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EP.08 タイムリープしていました

 異世界だけあり町と町との距離がかなりあるな。

 このフィックス城は近くだってエーコが言ってたけどほぼ一日掛けてやっと着いたよ。そもそも船で六時間掛かるとかトロ過ぎだろ。フィックス城に付いた頃には日が沈み掛かっていた。

 エドワード国王は黄色が強めの金髪で首の後ろ辺りで結び背中まである髪で、なかなかの美形だったな。

 それにしても……、


「流石はお城だ。食事が豪勢だったな」

「そうだねー。おいしかったねー」

「いや、味はエーコのが良かったな」


 女の子の手料理なんて食べた事なかったしな。あ、オカンはノーカウントで。


「褒めても何も出ないよー」

「えーまた作ってくれないの?」


 冗談のつもりで駄々っ子のように言ってみた。


「食べたいならまた作るよー。一緒に暮らしてるんだから、それは当然だよー」


 おっしゃー!!

 エーコの手料理ゲットだぜ。ってポ〇モンかよ。


「でも、ナターシャお姉ちゃんのが上手だよー」

「って言われても食べた事ないしな」


 記憶喪失と言って色々聞かれた時以外、話した事もない。どんな人なんだろ……。

 というか何で同じ家に住んでるんだろ? 俺――正確には肉体だけど――は、エーコと親子だからわかるけどナターシャさんは何者?


「まぁ家を留守にしちゃったしねー。じゃそろそろ寝ようかー」

「一緒に寝る?」

「バカなのー?」


 蔑みの目で言われた。

 グサー! 強烈。心抉られた。

 半分冗談だったのに、マジで罵倒されるとは。まぁ半分本気だけど。


「ダメかい?」

「変な気起こされる前に言っておくけどー……」

「この肉体はエーコパパなんでしょう?」

「……何で知ってるの?」

「夢で見た」

「またそれー? アーク、本当に記憶喪失なのー?」


 ジト目でめっちゃ疑いの眼差しを向けられる。


「俺的にはそんなつもりはないんだけどね。車……馬車みたいなものに、はねられて異世界転生したって感覚だよ」

「ま、良いやー。でも私もう十一歳だよー。親子でも一緒に寝るような歳じゃないってー」

「でも、たまに一緒に寝てるんだよね?」

「……それも夢で見たのー?」


 あ、またジト目をされた。

 確かに異世界だけあって子供の成長が早いように見える。エーコは十一歳らしいけど元の世界で中学生でも十分通じる程の女の子らしいラインの体をしてる。

 だが、やはり十一歳だ。断じて俺はロリコンじゃない。確かに年下も悪くないと思うが十一歳はないわー。


「いや、ベッドの大きさから推測して」


 クイーンサイズだもんな。


「……うんまぁ……たまにだよー」


 エーコがしどろもどろ言いながら顔を赤くしてる。可愛いな。


「でもナターシャお姉ちゃんもいるからー。今はいないしダメー」


 今度は強めに言ってきた。ナターシャさんも一緒に? 三人で一緒に寝る事もあるのか。一体どういう関係なんだ?


「そっかダメか……記憶喪失で不安なのに……チラ」


 態とらしくイジけて見せてエーコをチラ見した。


「は~……しょうがないなー。変な気起こさないでねー」


 やったー。

 人生初…可愛い女の子と添い寝。人生初だよな? いや、記憶を失ってるから初ではないのか。


「起こさない起こさない」


 ニンマリ笑い、同じベッドに入る。は~添い寝たまんないな~。

 やば! エーコの膝がアレに当たった。


「ねぇ? 変な気起こさないって言ったよねー?」

「ウン…オコシテナイヨ?」

「じゃあ何で大きくなってるのー?」


 確かにエーコの膝が当たったビッグマグナムは覚醒してるけど。


「えっ!? いや、あのそれは生理現象だから……気にしないでくれると……」


 可愛い女の子が隣にいるってだけで、体が反応してしまった。別にエロい事なんて考えてないよ? ほんとだよ?

