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EP.22 エド城への道中にて

「あ、エド城に帰る前に行きたい場所があるんだけど良い?」

「構わぬで候」


 アーク達はクロード城から逃げ日が沈んだ頃、パラリアへの道中の途中にあるロクリスのアジトに到着した。

 アークはロクリスのアジトの扉をノックした。


「誰じゃ? こんな時間に」


 エリスの祖父であるライデン殿が扉を開ける。その腕にはエスメラルダがいた。ムサシはその子供を見てロクームとエリスの子供が出来たのか、めであたい事だと考えていた。


「む? 君はムサシ君かな?」


 ライデンがムサシに視線を向けて来た。


「久方ぶりでござる」

「ああ久しいな。それでどうしたのじゃ?」

「これを……」


 アークを手紙を差し出した。


「ん? これはエドワード王からの手紙じゃな?」

「詳しい事はここに。かいつまんで話すとフィックス城に来て欲しいと。まあ今は夜だし次の日の朝に発った方が良いかも?」

「分かった。では、読ませて貰うのじゃ」

「では、俺はこれで」


 そう言ってアークは再びパラリアを目指し歩き出した。そして、適当なとこで野営を行う。


「アーク殿、先程の(ふみ)は?」

「ああ、ロクリスの事でちょっとトラブルがあったらしく手紙を渡すように頼まれたんだよ」


 アークは、と言う事にした。実際は謎のゾウ存在があるから、念の為にライデン達を城に呼ぶ為にエドワードに手紙を書いて貰っていた。これもエーコが上手く話してくれていた。


 次の日、パラリアに到着した。サバンナがある島との橋渡しの為に南北に建造された町。アーク達が現在いるのは南側のサウスパラリアだ。


「とりあえず今日は此処で休もうか。ムサシは大分疲弊してるだろうし」


 アークがムサシを気遣う。確にここに来るまでの間、気の休まる時間はなかった。野宿をし見張りで片方起きていた。もしアークが万全だったなら見張り等しなくても危険が迫ればアークは勝手に起きたであろう。ダークとしての肉体がそう訓練されていた。


「其れを申したらアークもでござる。動物が相手とは言え、率先していたでござろう」

「俺は負傷していなし問題ない……それよりこれで薬を買って来ると良い」


 アークはかぶり振り、ムサシにお金を渡した。


「助けて頂いた上にお金など受け取れぬでござる」

「誰もやるとは言っていないぞ。エド城まで送って行くんだ。その時に謝礼と一緒に返して貰う」


 アークがニヤリと笑いおどけたように言う。


「そういう事なら有難く頂戴致すでござる」

「じゃあ薬を買って来てる間に宿の手配をしておくから、また後で」


 そう言ってアークは目の前の建物……宿屋に入って行った。ムサシも薬を買いアークが取った宿屋に入った。


「お帰り」


 アークはテーブルの席に付きにこやかに手を振ってきた。お帰りというのも変な感じだと苦笑いを受かべるムサシ。

 それにしても、こうして対面するとダークとは思えぬとついつい観察していまう。いつも寡黙で気配を消していた。と、ムサシは昔のダークを思い出していた。


「どうした?」

「いやはや、何でもないでござる」


 いつまでも席に座らぬムサシを不信に思い首を傾げながら問い掛けると、ムサシはそう言って席についた。

 それを確認するとアークが地図を広げた。


挿絵(By みてみん)


「エド城に行くには、まずはノースパラリアに船で渡って、そこから三日ってとこだろうか……」

「いやはや、もっと掛かる可能性があるでござる。其れにノースパラリアで一日休み、夜明け早うに発った方が良きにてござる」

「何故?」


 アークが首を傾げる。


「サバンナでござる」


 そう言ってサバンナを指差した。


「此処は凶暴な動物が多いでござる。故になるべく早う抜けたいでござる。発とうもどうしても一日は野営致さないといけぬでござるが」


 まあ昔のように魔物がいるよりはマシだが、と内心付け足す。


「なるほど」


 アークは深妙に頷く。


「其れに拙者は負傷、アーク殿は記憶の問題で一気に切り抜けるのは困難極まるでござる」

「ほ〜……そうなると本来の俺なら、簡単に切り抜けられるのか?」

「其ればかりか戦わずして半日でサバンナを抜けられるでござる。勿論拙者がいなければの話でござるが」

「昔の俺、どんだけだよ」


 どんだけ? 不思議な言葉を使うでござるな。と、内心思うムサシ。


「ところでアーク殿にお伺いしたいでござる」

「ん? 何だ?」


 アークは地図を見ながら返事をした。


「アーク殿は何故に拙者がクロード城に捕らわれておると知っていたのでござるか?」

「………」


 アークが一瞬固まる。

 ん? 何かまずい事を聞いてしまったでござるか? と首を傾げるムサシ。


「何か言えぬ事情があるにてござるか?」

「……いや、そうじゃないんだが……記憶がないから定かじゃないというか……」


 歯切れ悪く言う。


「実はエドワード国王に頼まれてな」

「何を頼まれたのでござるか?」

「とある屋敷を調べてくれと……で、そこで爆発に巻き込まれ記憶を失ったんだけどな」


 なんと!? そんな事が!! と、驚きに目を剥く。


「それでその屋敷を調べた結果ムサシを捕らえようと画策してるのがわかったんだよ」


 タイムリープを説明できないアークは、そう言う事にした。


「なるほど……して何故に拙者を?」

「いや、だから記憶がないから定かじゃないんだよ。詳しい事もわからないし」


 実際タイムリープの結果で知っただけだし理由なんてわからんしな。と、内心付け足す。

 誤魔化そうとしてアークが冷や汗をダラダラ流し出す。

 そのせいで嘘を付いてる? 何か言えない事でもあるか? と、ムサシが訝しげる。

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