む。
──こんな奴らに父さんを……僕の幸せな生活を……
白石はボコボコに殴り倒したい気持ちを必死に堪えて、残った取り巻きたちに気絶している2人を投げつける。そして奴らへ一言、
「2度と来るんじゃねぇぞ……来たら今度はもっと叩きのめしてやる…………良いな?」
「はっ……はいぃぃ!!」
残った2人は気絶した2人を引き摺りながら金持ちが集まる豪邸住宅街の方角へ逃げていった。
「邪魔者ってさっきの奴らのことであってる?」
何事もなかった様に綾香に振り返って聞く。
「えっ……うん……そうだよ」
「なんかいけ好かない奴らだったね」
「うん……武くん喧嘩強いんだね……。私、学校だとずっと言われっぱなしで……でも、言い返したくても怖くて……ありがとう」
綾香はその場で泣き出してしまった。
「わわわっ泣かないで! そんなの怖くて当然だよ。学校はどうしようもないけど、ここだったら守ってあげられるからさ、安心して……ね?」
「うん……ありがとう……お願いね!」
綾香はそう言うとにっこり笑った。白石はその笑顔を見て息を呑んだ。
──かっかわいい……守ってあげたいこの笑顔……!
白石は生まれて初めて恋というものを知った様な気がした。
「あっ、そろそろ帰らないと……じゃあまた明日ここで集合!じゃあね」
「あっ……分かった、またね……」
白石は家に帰っても綾香の笑顔が頭から離れず、布団に入っても日を跨ぐまで睡魔はやってこなかった。
それから白石は、毎日仕事が終わると綾香と公園で合流して綾香の護衛を続けた。始めは何度かアウグレットと取り巻きたちが懲りずにやってきたが、毎回言うのは、
「叶うわけもない夢はとっとと諦めろ」
もしくは、
「貧乏人は泥水啜って働け」
だった。白石はアウグレットがそう言うたびに思考回路を切って手刀とみぞおちパンチで撃退していた。しばらくしたら、いつの間にかアウグレット達は来なくなっていた。代わりにクロが一緒に来る様になり、暇な時間を楽しく過ごせた。のちに聞いたが、綾香が歌っているのはレイブン皇国のジャズと言うものに日帝風の歌詞をつけて歌っているそうだ。綾香は日に日に歌が上手になっていき、白石もとても嬉しかった。
「武くん、飛行士に興味ない?」
練習に付き合い始めてから2週間、綾香に急に聞かれたのは飛行士に興味があるかどうかだった。
「いきなりだなぁ……。まぁなくはないけど。母さんが西川航空機で働いてたし」
白石はいきなりの質問にしどろもどろに答えた。
「このビラ学校で配られたんだ。予科練って知ってる?」
綾香が学校で貰ってきたというビラを広げる。そこには確かに陸海軍合同、予科練生募集と書かれている。白石は予科練という知らない単語に固まる。
「やっぱり知らないかぁ……。士官学校とか兵学校はお金持ちしか行けないからさ、貧乏人でも軍人になれる様に国が支援してくれる制度なんだって〜」
「そうなのか……」
──知らない話だ……そりゃそうか、学校行ってないし……ん? 学校……。
「なぁ綾香、予科練は学校行ってなくても良いのか?」
「尋常小学校行ってたら問題ないってかいてあるよ。武くん小学校は行ってたんでしょ?」
「ああ、そうだね……」
「だったら大丈夫だよ。どうする?試験あるらしいけど申し込もうか?」
「良いの!?」
白石は思わず身を乗り出して大声を出した。
「う〜……声おっきいよ耳壊れる……。良いんだよ、お父さんが海軍のお偉いさんだからね〜」
綾香は少し自慢げにしながら答える。
「僕が飛行士に……父さんと母さんが関わった仕事につける……!」
──それに……次の戦争で僕の様な子供を減らせるかもしれない……。あのクソレイブン人達を地獄へ堕とせる!