 だって十一歳が相手だしね。いくら大人びて見えても、断じて俺はロリコンじゃない。何度も言うが俺はロリコンじゃない。


「は~しょうがないなー。じゃあするー?」


 溜息とともにそんな事を……。


「はっ!? 何を」

「この状況でするって言ったら一つしかないでしょー?」


 マジか。いやいや待て待て。さっきから俺は自分にロリコンじゃないと言い聞かせただろ。

 確かにエーコは前の世界で言えば十分対象に入るが、ダメだろ。


「エーコに嫌われたくないから、一緒に寝てくれるだけで良いよ。それに本当に生理現象で、変な事は考えないから」


 って、言ってしまうが失敗したか? 俺の馬鹿。童貞を捨てるチャンスだぞ。これじゃあただのヘタレだな。


「うん。手を出してきてたらー、一生軽蔑してたー」


 うっ! 手を出さなくて正解だったようだ。


「じゃあアークおやすみー」

「ああ、おやすみ」


 やっぱり可愛い女の子と添い寝だけで十分です。

 翌朝。家を出て二日目になるのかな。やたら外が気配が騒がしくて朝早く目を覚ました。

 耳に入って来る音は大した事ないのだが、なんとなく感じる気配が忙しない。音にも意識すると何か激しい喧騒を聞こえる。

 俺はその気配で、先に目覚めたようで、エーコの寝顔を拝めた。眼福眼福。


「ふは~……アークおはよー」

「だねー。あ、寝顔めっちゃ可愛かったよ」

「……変な事してないでしょうねー」


 体を抱きしめる仕草をする。信用ないなー。


「寝顔拝んでただけ」

「は~恥ずかしいから止めてー」


 エーコって溜息多いよな。


 コンコンっ! と、ノックされた。


「起きていらっしゃいますか?」


 衛兵かな? 扉越しに伺って来た。


「起きてるよー」


 エーコが答える。


「アルフォンス城から戦を仕掛けられました」


 扉越しのまま言う。

 え? 戦? マジか。


「エドワード陛下が、終わるまでこの部屋にいるか、隙を見て逃げだすように言っております」

「わかったー」


 そうして衛兵の気配が遠ざかる。うん? ところでさっきから何故気配が敏感に分かった?

 このアークって気配に敏感なのか? エーコより先に起きたし……。

 気配の騒がしいさで起きたけど、耳に入って来る音は、意識を向けないと煩くは感じなかった。

 このアークの体のスペックは、かなり高いのかもな。


「戦争かー。逃げないとねー」

「エドワード国王を助けたい?」

「うーん。でも今のアークをほっとけないよー」

「俺も戦うか、一人でも逃げるよ。助けたいんでしょう?」


 エーコが先程から、そわそわしている。助けたそうだ。エドワード国王と気安い関係だったしな。


「良いのー?」

「エドワード国王が心配って顔してるよ」

「ありがとー」

「そこは抱き着いて大好きー……じゃないの?」

「は~……ダイスキー」


 溜息を付かれたが、本当に抱き着いて言ってくれた。だが、棒読みだ。

 その後、戦争に参加した。ぶっちゃけ気持ち悪い。初めて人を殺して嫌悪感が半端ない。何処を見ても血だらけで、良くエーコは平気だったなと思う。


 その後、五日後エドワード国王に呼ばれ謁見の間に行くがエリスが死んだと言う訃報が届き、エドワード国王達が行ってしまった。それでエーコが泣き出していまう。

 どうしたものか……。エリスという者をお姉ちゃんと呼んでいた。親しかったのだろう……。


「ごめんねー……直ぐ泣き止むからー」


 こちらが困っていたのを察したのだろう。そう言い出す。ほんと何処までも大人びているな。元の世界での十一歳ではあり得ない。

 それでも年下だ。だから俺は自然にエーコに手を伸ばし抱いていた。

 エーコが大粒の涙を流しながら目を丸くし俺を見上げて来る。

 俺も女の子相手に良く自然にこんな事をしたなと思ってしまう。体が覚えていると言う事かな? 記憶はなくても自然に体が動く。今回の戦でもそうだったし。


「ぅぅぅあああ……」


 エーコが顔を俺の胸に当てて声に出して泣き始めた。まだ十一歳だ。普段は俺が助けられてるけどこう言う時は甘えて良いんだぞ。

 まあそんな事は恥ずかしくて言えないけど。


「どうしよっかー。ナターシャお姉ちゃんも帰って来てるかもしれないしー、一旦帰るー?」


 俺から離れるとそう言って来た。泣いたので目を腫らしいる。

 一週間も経ってるしな帰って来てるかもな。夢の通りなら少なくても二週間経っても帰って来ないけど。


「エリスって人は誰? エーコの大切な人?」

「仲間ー。エド叔父ちゃんとー、さっきいたロクーム叔父ちゃんは、前に一緒に戦った仲間だったのー。今はロクーム叔父ちゃんとトレジャーハンターのチームを組んでるのー。チーム名はロクリス」

「安直な……もしかして俺も仲間だった?」

「その体の本来の持ち主はねー。二年前まで起きてた大戦が終わった後、アークがその体を使うようになったのー」


 なるほど、エドワード国王、エーコ、ロクームって人、エリスって人、そして、この肉体の持ち主であるアークス=アローラが二年前まで起きてた大戦で共に戦った仲間なのね。

 そんな事を考えていたら視界が暗転。


「あれ?」


 気付いたら家のベッドで寝ていた……。


「これはどういう事だ?」


 何故またベッドで寝てる?


