序章1
祠の中で、今にも折れてしまいそうな貧相な木の前に一組の男女が頭を垂れている。――男女の関係は親子とも、爺孫とも、見える。男は老いて白くなった髪を一つに束ね、手には長い杖を持っていた。女はまだ若く艶やかな黒髪で男の三分の二程の身長だ。――
暫くして二人は頭を上げた。女は涙が、男は諦観が浮かんでいた。二人は木に対して一礼をしてから、立ち去る。
祠から広場に出ると、多くの民が二人を待っていた。男が告げる。
「世界樹より託宣を授かった。『2年後我が長男を仙裏郷へ』と。2年後は盛大な宴を開く。」
それを聞いた女は堪えきれず泣き出してしまった。
「紅帝様、真に我が子でございますか?」
「其方も共に聞いただろう。世界樹の託宣は違うことはあり得ぬ。」
「まだ3歳でございます。残り2年しか共に過ごせないではありませんか?私悲しゅうございます。」
紅帝は溜め息ついて言う。
「諦めよ。託宣は絶対だ。それに其方一人の為に偽る事はできぬ。共に過ごす時を大事にいたせ。」
用語解説。
世界樹:▧▧▧にあるという幻の木。
仙裏郷:龍が治める天上界と地上の狭間にある町。人と仙と龍を繋ぐ唯一の町。
紅帝:■■■が住む隠れ里の長。人と比べるとありえない位長生き。
※伏せ字はわざとです。後に明かされます。
初投稿です。続くように頑張ります。
たくさん造語が出てきて読みにくいと思いますが、お付き合い頂けると幸いです。