白石はアウグレット達が地獄に堕ちる様を想像する。
「だっ……大丈夫?なんかすっごい怖い顔してるけど……」
「えっそう?そんなことないと思うけど」
「いやいやほんとに怖い顔だったよ……なんか、誰かを地獄に堕としてやろうみたいな顔してた」
白石はギクリとした。自分の考えを言い当てられると思わなかった白石は動揺しながらごまかす。
「気のせいじゃない?」
「ホントかなぁ……?まあ良いや。そうだひとつ言っとくけどさ……試験倍率32倍だよ」
「なるほど、定員は?」
「150人」
「なるほど受験者4800人ですかふざけんなよチックショウ」
どうやらレイブン人の前に敵がいたことに気づいた白石は少し不安になる。
「試験はいつ?」
「11月だよ」
「今は4月……あと7ヶ月……!」
白石は不安と共に焦りも生まれる。体術はともかく学力において他の受験者にかなり差をつけられている気がした。
「せっかく受けるんだったら武くんに勉強教えようか?」
「良いの!?」
「う〜……耳壊れるって……。武くん素の頭は良さそうだから勉強すれば多分大丈夫だよ!あとは……身体能力だね」
先程と同じような会話の中で、白石は考える。
「身体能力か……」
──体力と力には自信がある……。暇な時は腕立て伏せとか腹筋とか走り込みとかやってたから……、ただ視力はどうだろう……。
白石の仕事は活字拾い。ネジくらい小さい活字を目を凝らして拾っているため、目が悪くなってもおかしくない。
「視力は星とか見てたら何とかなるんじゃない?」
「んまぁそうだね……って、え?」
またもや綾香に考えを見透かされた白石は、綾香が少し怖くなった。
──綾香……何者?
「とにかく、まずは勉強しないと!」
そこから、白石と綾香の試験対策が始まった。
〈三章 予科練へ挑む〉
「これどうやって解くんだよ……」
6月下旬、白石は数学でつまずいていた。
「素因数分解ってなんだよ……なんで分解するんだ、そのままでいいだろ……」
「何言ってんの武くん」
白石の迷言に綾香はすかさず突っ込む。
「一次方程式ってなんだよ……代入とか無くても普通に解けるだろ……」
「だから何言ってんの武くん」
白石の迷言に突っ込みつつ、綾香は丁寧に白石に教える。
「武くんは数学が鬼門ねぇ……他は行けるのに」
白石は、数学を除く5教科、国語・古文・地理・歴史・化学は全てにおいてほぼ完全に綾香が教える範囲は取得していたが、数学だけはなぜか理解が追いついていないようだった。
「いわゆる文系って奴なんじゃないの?どうせ他が出来たら数学出来なくてもいいじゃん」
「ダメに決まってるでしょ!全部の合計点が見られるんだからさ、数学で足引っ張ったら他の受験者に遅れ取っちゃうよ~」
白石は唸る。綾香の言ってることは間違っているわけではない。それは分かっているのだが、いくら頑張っても出ない成果に白石は自分に苛立つ。
「あーもうむかつくなぁ……なんでったってこんなに勉強しないといけないんだよ……」
どうしようもない怒りを込めながら、日が暮れるまで勉強を続けた。
9月下旬、綾香の夏休みも終わり白石は綾香の中間テストを使って腕試しをしていた。
「えーと?国語86点、古文79点、地理88点、歴史95点、化学84点、数学77点だったよ」
「綾香採点ありがと」
「良いんだよ。それにしても随分点数良くなったねぇ」
勉強を始めた時よりもかなり良くなった点数が書かれた答案を見て、白石は満足げに言う。
「これだったら申し分ないでしょ」
「さぁね。行けるとは思うけど油断したらダメだよ」
「はいはい分かってますよ……。ところで綾香のオーディションはいつなんだ?」
どうやら綾香は歌手のオーディションを受けるらしい。
「来年の2月だよ」
「そうか……」
白石には綾香が舞台に立ち、歌手として歌っている姿を想像した。
──悪くないな……。
「絶対に合格してやるんだ。アウグレット達を見返さなきゃ」
綾香は小さな声でつぶやいた。
「ん?なんか言った?」
「気のせいじゃない?」
綾香は誤魔化すように返事した後、頭の中で白石と一緒にアウグレットと取り巻き達を嘲笑う想像をした。そして、こう考える。
──武くんがもし受かったら私も絶対受からなきゃ……。じゃないと……釣り合わない……!