「ま、まさかタイムリープしてる?」


 となると……『あ! アーク、目覚めたんだねー』とか言ってエーコが部屋に入って来る筈。


「あ! アーク、目覚めたんだねー」


 やっぱり。エーコが部屋に入って来て思った通りの事を言った。何でタイムリープなんてしてる?


「どうしたのー? 黙っちゃって」

「いや考え事をしていてな」

「依頼の事ー?」


 依頼? ああ、俺が記憶を失ったという爆発が起きた依頼か。それも考えないとな。

 とりあえずは本当にタイムリープしてるか確かめないと。


「どうしたのー? また黙り込んでさー」

「ちょっと今、頭の中を整理してるから待ってね」

「わかったー」


 とりあえずナターシャさんが来る筈。もしタイムリープしてるならそろそろかな?


「あ、アーク起きたのね。良かった」


 やっぱり部屋に入って来た。とりあえず本当にタイムリープしてるかナターシャさんで試すか?


「どうしたのアーク? 黙り込んでさぁ」

「実は記憶がなくてさ」


 これで前回と前々回と同じ質問をされればタイムリープしてる可能性が濃厚だ。


「えーっと貴方の名前はオサムであってる?」

「じゃあオサム。貴方の最後の記憶は?」

「車? 馬車のようなもの?」

「その時、オサムは何歳?」


 全く同じだ。これでナターシャさんが明日家を出たら確定だな。


「それじゃあ四日も目を覚まさなかったんだ。今日はもうゆっくり休みなぁ」


 ナターシャさんにそう言われ、部屋に一人で残る。さて仮にタイムリープしてるとして発動条件は? 時間? 一度目は二週間、二度目は、八日……時間ではなさそうだ。


 じゃあ誰かが死ぬ? 一度目はエーコ、二度目はエリスって人。頭に≪エ≫がつく人が死ぬとタイムリープは?

 いやいや、そんなくだらない事ではないだろ? 恐らく前に共に戦った仲間が死ぬとタイムリープする。よし! とりあえずこれと仮定しておこう。


 そして、次の日ナターシャさんは出て行った。これは確定だな。


「今日買い出し行くだけどー。アークも一緒に来るー?」


 同じよう買い出しに誘われた。


「行くけど、その前にエーコと話がしたい。ここ座ってくれる?」


 椅子を指差す。


「なーに?」


 エーコが椅子に座る。俺はテーブルを挟んで反対側に座っていた。ここまでは前の周回と同じだな。


「実は俺、タイムリープしてるようなんだ」

「たいむりいぷ? 何それー?」

「同じ時間を繰り返してる事」

「どういう事ー?」


 どう説明しようかな。


「数日過ごした後、再びこのベッドで昨日に目覚める」


 クイーンサイズのベッドを指差しながら言った。


「何言ってるのー?」


 うわ! めっちゃ胡散臭いって目してるな。


「とりあえず、暫く騙されたと思って俺に付き合ってくれ。未来がわかるから」

「は~意味わかんないけど、わかったよー」


 エーコってほんと溜息多いよな。


「じゃあまずは港町ニールの武器屋行って、それからフィックス城に行くぞ」

「何で武器屋?」

「記憶がないから小刀まともに扱えないからオーソドックスな剣にする」

「なるほどねー」


 そう言えば途中から剣をまともに扱えていたな。最初は振ってるというより振られているって感じだけど。余程身体能力が良いのか、剣も扱った事のある体なのか。

 あ、そう言えば……、


「この体って投擲得意なの?」


 無我夢中だったけど自然と投擲をし、それが良い感じに決まった。それに気配を敏感に感じ取れていたな。


「得意だよー」

「投擲用の武器ってこの家にある?」

「それなら此処ー」


 エーコは立ち上がりタンスを開ける。其処にはナイフや短剣やら小太刀やら色々あった。


「よし! 何かあった時の為にこれも持って行くか」

「それで何でフィックス城に行くのー?」

「戦争が起きる。エーコにはそれに介入して圧勝して貰いたい」

「ほんとにー?」


 うわ! 凄い疑いの眼差し。


「嘘なら嘘でも良いじゃん。戦争起きなくて良かったねーってなってさ」

「まぁそれもそうだねー。それでアークは? アークは戦争に介入しないの?」

「俺はエリスって人を助ける」

「えっ!? エリスお姉ちゃん?」

「一週間後に死んだって知らせが届く。だから先回りして死なせないようにする」

「それもほんとー?」


 また疑いの眼差しだな。


「嘘なら嘘で良いじゃん。エリス死ななくてよかったねーってなってさ」

「それもそうだねー」

「じゃあ行こうか」


 そうして俺達は再びフィックス城を目指す。まぁエーコからすれば再びでもないんだけど……。


挿絵(By みてみん)

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