EP.06 ツッコミ疲れました
集団暴走現場に到着した。砂埃が起きており見えてる魔獣は数百くらい。だが索敵気法で確認すると千近くいるな。それと本当に珍妙な恰好のやつがいるし。
「異世界パンチ!」
技名を叫びながら魔獣……レッドブルを殴り飛ばす。一撃で絶命。確かに強いね。
「異世界ブレードっ!!」
剣を振るい剣閃で数十頭のレッドブルを薙ぎ払う。
マジでこの人、なんなんだろう。だってさヒーロースーツだよ? 真っ黒なスーツに顔にはバイザー。しかも異世界、異世界とか言ってるが転移者か?
ちょ~~~~気になるんだけど。
<鑑定>
バッチーンっ!!
つい出来心で鑑定したら弾かれてしまった。その瞬間ヒーロースーツ野郎がこちらに視線を向ける。バイザーで表情は見えないが、あまり良い表情してないだろうね。
「君かね? 私を鑑定したの?」
「あ、はい。すみません」
素直に謝りました。というか俺と会話しながらこの人、魔法名破棄で光のシールド出してるし。それにより魔獣を塞ぎ止めていた。
「ワッハハハ……アオじゃないかぁぁい」
「ん? おお~【雨裏慧流】殿か! 久しいのではないか?」
「ワッハハハ……二年ぶりくらいだぁぁぁね」
だから、ポーズ止めてくれない? 今も両手を交差させて左下を向いてるし。ついでに芝居がかった喋り方だし。
「知り合いですか?」
「彼もSランク冒険者のさぁぁあ」
「私の名は異世界レンジャー緑川 青。人呼んで~~~……」
なんかキッレキッレのダンスを始めたぞ。ダンスというかポーズ? ともかく戦隊ヒーローのような腕の振り回しや腰の動きをしている。
「アナザーブラックっ!!」
ドッカーンっ!!
なんかバックで爆発したぞ。ついでにレッドブルを数十頭吹っ飛ばしたし。魔法名破棄でアホな演出に魔法使うなよ。無駄にMP使うんじゃないか? そして何故最後に昆虫ライダーの変身ポーズの最初のように両手をピーンと左側持って行った?
「気軽にレッドと呼んでくれ」
色々ツッコミたい。だけどまずこれだけは真っ先に言いたい。
「どこに赤の要素があったんだよっ!?」
スーツは黒で名前に緑と青。赤ねぇーじゃねぇか。ついでに赤の要素は、暴走している魔獣の方じゃねぇか。
「ん? あるじゃないか」
「ぅわあ~!?」
いきなり何するんだよ? 無理矢理ステータス見せて来たぞ。そんな事が出来るのかよ?
名前:【爆発参上】アオ=ミドリカワ
年齢:???歳
レベル:???
種族:人族
職業:???
HP:?????
MP:????
力:????
魔力:???
体力:???
俊敏:???
スキル:???、???、???………………
称号:???、???、???、???、???、???、???、???、???、???、???、???、???、ヒーロー、転移者
しかも都合の良いとこしか見せてこないし。
で『称号:ヒーロー』は……、
ヒーローに憧れヒーローらしい行動をすると得られるかもしれない称号。
ヒーローらしい事をする際の魔法を魔法名破棄で使用しても負担がない。
またステータスを任意で見せられる。
またふざけたものだな。つまり変身ポーズは魔法名破棄でOKって事? さっきの(というか今も張ってる)光のシールドは、誰か守る為に使うものなのでヒーローらしいってなるのか? アホらしいがなかなか使える称号だな。
で、レッドって二つ名かよ!?
分かるかボケェェェっっ!!
はぁはぁ……久々にツッコミで疲れた。
「ところで【雨裏慧流】殿は、どうして此処に?」
「ワッハハハ……Aランク昇格試験の試験官だぁぁぁね」
こっちはこっちで、何でまだ両手を交差させて左下を向くポーズ取ってるの?
「ならばこの集団暴走も試験に使うか?」
「良いのかぁぁい?」
「私は弱き者を守れれば構わない」
「ワッハハハ……相変わらずだぁぁぁね。では君達、試験の障害を処刑したまぇぇええ」
そう言われ動いたのはアルファとベータだ。ソウソウを除いたパーティー『槍の愛好家』は動かない。何せ今、『試験の障害』と言ったからな。つまり試験に関係無い者は手を出すなと言外に含まれていると判断したのだろう。って訳で俺も一暴れ。龍圧は怒られたので使わない。