綾香はテストの解き直しをする白石を見て、綾香は心からほのかに温かいものを感じながら決意した。
11月5日、白石は綾香に見送られながら汽車に乗った。白石は初めて乗る汽車にワクワクしつつ、綾香に借りた各教科のノートを開き、復習を始める。
──絶対に落ちちゃいけない……!
その考えを胸に試験勉強へ取り組む。汽車に乗って、日帝首都・東奏まで3時間かけて向かう。その後、試験会場の下見に行き、宿に泊まって次の日が試験という日程である。試験は2日に別れているらしく、1日目は座学、2日目が身体テストだと言う。白石は不安と緊張を抱えながら汽車の中で勉強を続けた。
──でっか!!
東奏に着いた時の白石の第一印象はその一言だった。白石の知る木造家屋が密集していて、官庁街が要塞のように見える記憶の中の東奏は跡形も無かった。あるのはコンクリートで出来た10階くらいのビルが大通り沿いに並び、その内側を木造家屋が埋め、かつて東奏要塞の名称で親しまれていた官庁街は以前より高さが低く、とても要塞とは言えないこじんまりしたものになっていた。
──確かに大きすぎると見つけやすいから攻撃しやすいよな……。日帝が負けた1番の理由が官庁系の壊滅だったらしいし……。
その辺はしっかり教訓になってるらしい事と、帝都初空襲から7年、2回目の帝都空襲から7年半という短期間の間に以前よりも発展した東奏を見た白石は感動した余りしばらく立ち尽くしていた。
「時間無いんだからさっさと下見行かないと」
白石は頬を両手で叩いて思考を現実に戻して試験会場へ赴いた。
翌日、試験会場の入り口で白石はまた立ち尽くした。
──多すぎっ!!
白石が目にしたのは、5つ並んだ受付に並ぶ長蛇の列だった。
──4800人ってのは聞いてたけどもっといるんじゃないか?これ……。
白石の予想通り、地図には40人分席がある試験教室が130まで番号が振られていた。
「5200人……行けんのか……?これ」
不安が脳を支配しそうになるのを抑え、受験番号を握りしめて試験教室へ歩いて行った。
──やっと終わったぁぁぁ……
午後5時、約7時間半の学力試験を終えた白石は完全に体力を使い果たしていた。綾香から借りたノートに書かれていたまとめや、元素記号、公式や方程式はほぼ全て出題されていた。白石はその事もあってか自信はあるが、学力に力を振りすぎたような気もした。
「明日の方が重要なはずだからしっかり寝ないとな」
白石はまっすぐ宿へ帰り、さっさと夕食を食べて眠りにつく。白石の夢は一足早く、クロと綾香を乗せた航空機で大空を飛び回っていた。
明けて翌朝、午前6時に起きた白石は身体試験に向けて準備体操をしていた。
「受かるかなぁ……」
いつまでも不安が拭いきれない白石はただただ身体を動かすだけで、あまり意味がなさそうな準備体操になっている。
「うん……頑張らないと!」
準備体操を終え、白石は試験会場へ向かおうとする。
「あっ違うまだ6時だ」
まだ時間があることに気づいた白石はゆっくりと自室に戻った。
12月2日、白石は自宅で郵便配達員を待っていた。試験結果、すなわち合否判定が郵送される為である。
