EP.30 ルティナの救援に間に合いました
ブクマありがとうございます
今回はナターシャという戦力が一人増えたので、彼女にはエリスを任せた。武に協力を求めるように言ったが、果たして協力してくれるだろうか……。
前よりゲス野郎になった武なら、たぶん平気だろう。エーコの時は平気だったし。これでナターシャがダメだったら、武はゲスどころかロリコン認定してやる。
まあ保険で、俺に対する貸しだと思って協力をしてくれと頼めば良いと伝えてある。
そして俺とエーコなんだが、フィックス城で事情説明後、道を引き返し現在サバンナにいる。
いるのだが……、
「これはどういう事だ? エーコ」
「分かんないよー <中位火炎魔法>」
俺の言葉に答えながら中位火炎魔法で、を使い直径2mはある巨大な炎で。サバンナの狂暴な動物焼き尽くす。俺も剣で斬り咲いた。
今は俺が目覚めて五日目。確実に七日目からサバンナでは魔物が出現し出す。なので五日目から魔物が現れる事も考慮して動物除けのお香と魔物除けのお香の両方をナターシャから貰った。
この効果は抜群で、家からフィックス城に出発し動物との戦闘をほとんどしなかった。その後、引き返しサバンナに入るまでも、同じくほとんど動物が寄って来なかった。多少戦闘したとは言え数度だ。
驚くほど効果抜群でナターシャのスペックの高さを肌で感じた。前の周回でエーコにナターシャについて聞かされたけど、こう目の当たりにすると、ただただスゲーと思ってしまう。
……なのにサバンナに入ってから効果がない。
「エーコ、ルティナと合流してから本番だ! 魔力を温存しておけよ」
そう言ってナイフを投擲し動物の脳天を貫く。当然一撃で絶命。
「分かってるよー……<中位氷結魔法>」
エーコが中位氷結魔法を使い寄って来た狂暴な動物を数頭まとめれ一気に凍らせた。
「キリがない。これじゃあなかなかルティナのとこに辿り着けないな……<下位稲妻魔法>」
少し素早い動物……って、これチーターか?
チーターに下位稲妻魔法を当てて速度を鈍らせたとこで剣で斬り咲いた。
「そうだねー……おっとー<重力魔法>」
動物がエーコに襲い掛かって来て、寸前のとこで重力魔法を使い真下の重力を軽くし、飛ぶ事で躱す。
「<中位火炎魔法>」
高く飛んだとこで中位火炎魔法を使い大きな火の鳥が飛翔し、動物を複数焼き尽くす。にしても本当に時間ばっか掛かる。
ちなみに今回はフィックス城は完全に兵達に任せる事にした。これが賭けだ。
前回の周回でフィックス城の様子が見れなかった事が悔やまれる。
余裕で戦争に勝利していれば、エドワード国王がいなくても良いだろうけど、そうじゃないならエドワード国王は必要だ。だから賭けになった。
じゃあそのエドワード国王はというとムサシの救援に向かった。王自ら行けばクロード城の連中も無碍にはできないだろう。そう思ってエドワード国王に救援に向かわせたのだ。
ちなみに前回同様説明させたのはエーコだ。俺では、どう話して良いかわからなかった。
そして、ルティナには俺達二人が救援というわけでだ。子供達がいる事を考えると複数いた方が良いだろう。
しかし動物除けのお香が効かず苦戦しながらルティナの家に向かっている。全然先に進めない。
野営の際には完全に片方が起きているので、ほとんど徹夜状態で疲れる。
そして俺が目覚めて七日目。ついに魔物が現れ出した。こっちは普通に魔物除けのお香が効き、やっとサクサク進めるようになった。
だが、今更と言う感じで進めるようになるのが遅い。まだ間に合うのか不安だ。焦燥ばかりつのる。
本当は目覚めて七日目に到着したかったんだけどな。クソ! 余計な時間を浪費してしまった。
ルティナが襲われたのは七日目。八日目の正午には終わっていた。
現在目覚めて8日目の早朝。間に合うか……。少し……いや、かなり焦りながらルティナの家に向かう。
「アーク、あれ」
エーコがそう言って指を差すのが速いか、俺が飛び出すのが速いか……俺は全力で突進した。
魔物達の間をすり抜けルティナの横も通り抜けアレに向かって駆ける。
徹夜でハイになってお蔭なのかわからないが自分の速さへの恐怖は微塵もない。
あるのは間に合うという確信。
スッパーンっ!
全力疾走したその勢いのまま、鎧みたいな魔物を斬り咲いた。
ふ~。
その鎧みたいな魔物が襲おうとしていた子供が無事なのを確認する。
よし! 平気だ。
「エーコぉぉぉッッ!!」
次の瞬間、エーコに向かって叫んだ。
「<隕石魔法>」
隕石魔法で魔物達を一掃。ルティナが昨日から頑張ったお蔭なのか数は大していない。一瞬で処理できた。
一体を除いて……。
「あれは……」
強烈な怒りが沸いて来た。頭の中が真っ赤になる。あれはエーコを殺したギガンテスだ。
同じ個体か? もしかしてルティナのとこを襲った後、俺達のとこに来た?
いや、そんなものはどうでも良い。あれだけは許さん。俺は一気に駆け、ギガンテスと肉迫した。
「エーコ!」
再びエーコに叫ぶ。
「<重力魔法>」
何をして欲しいのか伝わったのか重力魔法で地面の重力を軽くしてくれた。
よし! 俺は真上に飛び剣を構え、武に教わった闘気とやらを剣に全力で流す。
その瞬間エーコは魔法を解除したのか、重力のままに一気に落下。その勢いでギガンテスを斬り掛かる。
スッパーンっ!!
真っ二つにしてやった。そしてギガンテスは灰となって散って行った。
「エーコの仇取ったー!」
「わたしやられてないよー」
すかさずエーコが突っ込んで来た。
「一週目のエーコは、コレにやられたんだよ」
「そんなのわたし知らないよー」
またすかさずエーコが突っ込む。やっぱエーコとこういう軽口を叩くのは楽しいな。
「あの~……エーコとアーク?」
ちっ! 水を指すなよルティナ。しかも俺は疑問形かよ。
「そうだ。ルティナを助けに来た」
「え? どういう事? それに本当にアークなの? 人が変わっていない?」
そう言ったルティナはフラっと体が揺れる。無理もない。昨日からずっと戦っていたんだから。
それにしても少し疲弊した感じはあるが抑揚のある話し方だ。前の周回では悲惨な状態だったしな。これが本来のルティナなんだろう。
「ルティナお姉ちゃん大丈夫?」
直ぐにエーコが駆け寄り支える。
「ありがとうエーコ。でも、それより……」
ルティナの視線がこっちに来る。
「アークは事情があって記憶がないんだよー」
「えっ!?」
毎度お馴染みだな。この反応は。みんなするね。
「まあ話は道すがらー。此処は危険だからフィックス城に行こー」
「わかったわ。でも……」
今度は子供達にルティナは視線を向ける。
「ごめんねー。本当はもっと連れて来たかったんだけどー、色々あって私とアークだけなんだよー。でも、フィックス城まで確り守るからー」
「そう……わかったわ」
「とりあえずルティナは休め。昨日から戦ってたんだろ?」
「アーク……どうしてそれを?」
「後で説明する。そうだな……そこの奴」
俺は少し離れた場所に立っていた男を指差す。
「え? 俺?」
「ああ……ルティナを背負ってくれ。移動しながら色々説明する」
と言っても説明するのはエーコなんだけど……。
やべぇ
第七章が全然終わる気がしない(>_<)