EP.30 濃いメンバーばかりでした
お待たせしました
プロットも固まったので、再開します
ただ、不定期にアップするかもしれません
それと細かい事ですがシルヴェストルの口調を少し変えました
俺は自分の野営用ドーム型岩の家に戻ってきた。外では彩音が水をお手玉して遊んでいる。それを見守るファーレ。
「何してるん?」
「あ! おっか~。何ってアークが教えてくれた水魔法じゃん。ボケるの早いんじゃいっすか~?」
「は~」
彩音には『遊泳』と『水魔』という称号がある。
遊泳は10分潜水できるほどの泳ぎの達人。
水魔は、水魔法に特化できるはずの称号だが、スキルは持っておらず、飾りに過ぎない。
俺は水魔法の基礎の基礎――水刃――を教えた。
これで、ただ水を出すだけなら魔力制御で可能になる。
だが、三つも水玉を出して掴んでも弾けないようにするには、魔力制御をかなり上手くやらなければならない。
驚くことに、彩音は俺の不在中、教えたばかりの水刃でお手玉までやっていた。
一時間で基礎を覚えただけでも凄いのに、応用までしてしまうとは……転移者、マジでチートやな。
これだから転移者は! え? お前も転移者だって? 細っけ―事は、良いんだよ!
「…………アーク、ちょっと、言い辛いんっすけど」
彩音が遠慮がちに言う。
「どうした? 保護すると言った以上、大抵の事は聞くぞ」
「えっと、ほら…………」
その時、グ~~ッとお腹の音が響き、彩音の顔が真っ赤になった。
「ぷっ!…………OKOK。お腹減ったのね」
「むっ! 笑う事ないじゃん。君、無神経ってあだ名あるっしょ?」
「あってたまるか!」
実際は散々言われたことがあるのだが、それは内緒だ。
「主上の無神経なところも美徳」
「おい! ファーレ」
「わざと無神経に振る舞って、場を和ませる。妾はそんな主上を敬愛しております」
「へ~~」
彩音がニヤリと笑う。イラっ!
「とりあえず飯だ。此処から一時間歩いた所で仲間と合流する。飯は仲間が用意してくれてる」
「…………仲間?」
あからさまに警戒する彩音。
「どうした?」
「…………数人で囲んで、あんな事やこんな事をする気っすね!?」
キッ! と睨む彩音。自意識過剰やな。
「ほうほう。自分が美人って自覚あるから、そんな発想かね?」
「……で、その仲間って何者っす?」
褒め言葉をスルーした!?
「心配せんでも、一人は思春期真っ盛りの男だ」
「……で? そんなんで安心しろってオチっすの?」
「他は女もいるぞ。まあ人間じゃない女だが」
「ちょ! 最初に危ないやつ言うんやめぇ~」
「いや~~、保護しようとしてるのに、あからさまに警戒されるから揶揄いたくなるわ」
「………主上よ、悪癖が出ておりますぞ」
「そりゃ~めんごめんご。でもうちもジョークジョーク、やで」
彩音はお手玉を止め、水玉を消した。俺と話してる間ずっとやってたのだ……突っ込むのは負けた気がしてスルーしてた。
その後一時間程歩き、ライオスの岩の家に到着。
角ばって端まで無駄なく使える。俺の家はドーム型で、中心は天井が高く快適だが、端に寄ると天井が低く、全体の広さの割に少し窮屈だ。
「いらっしゃい」
「うっす」
「えっと……よっろ~」
「ゲンイよ、久しいのぉ」
「ああ。ファーレ、久しぶり。大分話せるようになったね。そっちの方は初めまして、ゲンイです」
「よろ~」
ライオス……いや、今は偽名でゲンイ。彼に招かれた。
中には風の精霊シルヴェストル、ゲンイが保護した転移者の小学男子・光坂瑠二もいる。
「俺はゲンイの昔からの知り合いでアークだ。宜しくな、小僧」
「小僧じゃないやい! 僕は光坂瑠二って立派な名前があるんだい」
「じゃあこの世界では、小僧 瑠二な。家名なんて意味ないしな」
「んだと~!!」
「うわ~。アークっち容赦ないっすね~。あ、うちは月泳 彩音ね」
「えへへへ……彩姉ね。宜しく」
小学男子、綺麗なお姉さんに弱いのか。瑠二は顔を真っ赤にした。
「妾はファーレ、ディスファーレだ。小僧……いやルジよ、宜しくな」
「うわ! デカい鳥が喋った!?」
今度は腰を抜かす。忙しい奴。
「最後に私ね。フウはシルヴェストル。風の精霊よ。別にゲンイ以外覚えなくても良いしー♪」
「……うわ! 凄い美人。精霊ってこんな美人なの?」
彩音も十分美人だが、褐色肌のせいか、また違ったタイプだ。
「ふふ~ん。分かってるじゃん、アヤネ♪、でも~アンタもなかなか綺麗だしー」
「……それより、お腹減った。此処で何か食べるっすよね?」
「そうだね。食べようか。もう作ってる」
ゲンイは奥に引っ込み、食事を持ってきた。
――――いや、濃いメンバーばかりと思うのは気のせいじゃないはず。
「あ、うちも手伝うっす」
彩音がそう言って動き出す。シルヴェストルは相変わらず我関せず。ファーレは、成長期で指が生えたのはいいが、今度は体が大きくなりすぎて手伝うどころじゃない。手が出せない、というオチだ。
小僧はテーブルに次々と運ばれる料理を見つめ、涎を垂らしている。俺はというと、大人しく座っているだけだ。手伝えって? え? 細っけ―事は良いんだよ!
