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魔王と行く、一般人男性の異世界列伝  作者: ヒコーキグモ
第六章:一般人男性、探索する。
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第六章:その9

とはいえこの学園内に数多く存在するヘンテコエピソード群。

これらは学生的に”普通”とはいえ、やはりというかなんというか目立つことは目立つ。

そのためウェンディが探し求める変わった話……学園七不思議と呼ぶに足る物事を探すにあたっては、とても邪魔なノイズとなるらしい。


物を探せば出席身代わり人形くんを紹介される。

人を探せば双子の兄に替え玉で授業をさせようとした教師が話題に上る。

出来事を探せば儀式風焼肉パーティーに参加しないかと勧誘される。


この学校は、あまりにも変わった出来事が多すぎた。

いや本当に多いな。

もしかしてこの学校、変な奴しかいないんじゃないか?


「一人では限界を感じておりましたので、皆さんが入部してくださって本当に助かりましたの」


ウェンディが探しているのは、要するに人……学園関係者の手によるものでない変わった物事。

俺の語彙で言うなら、まさしく怪奇現象というやつだ。

この変わった物事だらけの学園でそれを探すというのは、砂場を掘り返してビー玉か何かを探す行為に近い。

しかもそのビー玉は、本当にあるかどうかもわからないのだ。


……いや、何でそんなもん探してんだ?


大変だな、という感想よりそっちの疑問が先に来た。

大した疑問ではないが、それでも気になって仕方なくなってきたので聞こうとしたのだが───


『探し方を変えれば良かろう』


ベルガーンの言葉に遮られた。


「ベルガーン様!?探し方を変えるとはどういうことでしょうか!?」


なんでウェンディはベルガーンと話す時こんな妙なテンションになるんだ?

いや普段から妙といえば妙だが、より妙だぞ。

ウェンディの地元ではベルガーンの逸話とかが伝わってるのかと思ったが、別にそういう事はないらしいし。

本当に何なんだ。


『此奴の言を参考にせよ』


そう言ってベルガーンが指さしたのは俺。

まさかの俺。


「……何で俺?」


この場にいる者の視線が俺に集中するが、そんな見つめられても俺には何も心当たりがない。

俺はこの学園どころか、この国やこの世界のことすらもよく知らないんだが。


『貴様、”学園七不思議”と聞いて思い当たった物事があるだろう』

「そりゃあるが」


俺が知ってるのはこの世界のじゃなくて、元の世界の学園七不思議だぞ。

トイレの花子さんとかそのあたり。


『ウェンディが賽を振って決めた数字が貴様の知る言葉と奇跡的に噛み合ったのだ、内容も───ということがあるやも知れぬ』

「ああ、なるほど」


要するに俺の世界の”学園七不思議”の条件に当てはまる物や場所をこの世界、この学園で探してみろという話らしい。

確かに魔法の力で俺に伝わる言葉に翻訳されてるとはいえ、ウェンディの造語が俺の知ってる言葉だったとなれば期待したくもなるか。


『儀式的なものであれば、貴様が行えば同様の結果が得られるやもしれぬしな』


七不思議には「こうしたらこうなる」というようにやり方や時間帯が指定されているものがある。

それをなぞれば何か起きるかもしれないと、これまた確かにだ。

起こるとしてこの世界にも同じ儀式があってそれが完成するのか、俺が行った結果俺の世界から呼び寄せることになるのかはわからないが。


「ホソダさん、お願いできますか?」


ウェンディ的にも一縷の望みといったところなのだろう、期待に満ちた眼差しでこちらを見つめてくる。


別にやる分には構わない。

構わないのだが俺はホラー、特にジャパニーズホラーが苦手だ。

実際に起こったら嫌だな、という気持ちがかなり強い。

この世界は剣と魔法……銃と魔法のファンタジー世界、そういうオカルトはもはや起こって当たり前だ。

その上俺にはたぶん、儀式が儀式として成立するのならば問題なく成立させてしまえるだけの魔力が備わっている。

実際に怪奇現象が起こる条件が、ものの見事に揃ってしまっているのだ。

ここはひとつ、内容だけ教えて俺はトンズラする方向でなんとかならないだろうか。


『貴様、今如何にして逃げるかを考えているな?』


やめろ、心を読むな。

どうせ顔に出てるとか言うんだろうが、絶対心を読んでるだろお前。

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