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EP.18 約束をしました

 エーコちゃんが泣いてしまった時は、どうしようと焦りまくった。が、抱っこできたので結果オーライ。

 更に大泣きされたが、これはあれだぞ。慰めてるのではなく、俺がずっとマジ天使エーコちゃんを抱っこしたかったんだ。マジでヒャッハーって感じでエーコちゃんを堪能しました。

 その後、空気の読めない二股クソ野郎がいたが、色々喋ってしまったな。

 引き籠りのコミュ症の俺にしては、頑張ったと思う。

 じゃあ、最後にこれだけ言って過去に飛びますかね。


「エーコちゃんが、もし中身の違う俺を少しでも父親と思ってくれているなら一つ約束をしてくれないか?」

「約束?」


 エーコちゃんが、可愛く小首を傾げる。


「俺がダームエルと決着を付ければ、エーコちゃんもわかってる通り歴史が変わる。会えなくなる。だけど、もしまた会うという、そんな奇跡が起きたら一緒に暮らさないか?」


 そんな奇跡あるわけないだろ。自分で言っててわかってる。

 でも、無くなってしまうけど()()エーコちゃんに何か残して起きたい。


「うーん……じじぃがいるからー、それは無理かなー」

「エーコや」


 ラゴスの目が潤んでるぞ。


「だからー、くたばった後でも良いかなー?」


 だけど、『じじぃ』とか『くたばった後』とか、口悪いのにラゴスは何でそんな嬉しそうなんだよ。余程孫を(でき)可愛がりしてるな。


「それでも良い。約束しよう」

「わかったー。じゃあその印にそれ頂戴ー」


 エーコちゃんが俺の左手の薬指を指差す。俺は指輪外しエーコちゃんに渡す。

 あー俺の初期装備がぁぁぁぁぁ。あれ唯一の初期装備だったんだよなぁ。


「替わりにー、これ貰ってー」


 エーコちゃんが首のチェーンを外す。

 これはチャーンに通されているのは、グランティーヌの指輪だな。

 それを受け取り首から掛ける。サイズが違うので指にはハマらないしな。


「……アーク…は、こうなるとわかってたのかい?」


 エーコちゃんと話が終わった後、おずおずとナターシャちゃんが声を掛けて来る。

 げ! 今度は、こっちが泣いてるよ。

 頼むから黙って行かせて欲しかった。

 エーコちゃんに泣かれた時点で結構揺らいでしまったってのに。


「何がだ?」

「歴史が変わる事」

「予想はしていた。杞憂に終わって欲しいとは思ってたけど」

「そっか……だから、あたいと約束してくれなかったんだね」

「ごめんね。もし過去に行くなんて話にならなかったら、ナターシャちゃんの家に転がり込んで引き籠りニート生活バンサーイしていたんだけど。予想通り過去に行く事になった」

「にいと? ……それよりなら、今ならあたいとも約束できる? もしまた巡り会える奇跡があれば一緒に暮らさないかい?」

「え? でも……」


 エーコちゃんに視線を移した。

 エーコちゃんと先に約束したからな。


「どうだい? エーコちゃん」


 ナターシャちゃんがエーコちゃんに問い掛ける。


「うん、良いよー。ナターシャお姉ちゃん」

「ありがとうさぁ……だってさぁ」


 そして、俺を見て来る。


「じゃあ、そんな奇跡が起こったら三人で暮らそう」


 起きねぇよ。

 自分で言っていて呆れる。でも、これで二人は大人しくなるだろう。

 何も気兼ねなく俺はこのネコ型ロボットのフラフープ……もとい時空の扉に飛び込める。


「またれよ」


 今度は誰?

 サラか。


「何だ?」

「これを持っていけ」

「これはディーネ王妃と連絡する為の魔晶石」

「もし、どうしても立ち行かぬ事になったら使ってくれ。今から一年前、お主らがラフラカとやらを倒した辺りだな。その時から、それは存在している。つまり、使うならそれ以降だな」

