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EP.16 皆に別れを言いました

「じゃあ手分けして、この屋敷を調べるか。一時間後に再び此処に集合って事で」


 屋敷に入り、エドがそう言った。


「此処広くて疲れそうだからー、筋肉叔父ちゃん肩車してー」

「ガハハハハハハハハ……良いぜ」


 エーコちゃんがアルをご指名。羨ましいぞアル。マジ天使なエーコちゃんを肩車するなんて。

 にしてもそう言えば、アルの事を筋肉叔父ちゃんって呼んでるだよな。それに何も言わないなんて、アルもおおらかと言うかなんと言うか。


「じゃあ私は、サラとルティナと周るな」

「承知した」

「ええ」


 エリスはサラとルティナをご指名か。


「ござるござるまわるまわる」

「心得たでござる。ガッシュ殿」


 ガッシュはムサシをご指名と。


「ユキ、行こうか」

「わかったルマー」


 エドはユキをご指名と。


「ラゴスのお爺ちゃん、行こうかぁ」

「わかったのじゃ」


 ナターシャちゃんがラゴスをご指名と。って、俺あぶれてねぇ?

 何かボッチになっちゃった。地味にショック。


「ほら何やってるんだい? アークも行くさぁ」


 良かった。ナターシャちゃんが俺を誘ってくれたよ。


「……ああ」


 こうして三人で屋敷内を散策。


「アークス、生きていたのじゃな」


 小声でラゴスが話し掛けて来た。てか、今更。


「……違う」

「何じゃ?」

「……俺はアークスじゃない。アークだ」


 そう中身が違うのだから。


「また、そんな事を言うのじゃな」

「……俺はアークスでもダークでもない」

「何なんじゃ貴様? 昔から」


 ラゴスが目を剥く。

 何なのじゃって言われてもね。俺とはこないだ会ったばっかだろ。


「二人とも何の話をしてるんだい?」

「……俺がアークスではないと言う話だ」


 まあナターシャちゃんには話してるし聞かれても困らないか。


「あー……ラゴスのお爺ちゃん。本当にその人はアークスじゃないさぁ」


 おっと思わぬ援護射撃。


「じゃが……ハンターが懐くのはアローラ家の者だけじゃし、儂はダークの素顔を見ておるし覚えておる」


 アローラ家ってアークスとエーコだけじゃね? アークスの親はゴミだしハンターが懐くとは思えないけどな。

 あ、ちなみにハンターは置いて来た。またお別れになるからな。可哀想だ。

 って言うのは建前で、本当はハンターに引き留められたら揺らいでしまいそうだ。


「そう見たいだねぁ。だけどアークはダークじゃないさぁ。あたいも最初はダークだと思ったけどねぁ」

「ふむ、ナターシャよ。色々聞いておるのじゃな。珍しいな。完全に自分を殺していたアークスが自分の事を話すなんて」


 流石年の功。ダークが自分を殺していたのを見破っていたか。


「うーん……まぁ信じれないか。でもまぁ、いつかアークが自ら話してくれるかもねぇ」


 そう言って俺にウィンクして来るが、そんな日は来ないと思うな。

 こんな話をしながら周っていたら一時間経っていたので出入口に戻った。そうしたら二股クソ野郎が復活していやがった。


「……幽霊?」

「いや、生きてるよでガンスよ」


 つい、そう聞いてしまった。


「少しは反省しただろうと思い回復してやった」


 と、エリスが言う。

 許しちゃうのか。まあサラは怒ってるように見えないから良いのかな?

 にしても、ほんと裏山けしからん。


「あー俺も後ろから抱いて揉みたいなー……って思ったでしょう?」

「エスパーかよ!?」


 またナターシャちゃんに心読まれた。


「えすぱあ? 何だい? それ」

「簡単に言えば心を読む人」

「ふーん……今のカマをかけただけだったんだけどなぁ」


 マジかよ。


「……それで収穫は?」


 さっさと話を反らそう。


「特に何も」


 サラが答える。

 やがてエーコちゃん、アル、エド、ユキが帰って来る。


「どうじゃったか?」


 ラゴスが聞いた。


「ダメだったー」

「何もなったルマー」


 エーコちゃんとユキが答える。

 じゃあ後はムサシとガッシュだけか。


「おーい、大変でござる」


 噂をすれば。


「何か見つかったのでガンスか?」


 と二股クソ野郎。


「みつかったみつかった」

「面妖なものがあったでござる」


 ガッシュが答え、ムサシ補足した。

 そうして、ムサシとガッシュが見つけた怪しいもののとこへ向かった。

 其処には穴があり、その先の空間が変わってる。何だこれ?