メニューは、山盛りの唐揚げとサラダにパン。山盛り唐揚げは絶対、小僧のリクエストだろう。
「うわ~、美味しそう」
瑠二は口を開けたまま食事を凝視する。
「小僧、まずは座って落ち着け」
釘を刺す。
「小僧じゃないやい」
「まぁまぁ……落ち着こう」
「とりあえず、食べようか」
彩音が止め、ゲンイが続ける。
「「「頂きます」」」
「頂くしー♪」
「頂こう」
まずは唐揚げを一つ……ガブッ。
「うまっ!」
「ラック鳥の唐揚げだよ」
ゲンイが説明する。ラック鳥か。そもそもこの世界には普通の動物がいない。肉が欲しければ魔獣を食べる世界だ。
「ラック鳥?」
彩音が首を傾げる。
「この世界の鳥型魔獣。ちなみにラッキーのラックじゃなく、棚のラック。この鳥の骨で棚を作ることが多いから、そう名付けられたとか」
「へ~~」
ゲンイがトリビアを披露し、彩音は目を輝かせる。
「僕が食べる」
「ルジはもう十分食べたしー。残りは私が食べるしー♪」
「いや、シルも十分食べたでしょう?」
「精霊は燃費が悪いしー。常に顕現してるからね」
唐揚げの取り合いが始まる。シルヴェストルは動きが活発で、楽しそうに取り合っているようだ。というか燃費が悪いって言うが常に顕現しなければ良いだろ。そうすれば契約者のゲンイの魔力だけで活動出来るのに……。
「主上、ラック鳥を所者します」
今度はファーレが要求して来る。自分専用のお皿に盛られ嘴で突いていたが、なくなったらしい。
「え? 今、争奪戦してるから難しい」
「ファーレは、鳥が好物? 共食いじゃ?」
小僧、それは禁句だ。
「小僧、妾を誰と心得る!? 偉大なる神獣よ。魔獣如きと同列にするでない」
「…………なんかごめん」
あえなく小僧撃沈。
「え? 鳥はと…………ふがふが」
「それ以上は止めような」
彩音が続けようとして来たので、慌てて口を塞ぐ。
「まぁまぁ。まだあるから。どんどん食べて」
苦笑いを浮かべるゲンイ。
そんなわちゃわちゃした飯だった。久々だな。こんな騒がしい飯は。この世界に来た頃は、ナターシャとエーコと沙耶がいて賑やかだったな。
特に沙耶が常識人だったから、ツッコミが冴え渡っていた…………沙耶は、元気にしてるかな? 今、どこにいるのかな?
いかんいかん。沙耶はこれから見付けるんだ。焦るんじゃない。
で、その後はキアラとラキアと旅をして、この二人も強烈だった。そんな物思いに耽ってると、ゲンイが風呂が沸いたと告げられる。良いよな。この岩の家には風呂があって。
「誰から入る?」
「じゃあ私から」
ゲンイの問い掛けに真っ先にシルヴェストルが手を挙げる。自由人過ぎるだろ。流石は風の精霊。
「ルジも一緒に入る~?」
「えっ!?」
ポンと小僧の顔が赤くなる。コントかよ。
「じゃあうちも入ろうっか~」
「ッ――――」
真っ赤に。これは止めんとダメやろ。
「月詠さん、情操教育に良くない」
「え? 彼女は良いんっすかぁ?」
「あれは精霊」
「そそ♪。私は精霊だから良いしー」
度々言う『♪』がウザい。
「それに月詠さん、美人なんだから余計に気にした方が良い」
「……じゃあ、うちはお風呂あとで良いっす~」
またスルーか。まあともかくシルヴェストルと小僧が先に入る事になった。
AIで画像生成できるのを知り挿絵を作りまくりました
そして挿絵に合わせて少し文章を変えたり
え?そんな事をする暇があったら、さっさと更新しろって?細っけ―事は良いんだよ!
って良くないですよね。申し訳ございません
ついつい興が乗ってしました
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断章 EP.07☆
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17章 EP.08 EP.18 EP.20 EP.24 EP.29
挿絵を追加した場所です
尚〇印はオススメです。結構拘っていたり、偶然良い感じに作れました
☆印はルティナの変身です。見比べると服の形状がどう変化したのか分かります。かなり拘りました
気が向いたら見てください。特に〇印を見て頂けましたら嬉しいです
なんかライコウだけ無駄に4枚も作ってしまいました(汗)
画像映えそうな気がしたので