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魔王と行く、一般人男性の異世界列伝  作者: ヒコーキグモ
第四章:一般人男性、入学する。
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第四章・その23

アンナさんと学生たちの訓練は……あれはホントに訓練って言って大丈夫なんだろうかとは思うが、何にしてもとりあえず終わった。


大半の学生はアンナさん相手に何もできないまま終わってた。

まともな戦いになっていたと言えるのは最後のヤンキーくらいのもので、そのヤンキーに関しては逆に訓練と言うには二人とも力が入りすぎてたように思う。

最後の方なんて一撃一撃が当たったら死ぬレベルだったし。

ほぼ当たってないので双方無事だったし本人たちもどことなく満足げではあったんだが、見ていて怖いったらなかった。


まあ何はともあれアンナさんによるぶつかり稽古は無事終了し、体育館を後にした俺たちが最後の目的地として向かった先は───訓練場に併設されたスパ。

そう、スパだ。

シャワールームとかではなくスパ。

最後の最後にすげえのが来たなと思う。観光施設かよ。

少尉たちによると設備的には帝国ホテルにあるスパよりは劣るらしいが、正直あそこと張り合ってどうするんだよという感想しかない。


「それにしても気持ちいいなこれ……」


そして俺は今、そんな施設に備え付けられた椅子型の装置に座っている。

椅子型の装置といえばマッサージチェアがおなじみだが、ここにあるのはその強化版と言っても過言ではないだろう。

なんと、自動で微弱な回復魔法をかけてくれる椅子というから驚きだ。

マイナスイオンとかプラズマクラスターの進化版みたいなノリだが、あの辺と違ってわかりやすく効く。めちゃくちゃ効く。

何しろ数分座ってただけで肩こりとか疲れとかが綺麗さっぱりどこかに飛んでいってしまった程。

今俺の肩は翼でも授けられたのかってくらい軽い。

あまりの効きっぷりに個人所有できないかと思ったのだが、「ここにすら一台しかないって時点で察して」という少尉の言葉で諦めた。

ありえねえくらい高そう。


「お待たせいたしました」


そうして俺の身体が癒され尽くし、まるで尻から根でも生えたかのように椅子から立ち上がれなくなった頃。

いつも通りのメイド服に着替え直したアンナさんが、深々と頭を下げながら戻ってきた。


スパに来たのは決して、決して俺がくつろぐためではない。

訓練で汗をかいたアンナさんに、少し休んでもらうためだ。

流石にあのヤンキーとの戦いを終えたアンナさんは汗だくだったし、髪も乱れていた。

まああんだけ動けばな、とは思う。


併設のスパの利用を最初に勧めたのはセレーネさんで、それをアンナさんは一度は固辞した。

ただそこは「俺も寛ぎたいんで」と伝えて使ってもらうことにした。

まあ少し休みたかったのは事実だし。

俺もけっこうな距離を歩いて若干疲れた。


「申し訳ありません、私だけ」

「いえいえそんな」


かなり広いらしい大浴場は気になるので俺も入ってみたかったが、さすがに運動したわけでもないのに昼間から温泉は気が引けた。

まあ、この学園の関係者なら割と気軽に入れるらしいので今度入りに来ようと思う。

訓練場を使う機会もこれからたくさんあるだろうし。


「お昼はどうなさいますか?こちらで食べていきますか?」

「え、食堂とかあるんですか」

「ございます」


ホントにここ訓練場併設の施設か?と思ったが、よく考えたら食堂は普通だった。

おかしいのはスパの方。

なんでシャワールームで満足しなかったのか。


「じゃあせっかくなのでここで」

「かしこまりました」


ここの食堂で出てくる食べ物に興味がある……というか今俺は猛烈に安っぽいものが食べたい。

死の砂漠のキャンプやオーレスコの研究所で食べたようなやつとか、ホテルにオレアンダーが持ってきたようなジャンクフードをだ。

貴族寮で出てくる料理やデザートは間違いなく美味しいんだが、俺のような平民が食べ続けるには豪勢すぎる。

欲を言えばカレーか天ぷらそばが……ヤバい想像したらめっちゃ食べたくなってきた。

残念なことに両方ともこの国には存在しない料理であることは既に判明しているんだが、ないと言われればなおさら食べたくなるのが人間というものだ。

俺だけかも知れんけど。



いつも読んでくださってありがとうございます。


これにて四章終了です。

また五章画書き上がりましたら投稿再開したいと思っております。


よろしければブックマーク、高評価のほうよろしくお願いいたします。

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