「いや、これがないと帰れないだろ?」

「ん? 必要ないだろ? 歴史を変えるのだろ?」


 ド正論来たーーーー。

 まぁ自分が仕えてる人が時空魔法を使えるんだ。それくらい理解できたか。


「もし、失敗したら?」

「案ずるな。帰る手段は他にもある。それが一番確実ってだけだ」

「そうか……では、有難く頂く」

「替わりに一つ頼みがある」

「何だ?」

「もし変わった後の歴史で私と出会う事あったら、私をガッシュと引き合わせて欲しい」

「なんでだ? なんでだ?」


 本当になんでだ? だよ。

 ガッシュも首傾げまくってる。


「一度模擬戦をしてみたいのだ。良いか?」

「いいぞいいぞ」

「……というわけだ。頼む」

「わかった。もし次の歴史でサラと出会う事があるならガッシュと引き合わせよう」


 こっちの約束のが現実的だ。

 何が奇跡だ。自分で言っておいて笑ってしまう。歴史改変でそんな事あり得ねぇっての。


「じゃあ皆、ナターシャちゃん以外は、たった数日だけの付き合いだったけど楽しかったぜ。行ってくる」


 今度こそフラフープに飛び込もうとした。


「今思ったのだけど、アーク」


 何だよ。早く飛び込ませろよ! で、今度はエドか。


「過去に行かなくても、現在のダームエルを阻止すれば良いのではないか? そうすれば行かなくて良いのでは?」


 どこにいるんだよ?

 こっちのが確実だろうが。


《それは無理かな》


 そう思っていたら、時の精霊の声が頭に響く。


《ダームエルってニンゲンはどこにいるの? この大陸にいるの? それにラフラカを取り込んで直ぐなら力を制御できないから勝機はあるよ。けど、今のダームエルに勝機はあると思う?》

「精霊様が探して頂く事はできないのでしょうか?」

《残念だけど、そこまでの指示は星々に貰っていない》

「そうですか」


 エドが肩を落とし少しヘコんでる。珍しいものを見れたな。


《それともう一つ。その時空の穴は一人通らないと塞がらない。だから一人通ってくれないとボクとしても困るんだよね》

「何故でござる?」


 ムサシが問い掛ける。と言うか、俺が通るからどーでも良いだろ。さっさと行かせろ!!


《ボクは時の管理が役目。知らぬ間に誰かが過去に行けば、歴史が変わり、ボクの管理が大変になるかだよ》

「なるほどでござる」

「じゃあ今度こそ行くな。皆じゃーなー」


 なるべく気軽に行こう。

 俺自身この後どうなるかわからない。本当に決着付けられるかわからない。不安だらけだ。

 そう思いながら、俺は時空の扉をくぐった。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 時空間は青白い光を放っている。其処を俺は勝手に流されて行く。

 たぶん今から、二年前に向かっているのだろう。

 そして、たまに皆の映像が流れている。これは過去に起きた事が映像として流れているのだろうか?


挿絵(By みてみん)


《ボクとも一つ約束してくれない?》


 精霊の声が頭に響いた。


「何で此処にいる? さっきの場所にいたのだろ?」

《いや、ボクはまったく違う時間軸にいるよ。君だけには教えておくけど、ボクがあそこにいたらダームエルに支配されてしまう。知ってるだろう? ラフラカが全ての精霊を支配していたのを》


 精霊王の力か。


「ああ」

《だからボクは違う時間軸から半同胞(はらから)のルティナに気配を送っていた》

「違う時間軸から良くできたな」

《ボクは時の精霊だからね》


 全くわからん。時を操れそうだけど、時間軸を超えて気配を飛ばすとか全くわからん。


《わからないって顔だね。じゃあもう一つ話そうか。ボクの力だけでなく星々の力も借りているのさ》


 最初から、そう言えよ。それに力を借りてとか詐欺臭っ!! そもそも星々って何なんだ? 単純に考えて精霊達の上役かな?

 まあ言っても始まらん。さっさと話を続けるか。


「それで約束とは何だ?」

《ダームエルってニンゲンがラフラカを吸収するまで手を出さいでおくれ。もっと言えば余計な時間改変をしないでおくれ》

「つまり最小限の歴史改変をしろと?」

《そういう事さ》

「わかった。だが、一応理由が知りたい」

《さっきも言ったけどボクの役目は時間の管理。歴史改変されると管理が大変なんだよ》

「そうか」


 精霊も大変なのかー。って知るかー!! 星々が手を貸せば別の時間軸から気配を飛ばす奴だろ? 全くもって管理くらい楽勝じゃねぇのかよ。

 まあ良いさ。俺の標的はダームエルだけ。どっちにしろ過去の世界でダームエルがどこで生きてるか知らない。

 だが、ラフラカが滅びる時に確実に現れる。無駄に探すより、その時に決着を付ける方が楽だな。

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