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EP.01 異世界転生する事になりました

 キンコンカンコーン!


 チャイムを目覚ましに意識が覚醒した。もう放課後か。


「よー治! 随分と良く寝ていたじゃないか」


 陽気に声を掛けられた。声を掛けたのは渡内 武。クラスメイトのダチだ。

 ツーブロックという時代遅れの髪をしており耳にかからない程度の長さだ。


「あー、昨日遅くまで起きてたからな」

「それで夜中何してたんだ? 女か? 女なのか?」

「武はそればかりですね」


 眼鏡をクイと上げながら言ったのは、同じくクラスメイトでダチの里内 聡だ。

 見た目は、丸眼鏡の天パー。名前の通りで聡い。通称サトモジャ。


「武は何かと女、女、だな」


 そしてもう一人。同じくダチだが、隣のクラスの雷鳴 (らい)

 切れ長の目が特徴的でスポーツ刈り。ちなみに雷の日に生まれたから來なんだとか。安直な。

 俺を含めたこの四人がいつもつるんでるメンバーだ。

 ちなみに全員日本人なので黒髪である。


「で、何ヤってたんだ?」

「いやガンゴンガン読んでた」


 何かニュアンスがいやらしい。

 再び武に問われたので答えた。週刊雑誌の事だ。


「ガンゴンガンか~。俺はやっぱ断然カケラの魔人だな」

「お前、単行本全部持ってるからな」

「まぁな。今週話の魔人やばそうだな」


 武はカケラの魔人の話をし出すと止まらない時があるんだよな。

 なので、鞄を持ち立ち上がり昇降口に向かいながら会話を続ける。


「あー足が六本の巨大亀な」

「そうそう」


 ノリノリで話す。ほんと好きだよな~カケラの魔人。

 ストーリーは単純。ナニカの欠片を培養し魔人を作り出し世界制覇を目論む……が、毎回主人公に倒されるというものだ。

 そんな話をしていると中学校の正門を出た。ここで來とはお別れだ。


「じゃあ。次の日曜忘れるなよ」


 そう言い残し左に向かって歩き出す。日曜と言うのは、この四人で集まりゲームショーに行く約束をしているので、その話だろう。

 俺達は來と逆の左に歩き出すとサトモジャが口を開く。


「新作のパンチ・オブ・ファイアーが楽しみだな。ゲームショーで何処まで公開するか」

「格闘RPGね」


 RPGだがエンカントすると格闘バトルに入ると言う実にめんどくさそうなゲームだ。サトモジャは何故か楽しみにしている。

 主人公は竜と人のハーフでドラゴンになれるとか。パーティーも最大三人になるのだが、格闘バトル中にチェンジできるらしい。あと場外は一発KO。

 空中コンボもあり、空中コンボ締め且つコンボ数が多いとレアドロップ率が上がるらしい。

 色々なパクリのてんこ盛りにしか思えないだよな。


「ここで別れ道ですね。また明日。治に武」

「ああ」

「おお」


 途中の道でサトモジャと別れる。最後に残ったのは武と俺だ。家の方向がほとんど同じである。


「ゲームも良いが女作れよ」

「またその話か。武こそ漫画ばかりだろ」

「何を言う? 聖典(マンガ)こそ最高のパイブルだぞ」

「はいはい」

「お前一生童貞だぞ」

「いや、それはお前もだろ?」

「俺はいずれ食いまくるから良いんだよ」


 こう言うとこが最低なんだよな、コイツは。


「ここまでか。じゃあまた明日」

「ああ。ゲームショーの待ち合わせだ駅前だろ?」

「おお」


 そして武とも別れ、それぞれ違う道に入り、家に向かう。

 毎日変わり映えしない退屈な日常だ。だけど今日は違った。

 いつもの帰り道で、いつもの横断歩道を渡る。その時だ……、


 プップー。


 クラクションの音が耳に飛び込みそっちに視線が行く。

 車が突っ込んで来る。えっ!? 今、車道側は赤信号だよね?

 そして、俺ははねられた。

 痛いっ!!

 めちゃくちゃ痛い痛い痛い痛い。体が動かない。意識が薄れて行く……。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 パっと目が覚める。知らない天井だ。えっと俺は何してたんだっけ? 確か……車にはねられたよね?

 それにしても大きなベッドだ。クイーンサイズって奴かな?

 とりあえず起きるか。体の痛みはないね。


「だ、誰?」


 目の前に灰色の髪に灰色の瞳をした男がいる。と言うか日本人じゃないよな。

 ん? てか、これ鏡か? 全身を映すくらいの大きさの鏡。とりあえず右手を挙げてみた。目の前の人は左手を挙げる。やっぱり鏡だ。


「これって俺か?」


 これってまさか……、


「これ異世界転生って奴ぅぅぅぅ!!??」


 たぶん俺は車にはねられて死んだんだよな。でも、転生だからって十歳くらい上の人になるのはな~。もっと若い状態が良いよ。


「あ! アーク、目覚めたんだねー」


 知らない女の子に声を掛けられた。十歳くらいの娘だ

 髪がピンクとか変わっているな。ピンク色の髪を三つ編みでサイドテールにしており左肩から前に垂らしている。

 愛くるしい大きな目をしており、左は薄紫、右は赤色の瞳というオッドアイだ。

 それにしても可愛いな。お近付きになりたい。って、いかんいかん。それじゃあ武と一緒だ。しかも十歳くらいじゃロリコンだぞ。


「どうしたのー? 黙っちゃって」

「えっと……まず君は誰? そしてアークって?」


 いや、状況的にアークってのは俺かな?


「何ふざけてるのー?」


 別にふざけてるわけじゃないんだけどな。にしても語尾の伸ばす感じもまた可愛いな。

 さてどうしよう……。

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