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EP.18 拷問に屈しない侍

 パッシンっ! パッシンっ! パッシンっ!


拷問部屋で鞭の音が響く。ムサシはひたすら鞭で打たれていた。


「ちっ! 意識を失いやがった」

「じっくりやらんと死ぬぞ?」

「こんなクソ侍なんて死んでしまえ! 俺に舐めた口を聞きやがって」

「情報を聞き出してから殺せと言ってるのだ」

「ちっ! 今日はこれくらいで勘弁してやるか」


 次の日、ムサシが目覚めると昨日と同じクロード城の兵と思われる者が二人いた。


「よー! 今日も楽しい拷問タイムだぜ」


 パッシンっ!


「っ!」


 起き抜けに鞭で打たれムサシは顔をしかめる。


「ほら吐いた方が楽だぜ」

「無きものはござらん」


 ベリベリ……。ベリベリ……。


「ぬぅぅぅ!」


 爪を二枚剥がされる。ムサシはただ苦痛に耐える。


「侍なんて他愛もない。所詮その程度か」

「縛ってる相手に申す言葉ではござらんな」

「んだとぉ。やっぱり自分の立場が理解していないようだな」


 パッシンっ! パッシンっ! パッシンっ! パッシンっ!


 再び鞭で滅多打ち。次々に皮膚が剥がれ血が噴き出てたとこを更に鞭で叩く。そうなって来ると痛みの感覚が薄れて行く。

 はっきり言って拷問向きの兵ではない。これでは数日でムサシは死ぬであろう。

 そのムサシは、言葉遣いに品性がない。それで良く城の兵などやれるな、内心呆れ返っていた。


「おい止めろ! また気を失ってるぞ。お前は何でやりすぎるのだ?」

「このクソ侍が生意気だからだ」

「それでも死なれたら元も子もないぞ」

「ちっ!」


 また次の日、ムサシが目覚めると同じ二人がいた。


「さあ今日も楽しい楽しい拷問タイムだぜ」

「無駄な努力でござるよ」


 資源なんて豪遊できる程、我がエド城にはないと言う事をムサシは良く理解してるのだ。

 故に拷問は無駄でしかない。いや、拷問と呼べるものではない。ただ甚振ってるだけのものだ。

 そうして何日経ったかわからぬ程、拷問を毎日受けるムサシ。


「何だ貴様は?」


 ドカ! バコ!


 ん? 何でござる? とある日、変わった物音でムサシは目を覚ます。


「生きてるか?」

「お主は?」

「話は後だ……<下位回復魔法(リカバリー)>」


 ムサシに取って知らぬ者が下位回復魔法(リカバリー)を掛けてくれ、縄を切った。

 この灰色髪の男は何者なのでござろうか? とムサシは首を傾げる。


「悪いな……下位の回復魔法しか使えなくて」


 体中が痛むが、下位でも回復してくれた事で動けるようになったムサシは、椅子から立ち上がった。


「いや感謝致すでござる。してお主は?」

「俺はアーク。ムサシだろ? 助けに来た」

「……確かに拙者はムサシでござるが、何の目論見でござるか?」


 散々拷問を受けた後で助けて懐柔しようと言う腹かもしれないとムサシは警戒した。


「そう警戒しないでくれ。あ~……俺はエドワード国王の知り合いだ」

「なぬっ!? エド殿と……?」

「それとエーコとも一緒に暮らしている。今は信じて逃げないか? この際はっきり言えば、俺個人としては、お前がどーなっても良いんだが、あんたに死なれたら二人が悲しむ」

「承知したでござる。エド殿とエーコ殿の知り合いなら、とりあえず信じると致すにてござる」

「じゃあ逃げるぞ」


 そうしてムサシは拷問部屋から出た……。

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