EP.13 ロクームの自分語り
俺様の名はロクーム=コードでガンス。
大陸一の冒険家だったガンスが、今は大陸一のトレジャーハンターロクリスの片割れガンス。
もう八年くらい前になるガンスだろうか? 俺様はルティナと出会ったでガンス。
何なんでガンス? この抑揚の無い喋り方をする女は。と、最初は思ったでガンスよ。しかし、聞けば精霊とのハーフというではないかでガンス。
これはお宝の匂いがプンプンするでガンス。精霊なら各地のお宝が眠る場所を知ってるかもしれないでガンス。
だから、ルティナを口説き落として精霊からそれを聞いて貰おうという打算的なもので近付いたでガンス。その為に、反帝国組織に入ったガンス。
そうルティナをどうこうとか全く考えてなかったでガンスよ。何故か周りは、信用してくれなかったで、ガンスが。
そして、俺様は本物のお宝に出会ったでガンスよ。
エリス=シャール。一目惚れだったでガンス。帝国の在り方や自分の在り方に苦悩する彼女見て力になりたいと思えたでガンス。
今までお宝の事しか考えてなかった俺様が誰かの事を考えるとは、笑っちまうでガンスよな?
そして、つい魔が差して共に泊まった宿屋で、襲ってしまったでガンス。
暫く険悪になってしまったでガンスが、俺様を意識するようになってくれて結果的には結ばれたでガンス。
エリス=コード。それが今の彼女の名でガンス。そして、もうじきガキが生まれるでガンス。
俺様は貧乏だった為に親に無理矢理働かされ、その報酬を全部奪われたでガンス。
少しでも逆らえば殴られ、機嫌が悪くても殴られたでガンス。
お陰で人の顔色ばかり見るようになったでガンス。お陰で周りを見る目だけは良くなり、冒険家になれたでガンス。
それに貧乏だった為にお宝にしか興味が無いでガンス。そんな俺様が家族を作るとは思わなかったでガンス。
それはさておきでガンスが、せっかく家族ができるってのにダームエルって野郎が、また精霊大戦を起こそうと、画策してるのではないかと思える出来事が起きまくったでガンス。
それを阻止するべく廃墟となった貴族の屋敷に来たわけでガンスが、俺様が仕切る事になったでガンス。
エドにやれと言われたでガンス。まぁ周りを見る目だけは良くなったのだから構わないでガンスがな。
俺様は最適なチームを作り、それぞれ振り分け屋敷の周囲に降下したでガンス。俺様の受け持つのは北側でガンス。
……………
…………………
…………………………
と、何か長い自分語りをしていたロクーム。
この戯言が、噓か真か別の話とし、まあ東側は問題ないだろう。
このメンバーの中で三強と言うのがいるとすれば、間違いなくアルフォードとガッシュが選ばれる。
三人目は条件次第で、入れ替わりが激しいが、短時間戦闘なら、ルティナが選ばれるだろう。FFOのゲーム内で言うMP――リアルなので、実際は魔力――が枯渇するので、短時間と言う条件になってしまうが、ルティナには半精霊化と言う切り札がある。
その三強のうち二人であるルティナとガッシュを配置した東側は、何の問題もないだろうと楽観視するロクーム。
まぁそれは間違いはなく。ガッシュが立体軌道で中空を駆け魔物達を翻弄する。そして……、
「う~」
唸りながら精製した爪で引き裂く、空の魔物……サンダーバードやウインドバードを中心に倒してる。そのついでに地上の魔物を攪乱してると言う感じだ。
しかし、それは考えてやってない。本能でやってしまうのが、ガッシュの恐ろしいとこである。
「<中位稲妻魔法>」
ルティナが中位稲妻魔法を唱える。
ルティナの掌から、放たれた稲妻はオーガキングに直撃すると四方八方へ広がり、一瞬で周囲の魔物を黒焦げにした。
本来なら稲妻が四方に広がる程度。それがルティナの場合は四方八方と、広がる範囲が広い。
ルティナだからこそできる芸当なのだ。勿論エーコとエリスにもできるが、最初は誰もできなかった。精霊大戦の折、魔力を上げる事で皆できるようになったのだ。
ただ、範囲が広いせいでガッシュも巻き込みかねない。ぶっちゃけルティナは、ガッシュを無視して魔法を放った。
本能で避けると言う信用があったからだ。
続けては西側。
ムサシ、エーコ、ラゴス。ロクームは、此処が一番心配だと感じつつ送り出した。
ムサシは防御に硬い侍。それを前衛にして、後衛には連携ができそうな二人の魔導士。
バランスは良いのだけど、一人は腰を痛めてたおり、もう一人は良い歳なのだ。
「「<中位氷結魔法>」」
ピキピキ……っ!! っと、エーコとラゴスによるダブル魔法。
エーコとラゴスが同時に中位氷結魔法を唱える事で、広範囲の魔物達を凍らせた。
上位氷結魔法を使うより、魔力消費が抑えられ効率的と言えよう。
「秘儀・月」
シュシュシュシュシュシュ……パリーンパリーンパリーンパリーン……っ!!
其処をムサシの連続突きである秘儀・月で次々に凍った魔物を砕いて行く。
続けて北側では、ロクームとサラとユキが奮戦していた……いや、ユキとサラだな。
ロクームは、ナイフを上空に投げてるだけなのだ。
ヒューン……ブスっ! ヒューン……ブスっ! ヒューン……ブスっ! ヒューン……ブスっ!