 まるでネコ型ロボットのフラフープ見たいだな。


「これ時空間の入口だよー」


 エーコちゃんは察しがついてるようだった。


「どう言う事でガンス?」


 とロクーム。


「つーん」


 あ、エーコちゃんがそっぽ向いた。


「何でガンスか?」

「つーん」


 更にそっぽ向いた。


「お主が変な事をするからだろ?」


 サラがそう言う。


「うん、そー。ロクーム叔父ちゃん、気持ち悪ーい」

「プっ!」


 つい、吹いてしまったぜ。

 エーコちゃんに気持ち悪いとか言われてやんの。


「確かにな。エーコは、ああ言う男には、かかわらない方が良いぞ」

「わかったー」

「ぬぬぬ!!」


 エリスの眉間に皺が寄る。

 まあ私の旦那にケチ付けるなと言いたいのだろうけど、被害者はサラだし言えないのだろうな。


「それで時空間と言うのは?」


 サラはそれ以上、ゴミ……もとい二股クソ野郎の話はせず、続きを聞く。


「うーん……なんとなくだけどー、ディーネ王妃の時空魔法の時の魔力の感じが似てるんだよー。だからー、たぶんこれに入ると、違う時間軸に飛ぶ事なるよー」


 流石は魔眼持ちだ。ディーネ王妃と、このフラフープみたいのが似たものだろ思ったのか。

 俺も予想を付いていた。やはりそうなるか、と。


「それはどういう事なんだ?」

「うーん、たぶんだけどー、ダームエルって人が過去から来たってならー、過去に繋がってると思うよー」


 アルが聞きエーコちゃんが答える。


「だが、何処の時空に飛ばされるなら検証できないぞ」


 エドが言う。

 確かに。


「なら、精霊に聞いてみましょう?」


 そうルティナが提案する。


「いるのでござるか?」


 目を丸くし、ムサシが聞く。

 ムサシだけではなく全員目を丸くしていた。

 と言うか、ルティナが強い気配を感じるって言って此処に来たのだろ?

 何故驚く? だけど、不可思議な力は感じないな。ダークの時は感じたようだけど、俺だとわからんのかな?


「聞こえてるでしょう? 応えてくれる?」


 ルティナが呼び掛ける。


《流石は、半同胞(はらから)なだけはあるね。ボクに気付いていたとは……尤も気付かせる為に気配を送っていたのだけど。ボクは時の精霊だよ⦆

「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」


 脳内に響き渡るような声が響く。


「教えてくれる?」

《悪いがボク達が、星々から与えられた精霊の役目は世界を形作り、契約のみでニンゲンに力を貸すものだよ》

「じゃあ何も教えてくれないの?」

《いいや。星々から今回の一件で一部を開示するように言われている》


 一部か……。

 まぁ内容によっては助かる。


《まず、その穴だけどお察しの時空間の穴だよ。出口はダームエルと言うニンゲンが、此方にやって来た時間軸。つまりラフラカを倒した直後だね》

「それじゃダメでガンス」


 とロクーム。

 確かにダメだな。


「どういう事だ?」


 エドが聞き返す。


「ダームエルがこっちに来た直後って事は入れ違いになるって事でガンス」

「確かに」

《そこは大丈夫だよ。ボクの力で飛ぶ時間を多少ずらせる。なんて言ったって、ボクは時の精霊だからね。ただ細かく調整できないから、だいたいラフラカが倒される一年くらい前だね》

「なら行けるな」


 エドがニヤリと笑いなが言った。


《ただ問題は此方に一人が来たって事。それはつまり……》

「一人しか行けない」


 エリスが言う。


《そういう事さ》

「……なら、俺が行く」


 そうこうなる事は予想が付いていた。


「何故だ?」

「なぬっ!?」

「どうしてルマー?」

「アーク?」

「おいっ!」

「なんじゃと!?」

「何故ダーク殿がでござる?」

「本当に良いの?」

「なぜダークが? ダークが?」

「それで良いのか?」


 二股クソ野郎、サラ、ユキ、ナターシャちゃんに、筋肉バカ、ラゴス、ムサシ、エリス、ガッシュ、エドの順番に言って来た。

 これでお別れだ。

 だから……………暗殺者ロールプレイなんてどーでも良い!!

