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黄道を刻む二十四の時の詩

白露の奏でる歌

作者: 日浦海里

地平を薙ぐように光が射し始める頃

辺りは一面雪原のように白く輝く


葉先に灯る透き通った明かりが

光をその身に受け止めて

辺り一面を照らし出してる


空には水面を映したような彩りが広がり

地には緑の星が煌めき

天地が逆転したようにも見える


足先で小さな音が響く


葉先で揺れている星が一粒

地に向かって流れて落ちていった音


星を湛える葉の一つ一つが

この世界の中で息をしているその証

命を燃やしつくすような日々を

無事に生き抜いてきたその証


聞こえるはずのない歌声が

葉先に落ちた水滴の音と共に響いた気がして

その一滴を指先で掬ってみる


掬った雫は吹き抜ける風に触れ

その身に宿した陽の輝きが

揺れて何かが舞ってるようにも見えた


雫の向こう側に映るあの人は

笑っているようにも

泣いているようにも見えて


揺らめく感情を含んだ雫を

その感情ごと唇に含ませる


陽の光の落ちた場所に

いつの間にか立っていたあの人は

やっぱり笑っているようにも

泣いているようにも見えて


仕方ない人


変わらぬ姿に喜びを覚えながら

惑うようなあの人の手を取る


遠くで

朝を告げるように

鶺鴒(せきれい)がチチッと鳴く声がした

今日は白露

夜、特に天気の良い日は冷え込むようになり

草花や樹には露が宿り始める頃です。

日中の暑さは未だ冷めやらず、といった感じですが

朝夕は少しずつ過ごしやすい気温になってきます。



【登場人物紹介】

〇陽ざしの君

 太陽です。

 笑顔でいたいけど、笑顔になりきれないのは

 何を憂いているからでしょうか


〇秋姫(春姫)

 ただ、世界を潤すことだけが出来る。

 行き過ぎれば全てを流し去ることも。

 身の内に渇きを抱えているなら

 少しでも癒しになれば、と思えど

 心の温もりを持たない彼女は

 何が救いで、何が痛みか

 感覚で判断することが出来ずにいて

 今一歩を踏み出すことに躊躇いを覚えます。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  葉に纏う露の一雫は透明なのに、離れ見る葉露の雫は白く輝き、白露と称される一面の緑に浮かび煌めく雫が朝陽を浴びる様を想像する事が出来ました。 [一言]  セキレイが出て来ると日本書紀のよう…
[良い点]  見える景色も少し穏やかになったような。  夏を経て逞しく育ったものたちにとっても、束の間の休息、なのでしょうか。  夏姫と違い寄り添える秋姫。  変わらないことを嬉しく思うのは、また手…
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