「怖いって……早く来てくれよ……」
独り言を呟いて待ち続ける。クロも今は静寂を守り、ただ丸くなって眠そうにしている。
「学校終わったらすぐ行くから家で待ってて」
今朝綾香に言われた事を律儀に守り、白石は居間で配達員がくるのをじっと待ち続けている。
──綾香が先に来るか、合否判定が先に来るか……、多分綾香かな。
そう考えていた矢先、玄関の引き戸が開く音がした。
「武くんいるぅ?ちゃんと鍵閉めとかないと不用心だよー」
綾香の声が聞こえてくる。
「どうせ盗む物もないから大丈夫だって」
「そう言う事じゃ無いんだけどねぇ……」
綾香はため息を吐きながら居間に入る。
「あれ届いた?なんだっけ……あれあれ」
「合否判定ね」
「そうそう合否判定!どうだった?」
綾香は目を輝かせて聞いてくる。
「まだ届いてないよ」
綾香はあからさまにガッカリしている。
「あーあ、それだったら仮病で帰ってくるんじゃなかったなぁ」
「……ん……ちょっと待って?それって学校サボって……!」
白石が綾香に問おうとした瞬間、玄関から物音がした。その音は……。
「来た!」
──玄関から聞こえるこのカタンという音……郵便受けに物が入る音だ!
足を滑らしてずっこけ、居間から慌てて飛び出した白石は、玄関の戸を力いっぱい開けて郵便受けから封筒を抜き取った。
「そんなに暴れるぅ?せっかちじゃん」
靴を履いて出てきた綾香は、封筒の中身を出そうとする白石を見て呆れる。
「はいはい一旦家入ってから見ましょうねぇー」
そう言いつつ綾香は白石が封筒の中から取り出した1枚の紙を覗く。紙にはこう書いてあった。
白石武殿。貴方は当試験に合格した事を通知し、以後予科練第一期生としてこの国の為に戦う事を志して貰いたい。日帝軍人の一員として喜んで歓迎する。
日律帝國海軍総参謀長、森下和重海軍大将。
白石と綾香が読み終えた瞬間、
「うおっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
雄叫びを上げて天に腕を振り上げた白石は、青く眩しい大空に向かい叫ぶ。
「父さぁぁん!母さぁぁん!やったよぉぉ!!」
叫ぶ白石の横、綾香はただ考えていた。
──今目の前にいる武くんが……大空を飛び回る……ね。寂しいけど……でも、これでいい……。
綾香は自分の気持ちを押し込んで白石に向かい声をかける。
「おめでとう、……武くん!」
白石の目に映る綾香は、あの時と同じ優しい笑顔だった。
皇暦2512年、東暦1978年7月15日。ヘルムーラ・リストー率いるドミル帝国、ベルート・レッサミーン率いるイタラン王国、そして成和皇王率いる日律帝國の3か国が日殿委三国同盟を設立する。後に同盟国陣営と呼ばれる陣営の代表国である。同年11月24日、ルーフベルト大統領のレイブン皇国、セールズ大統領のブイリル帝国を始めとする約13か国による同盟関係が成立。後に連同国陣営と呼ばれる様になる。この時点で、第二次世界大戦はもう避けられない運命だったのかも知れない。
〈四章 戦いの空〉
「けいれぇーーい!!」
航空母艦「真鶴」の甲板上、白石は真鶴航空隊の朝礼に混じっていた。