 確り応えるか。


「ロクーム、お前は家族が出来るんだろ」

「ああでガンス」

「だったらお前は除外だ。家族を大切にしろ。それにお前の事だ。女の尻ばっか追い掛けて肝心な事を成し遂げないだろしな」

「んだとぉでガンス」

「だな。ふふふ……」


 ロクームは目を剥き怒り出すが、エリスは微笑を浮かべる。が、目が笑っていない。怖いです、ハイ。


「サラ、お前はユグドラシル大陸からの使者だから除外だろ?」

「……むっ! そう……なるな」

「サラ、此処までの協力感謝する。ユキ、お前がいなくなったら誰が雪だるま一族をまとめる?」

「そうだけど……ルマー」

「お前がいなければ一族は滅ぶかもしれない」


 ナターシャちゃん、君に言える事はない。

 ごめんね。


「アル、お前は兄貴を支えると誓っただろ?」

「ああ」

「だったらとことん支えろ。ラゴス、あんた良い歳なんだ。悪いが過去で、もし何かあったらどうする? ダームエルと戦うかもしれないのだぞ? その歳で勝てると言い切れるのか?」

「そうじゃな。……………しかし、本当にアークスではないのかもしれんのぉ」


 後半ボソっと呟いていた。

 皆には聞こえていないだろうけど、ダークの耳だからこそ、俺には確り聞こえた。


「エーコを大切にして、余生を送りな。ムサシ、お前は国務大臣だろ? エド城はどうなる?」

「むぅ……そうで、ござるな」

「エド城を確り切り盛りしな。エリスは子供を大切に。旦那は浮気しそうだがな」

「おい!」


 二股クソ野郎の抗議は無視。


「ああ……其処は確り手綱を握るさ」

「握れてないから、サラが毒牙にかかったんだがな」

「だからいい加減にするでガンス!!」


 二股クソ野郎の言葉は全て無視だ。


「そうだが。この場では余計な一言だろ?」

「すまない。それと幸せにな。ガッシュ、お前は人間世界で暮らしに慣れていない。時間の感覚がわかるのか? 一年過去で待機してるんだぞ」

「むりだむりだ」

「今まで通りサバンナで自由気ままに生きな。エド、フィックスはこの大陸の科学力を担ってる」

「ああ」

「より良い大陸にしてくれ」


 さて、ナターシャちゃんに以外には返したかな。

 ルティナとエーコちゃんは何も言って来なかったから返してないけど


「戻れないんだよ?」


 と、思ってたらルティナも声を掛けて来た。

 そうだな。戻れないな。ルティナはきっと気付いてる。


「何言ってるでガンス? ラフラカが倒される一年前に行って、一年後ダームエルをどうにかして、もう一年過ごせば良いだけでガンス」


 それが違うんだよ、二股クソ野郎。


「……そうね」


 ルティナは敢えて言わないんだろうな。


「ルティナ、子供達を大切にな」

「勿論わかってるわ。ダークは覚悟の上なんだね。なら送り出すわ」

「アーク、また会いましょう」


 ナターシャちゃんが再び声を掛けて来た。

 ごめん無理だ。


「約束はできない」

「……アーク」

「何なんだよでガンス!? そのくらい約束してやれでガンス。そもそも何でお前が行くって言うんでガンスか?」


 煩いよ、二股クソ野郎。

 と言うか何でキレているんだよ? あ、さっきから散々煽ったな。


「ダームエルは俺の相棒だった男、そして親代わりだったんだ。だから、これは俺が決着を付けないといけない事だ」


 正確にはダークの代わりにな。


「はぁ!?」


 知らないかったようで返す言葉が無いようだな。まあお前は一度だけ会った事があるんだけどな。名を名乗らなかったから知らないようだけど。

 よし。これで挨拶は終わったな。

 あーでも、マジ天使エーコちゃんが声を掛けてくれなかったのは寂しいな。


「待ってーっ!!」


 良かった、声掛けてくれた。

 ………。

 って、えーーーーーーーーー!! 何で泣いてるの?


「待ってー、お父さんっ!」

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