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魔王と行く、一般人男性の異世界列伝  作者: ヒコーキグモ
第九章:一般人男性、祭を巡る。
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第九章:その5

年を食うと、時間の経過を早く感じるという現象が起こる。

それでいて給料日に関しては遠く感じるとかいう理不尽な現象だ。

まあ今はもう給料日がない生活なので、ただひたすら日々が目まぐるしく過ぎていくだけになってるんだけども。

確かそれっぽい名前がついていたような気がするが、さすがに覚えていない。


まだ全然若いはずの俺でもそれは実感しているので、恐らく人間は二十歳過ぎた辺りから少しずつそうなっていくのだろう。

「二十歳過ぎたらおっさんだろ」という友人のよくわからない理不尽な言葉を思い出す。

さすがにそれは早くないか。


さてこの前置きで何が言いたいかというと、テスト期間はあっという間にやってきてあっという間に終わったということが言いたい。

早く終われ早く終われと悲壮感たっぷりに日々を過ごす学生たちと一緒に過ごしていると、なんとも言えない感覚の差を感じた。

傭兵どもは年が近いのもあって俺に似た感覚だったらしいが。


いずれにしてもテスト期間はつつがなく終わった。

結果はまだ出ていないが、手応えとしては無難オブ無難。

受けた科目で駄目なものは特になさそうだなという、安堵を伴う手応えである。


学生たちの反応は様々で、俺同様に安堵している者にテスト勉強から解放されてはしゃいでいる者、なんか絶望してる者などまさしく十人十色といった感じだった。

変わり種としては校舎の屋根に登って絶叫してた奴とかもいるらしい、しかも複数。

どんな状況だよ、見たかったわ。


俺の周囲に関して言えば、傭兵どもは見た目に反して真面目にやっていたらしく絶望したり燃え尽きたりしてる奴はゼロ。

何なら終わった瞬間飲みの話を始めていたので、全員はしゃいでいる者に分類していいんじゃないかと思う。


七不思議部の面々に関しては、全員安堵どころか余裕すら感じられる程。

間違いなくあいつらは成績がいいと確信している。

それも地頭がいいだけでなく日々しっかりと勉強しているタイプだ。


テスト前に二度ほど勉強会と称して七不思議部で集まる機会があり、その際に分からないことを聞いたりしたのだが、教え方もめちゃくちゃ上手かった。

普段家庭教師をしてくれている少尉やアンナさんの教え方もかなりわかりやすいのだが、それに勝るとも劣らない。

俺が今学んでいる座学の内容は貴族部の学生にとって基礎も基礎、だいたいの者が入学前に学び終えている事柄らしい。

しかし、だからといって貴族部の者全員がこんなしっかりわかりやすく教えてくれるとは思わないし思えない。

他人に教えられるといつことは、日々学んだことをしっかり身に着けている証拠だろう。


今現在俺は、この輪の中にいていいんだろうかと改めて不安になっているところだ。

ちなみに理由は学力ではなく真面目さ由来。

七不思議部は俺みたいなちゃらんぽらんが混じっていい集団ではないような気がしてならない。

部の名前はめちゃくちゃふざけてるのになあ。


まあ、兎にも角にもこうして無事テスト期間は終わった。

あとは一週間後の結果発表を経て夏休みがやってくる。

その間一応授業もあるにはあるが、そういう授業を履修してなかったり全てを放り出して早々に夏休みに入る者も多々いるそうだ。

まあ、気持ちはわかる。


俺も元の世界ならばそうしていたかもしれないが……この世界、この学園にいるうちは真面目に学生やっておこうと思う。



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