「現在、我が第一機動艦隊は大東海を南下!先日北スベラにて合流した第五、第七揚陸大隊と共に南スベラ奪還作戦を行う!なお、南スベラには怜軍(レイブン皇国軍)機動艦隊が停泊中とのこと!よって我が第一機動艦隊は……」
真鶴航空隊長が作戦の説明をしている最中、白石は今後の事を考えていた。
──第二次世界大戦が始まって半年、今の日帝は快進撃を続けているが……果たしていつまで続くだろう……。
同盟国陣営が連同国陣営に宣戦布告してから半年、同盟国は各地で勝利を続けていた。特に日帝の快進撃は凄まじく、連同国である怜軍、文軍(ブイリル帝国軍)、中軍(中子民国軍)に対し陸海空全てで勝利を重ねている。勢いに乗った日帝は、そのまま旧領南スベラの奪還と東亜(東アニア)地域の占領を企んでいる。白石はこの計画に対し疑問を覚えていた。
「……よって我々の戦局が日帝の今後の方針に大きく影響するのは目に見えている。諸君らの健闘を期待する!」
気付けば朝礼は終わっていた。他の隊員が各々散らばっていく中、白石は艦橋の壁にもたれて海を見ていた。
「小尉殿、先程の話をどうお考えですか?」
白石が振り向くと、水島が立っていた。
「どういう事だ?」
「この第一機動艦隊は、正規空母「真鶴」、これと同型の「叡鶴」、軽空母「鳳栄」の3隻で成り立っています。対して敵機動艦隊は約4隻の正規空母を有している様です。いささか敵を過小評価しすぎかと……」
──水島の意見は間違っていない。どうやっても数的不利は戦場で付いてまわるのだからな……。
白石は水島の意見に賛同しつつも、声には出さなかった。
「どんな命令でも従わなければならない。全部俺たちの腕に掛かっているって事だ」
「はっ……」
水島は少々不満そうな顔で戻っていった。目線を海に戻した白石は、ただ青く続く海原をいつまでも眺めていた。
翌日、真鶴航空隊第一中隊長山里雄二は廊下を歩いていた。
「今日の作戦、白石にも情報を共有しておかないとな」
山里は白石小隊の部屋の前で立ち止まり、ドアノブに手をかけた。
「白石?入るぞ……。……?」
山里は何か違和感を感じ、耳を澄ます。
「……無限大な海原をいつまでもいつまでも見つめてるぅ」
──白石が……歌を聴いている?そ……そんなバカな……。
山里は白石は音楽など聴く様な人だと思っていなかった様だ。少し怖気付いた山里だが、勇気を振り絞って扉を開けようとドアノブを回したその時、
「航空隊全員に次ぐ!敵機動艦隊は現在南スベラ沖、我が艦隊から南東約820キロの地点に停泊中!戦闘機隊は直ちに出撃せよ!爆撃、雷撃隊は戦闘機隊の発艦の後に出撃!各中隊は緊密に連携を取りつつ敵機動艦隊を攻撃せよ!繰り返す……」
「とうとう始まったなぁ!」
白石の大声と共に扉が勢いよく開く。と同時にゴツンと鈍い音が鳴る。
──んん?なんか当たったか?……気のせいだな。それよりも急がないと!
白石は音の原因を知ろうともせず、飛行甲板へ走っていった。
「ったぁぁぁぁぁ!!」
山里は額を押さえて間抜けな大声を出す。
──ふざけんなよ白石!いってぇなあの野郎覚えてろぉ!
心の中でキレながら、山里は白石の後を追って飛行甲板へ向かった。
山里が飛行甲板に出ると、白石小隊は発艦準備を始めていた。なぜ分かるか、それは白石機の機首に描かれたノーズアートである。
「なんであいつは黒猫なんだよ……。どうせ描くなら狼とか虎とかにすればいいのに……」
白石のノーズアートは赤い首輪をつけた黒猫だった。
──理由はあるんだろうが……やっぱり撃墜王としては締まらないな……。
そう考えつつ、山里は走って自分の機体に向かっていった。
「こちら戦闘一中一小(戦闘機隊第一中隊所属第一小隊)発艦許可求む」
「真鶴航空隊管制、了解した。発艦を許可する」
白石はエンジン出力を最大に上げ、ブレーキを解除する。白石の乗る三三式艦戦は一気に加速して真鶴から離れる。続いて水島、草加部の順番で発艦していく。白石は大きく旋回して後続の僚機を待ちつつ、味方艦隊を眺める。
──旗艦「西日」と真鶴、叡鶴を中心とした輪形陣、その両隣に展開する小型艦の十字陣……圧巻だな。
そう思っているうちに第一中隊全機の発艦が終わり、敵艦隊がいる方へ機首を向けた。
「おっと、出遅れちゃうな」
呟きながら白石は列機と共に戦いの空へ飛んでいった。
〈五章 激闘!南スベラ沖海戦〉
皇暦2515年、東暦1981年5月28日午前10時20分、南スベラ沖。
「怜軍邀撃機隊発見!全機、一機残らず叩き落とせ!」
山里中隊長の号令の元、白石を含む第一中隊が怜軍機隊に突っ込んでいく。と同時に怜軍機も日帝機を発見したらしく、次々に白石達に向かってくる。瞬間、両軍の機関銃が火を噴いた。赫く光る曳光弾、翼端が吹き飛び錐揉みして堕ちていく怜軍機。両軍入り乱れての空戦になりつつある中、日帝機は機動力に物を言わせて怜軍機の後ろに着く。日帝の最新鋭機である三三式艦戦は、怜軍の新鋭機「エンゼルタイガー」と比べてエンジン馬力では負けるものの、速力と機動力では圧倒的に勝っている。そのためか、堕ちていく機体はいずれも怜軍のエンゼルタイガーである。
「3機目っと……」
白石は呟いて、敵機を撃ち落とす。怜軍機隊は日帝機隊の倍以上の戦闘機を邀撃に差し向けている。つまり、日帝機隊は1人で2人を相手しなければならない事になる。
──質が勝つか、物量が勝つかだな。
怜軍機が次々と落ちていく中に紛れて、日帝機も落ちていく。数は少ないが、砲弾の一発も無駄にしたくない日帝海軍からすれば痛手となる。
──俺が見ただけで3機が落ちた……。開戦当初の奇襲はもう効かない……どんどん戦力が削られるな……。
敵機隊を殲滅した白石達は、味方雷爆連合隊と合流する。先に直掩していた叡鶴第一中隊と共に、敵機動艦隊を探す。
──雲量5〜6、雲に隠れられるのはいいが、こちらも敵を見つけるのが難しくなるな。
と、白石達の目の前にあった雲を抜け、視界が広がった瞬間。
「敵機動艦隊発見、二時の方向へ向かってる!真下だ!!」
誰かの叫びが無線から響く。白石は言われた所に目を向けたが居ない。
──……どこだ?
疑問が爆ぜた瞬間、雷爆連合隊から爆撃機隊が離脱して急降下を始めた。同時に大きな炸裂音と至る所で爆発する黒煙。白石を始めとする戦闘機隊は全速力で離脱、残った雷撃機隊は大きく旋回しつつ降下し、機動艦隊の側面を突くつもりの様だ。
「真下って……本当に真下じゃないか!」
爆撃機隊が使用している「一ニ式艦爆」は、60度で急降下するように設計されている為、それ以上の角度で降下出来ない。二個中隊から次々に投下された500キロ爆弾は、敵機動艦隊の輪形陣の中心から外れて外側の小型艦に命中する。しばらくして、
「中型艦三隻、小型艦七隻それぞれ撃沈!小型空母一隻大破、戦艦一隻中破、正規空母二隻、小型艦一隻小破!」
戦果確認機が無線で戦果を報告する。かなりの敵艦を撃沈破させた爆撃機隊だが、それ相応の損害を受けた様子で各々味方艦隊へ帰還していく。
──そんでもって次は雷撃隊か……。
白石が見守る中、海面スレスレを飛行する「ニ一式艦攻」は対空砲をものともせず敵艦隊に突っ込んでいく。各小隊が左右のフットバーを蹴りつけ、横滑りで対空砲を避けつつ照準を合わせている。まさに熟練のやり方である。そして……二個中隊から一斉に放たれた魚雷計20発は、陣形を崩して懸命に回避を続ける敵艦隊の乗組員を嘲笑うかのように、次々に命中していく。各所で魚雷命中の水飛沫が飛ぶすぐ上を味方雷撃隊は悠然と飛び去って行った。
「さて、俺たちも……と、このまま帰らしてくれる訳ないか」
敵正規空母四隻のうち一隻が魚雷によって爆沈、二隻が爆弾と魚雷よって損傷している最中、まともに動ける一隻の空母からエンゼルタイガーが続々と発艦している。護衛に当たっていた真鶴航空隊、叡鶴航空隊各第一中隊を報復として撃ち落とすつもりなのだろう。
「ここはある程度戦って引いた方が良いんじゃないか、山里隊長?」
白石は呟きながら高度5000メートルからのダイブを始める。速度を得たまま怜軍機隊の先頭に向かって二十四ミリ機関砲を斉射し、1000メートルで機首を上げる。
「先頭を落とせば士気は挫ける……はずなんだが思ったより士気が高かったようだな」
挫けるどころか余計闘志を燃やしたように思える動きを見せる怜軍機隊だが、熟練揃いの日帝機隊は次々に怜軍機を撃ち落としていく。七面鳥の如く一方的に追い立てられている怜軍機の中、1機だけ日帝機を追いかけ回す戦闘機がいる。その機首には、「イルカ」のノーズアートが描かれていた。
「エースパイロットか……これ以上味方を攻撃させない!」
白石はイルカめがけて飛び込んだ。イルカはいきなり現れた機体に驚いた様な動きを見せた後、その意図を察した様に白石の後ろにつく。
「チャンスはそっちが先だ。俺を撃ち落とすのが先か、俺があの技を出すのが先か、勝負だ!」
白石はイルカに話しかける様に言った後、時計回りに横旋回を始めた。イルカも白石を追って旋回を始める。
──1周目はそのままで、2周目が本番だ!
旋回が2周目に入り、回り切る瞬間、
「ここだ!」
目一杯引き付けていた操縦桿を押し出す。凄まじいGを受けながら白石は力一杯跳ね上がろうとする操縦桿を押し続ける。機体が一気に時計回りに回り出す。まるで空中に止まった様に見える白石の機体は旋回を終え、イルカの機体下部に機首が向く。白石は迷わず二十四ミリ機関砲の引き金を引いた。曳光弾がイルカの左翼を貫通し、続いて当たった曳光弾が左翼を引きちぎる。翼端が吹き飛んだイルカは錐揉みして高度が落ちるが、立て直して水平飛行に戻る。
「流石だな、イルカ。また会おう」
怜軍機隊は半数を失って退却した様だった。イルカも後を追って艦隊へ戻っていく。
「さて、帰るとしようか」
白石達も味方機動艦隊への帰路に着いた。
「燕返し……やられたなぁ」
イルカは片翼飛行でレイブン皇国海軍正規空母「エンタープラネット」の周りを旋回しながら呟く。白石が放った技は、敵味方ともに燕返しと呼ばれている。
──防護クッションも消火班もバリケードも僕が着艦失敗する前提なんだなぁ……。信頼されてないのか僕は。
何か勘違いしてそうな考えを持ちながら、着艦許可を待つ。
「アウグレット中尉、準備が完了した。着艦を許可します」
「了解した。ありがとう」
アウグレットは返事して降下を始める。操縦桿を右に倒し続け、フラップで揚力を制御。エンジンを絞り、エアブレーキで速力を落としつつフットバーで方向を決める。さらに重いハンドルを回して脚を出し、エンタープラネットの甲板にタイヤがつく。着艦フックに引っ掛かり、つんのめるようにして止まったアウグレットの機体は左翼の翼端が見事に切り離されていた。
「なんとか助かった……。にしてもあの黒猫のパイロットなんか見覚えがあるような……気のせいか」
機体から降り立ったアウグレットは、戦果を報告すべく艦橋へ歩いていった。
空母真鶴の艦橋、航空参謀は艦長に戦果報告していた。
「戦果確認機によると、正規空母二隻、軽空母一隻、重巡洋艦三隻、軽巡洋艦二隻、駆逐艦十五隻撃沈。戦艦一隻、重巡洋艦一隻大破。正規空母一隻、軽空母二隻、軽巡洋艦三隻、駆逐艦二隻中破。重巡洋艦一隻、駆逐艦二隻小破。戦闘機三十一機撃破。対して我が軍は三三式艦戦四機、一ニ式艦爆八機、二一式艦攻四機喪失。今回は先制攻撃が成功した為に勝利出来ましたが、次は簡単には行かないでしょう」
真鶴艦長、今川敦史はこう答えた。
「これからの事は森下総参謀長任せればいいさ……。あとは……、白石君が怪我しないことだな」
今川は沈みゆく夕日をいつまでも眺めていた……。
この物語を読んだ中で、登場人物や登場兵器がよく分かっていない人も多いと思います。なんなら世界線もよく分かっていないと思いますので現実世界と比較してここにまとめます。
日律帝國(現実世界での大日本帝国枠)
〈登場人物〉
白石 武。皇暦2500年1月13日生まれ、19歳。予科練第十三期生、空母真鶴航空隊所属、少尉。
森下 綾香。皇暦2499年6月22日生まれ、19歳。歌手、東奏芸能事務所所属。
草加部 広宣。皇暦2501年9月30日生まれ、17歳。予科練第十五期生、空母真鶴航空隊所属、一飛曹。
水島 隼人。皇暦2501年5月4日生まれ、18歳。予科練第十五期生、空母真鶴航空隊所属、一飛航空隊曹。
山里 雄二。皇暦2499年4月15日生まれ、20歳。士官学校第三十三期生、空母真鶴航空隊所属、大尉。
今川 敦史。皇暦2465年11月21日生まれ、53歳。士官学校一期生、空母真鶴艦長、准将。
森下 和重。皇暦2465年9月9日生まれ、53歳。士官学校第一期生、海軍総参謀長、大将。
〈登場兵器〉
真鶴。皇暦2481年3月3日竣工。正規空母、真鶴型航空母艦一番艦。搭載機数40機。
叡鶴。皇暦2482年10月11日竣工。正規空母、真鶴型航空母艦二番艦。搭載機数40機。
鳳栄。皇暦2547年5月25日竣工。軽空母、蒼栄型軽航空母艦二番艦。搭載機数20機。
西日。皇暦2478年8月11日竣工。戦艦、西日型戦艦一番艦、第一機動艦隊旗艦。
三三式艦戦。皇暦2491年1月30日実戦配備。二十四粍機関砲二門、十三粍機関銃二門搭載。エンジン出力1060馬力。
一ニ式艦爆。皇暦2475年10月20日実戦配備。エンジン出力1000馬力。
ニ一式艦攻。皇暦2475年10月28日実戦配備。エンジン出力990馬力。
八一式艦戦。皇暦2461年6月10日実戦配備。十二.七粍機関銃二門搭載。エンジン出力850馬力。
ドミル帝国(現実世界でのドイツ第三帝国枠)
イタラン王国(現実世界でのイタリア帝国枠)
那満国(現実世界での満洲国枠)
ブイリル帝国(現実世界での大英帝国枠)
中子民国(現実世界での中華民国枠)
レイネス王国(現実世界では北海道に近い存在。なんか独立してる)
レイブン皇国(現実世界でのアメリカ合衆国枠)
〈登場人物〉
アウグレット・フェルト。東暦1961年8月24日生まれ、19歳。空母エンタープラネット航空隊所属、少尉。
〈登場兵器〉
エンタープラネット。東暦1949年5月5日竣工。正規空母、エンタープラネット級航空母艦1番艦。搭載機数45機。
エンゼルタイガー。東暦1952年2月22日実戦配備。15ミリ機関銃4門搭載。エンジン出力1500馬力。