空飛んでる魔物だけを確実に倒しているが、ぶっちゃけサボってるとも言える。何故なら……、
「るまーーーーっ!!」
ユキが吹雪かせる。雪だるまの魔物だけはあり、吹雪攻撃は十八番なのだ。
「サンダースピアーっ!!」
そして、サラが電撃の力を秘めた槍を突き出しながら叫び、刃先から電撃が発射。吹雪で水浸しになった魔物達を次々に電撃を浴びせている。水は電気を通すので、ロクームは下手すると感電するとヒヨってるのだ。
故に近付きたがらなかった。
やがてナイフが無くなると、ワイヤーフックで良っかと、それを取り出す。
ヒューン……ブスっ! と、フックを突き刺し、プッシューンっ!! と、引き寄せ短剣で斬り咲く。
そんな感じで、余計に魔物を倒すペースが遅くなってしまう。
「中位火炎魔法」
東側では、ルティナが中位火炎魔法を唱えていた。
ルティナの手から火の鳥が飛び出す。
人が三人乗れるくらいの大きさだ。が、火の鳥だけに誰も乗りたくないだろう。
この魔法は、本来は人間サイズくらいの特大の炎を飛ばす魔法なのだが、使い手の魔力で火の鳥になり、威力も大きさもスピードも段違いに変わるのだ。
アークは、FFOをプレイしながら、『大魔王様のメ〇ゾーマかよっ!!』と、無粋のツッコミを入れていた。
ゴォォォォ……っ! と、東側の戦場全体にそれは飛び回る。
これも本来なら、一直線に飛ぶだけだが、使用者の魔力で自由に動かせる。ルティナは、半精霊化をして、それを行う。
雷属性に耐性があるサンダーグリズリーやエレキーマウス等が、残ったので炎属性にしたのは、良いが連続で炎系魔法を唱えるより、一瞬だけ半精霊化した方が、効率的と考えたようだ。
事実残った魔物を焼き焦がすと半精霊化を解除した。そして、同時に空の魔物はガッシュが片付けた。
が、魔法が効かない魔物が残った。しかも、頑丈で厄介な魔物である。それは、マジックアーマーだ。
闘気&打撃が得意なアルフォードが天敵で、アルフォードなら単独撃破が可能だが他の連中じゃ一人では厳しい相手である。
ズッドーーーンっ!! と、初撃は猛烈な勢いで、空から突っ込んで頭突きをしたガッシュだ。
普段なら、精製した爪での攻撃だが、打撃の為に頭突きをしたのである。それを考えてではなく本能でやってのけてしまうのがガッシュの凄いとこだ。
しかし、効いていない。
ルティナは、昔に戦った時より硬くなっていない? と、首を傾げる。
ズッドーーーンっ!! と、再び頭突き。全く同じ場所にやったので、ヒビくらい入りそうだが、効果がない。
「ガッシュ、私の方へ来て。私を足場にするつもりで、マジックアーマーに突っ込んで」
「わかったわかった」
シュィィ~ンっ!
ルティナが言うと再び半精霊化した。
ガッシュがルティナの方へ空中から、突っ込む。そして、足場にするかのようにルティナの方へ足を向ける。
「<防御魔法>、<中位火炎魔法っ!>」
絶好のタイミングで、防御魔法を使い、ガッシュからの蹴りをガード。且つ、防御魔法を前に突き出す反動で、ガッシュの吹き飛ぶ勢いが増す
其処に更に中位火炎魔法をガッジュに当てて火の鳥と同化して、スピードが更に増した。
アークが見ていれば、こう言ったであろう。『アカシック・バ〇ターかよ!!』と。
ともかく魔法を唱えるタイミングがずれれば、勢いが増さないかったであろう。ルティナは、完璧なタイミングで魔法を唱えガッシュを送り出す。
ズッドォォォォンッッ!! と、大音量を響かせる。
中位火炎魔法で、爆発力の増したガッシュの頭突きがマジックアーマーを貫いた。が、ガッシュの頭もパックリ割れている。しかもだ、中位火炎魔法のせいで黒焦げだ。
そうなるとわかっていたのか、ルティナも空を飛びガッシュに追従していた。
「下位稲妻魔法」
ビリビリ~っ! と、マジックアーマーの前を通った時にトドメを入れた。
ガッシュのよって穴が空いていたので、其処に下位稲妻魔法を叩き込みマジックアーマーを灰にした。
そして、ルティナはガッシュの前に降り立つ。
「<上位回復魔法>」
上位回復魔法で即座に割れた頭が塞がり、火傷も綺麗になくなった。ガッシュを危険に晒す行動はどうかと思うが、東側はこれで決着だ。
ただ一つ失敗があるとすれば、普通に考えればガッシュの服が燃えて裸になるのだが、何故か確り残っていた。
もし、燃えていればルティナが『キャッ!』なんて可愛い声を上げていたかもしれない。
実は、これもルティナの計算の内で、ガッシュが着ているのは猛獣の毛皮。この毛皮は炎と冷気に耐性があるものだ。
西側はだが、此方も氷系に耐性がある魔物が残っていた。故にダブル中位氷結魔法を止めている。
「秘儀・円」
ムサシが空に向かって刀を円を描くようにクルクル回す。ムサシの秘儀は、まんまかギャグしかないのは、玉に瑕だろう。
「<隕石魔法っ!!>」
ルティナの究極魔法であるファティマを除くと最強魔法である隕石魔法を唱えるエーコ。
ドドドドドドドドドドドド……ッッ!!
無数の隕石が降り注ぐ。実はムサシは。上に対する防御をしていた。刀をクルクル回す事により、自分のとこに来た隕石を弾いている。またラゴスもムサシの傍に避難していた。
アークがいれば、『ジジィ二人の相合い傘かよ!!』と、無粋なツッコミが入っていたに間違いない。
それはともかく、隕石魔法で魔物は壊滅的になり、ほぼ全ての魔物が灰になった。。
しかし、戦場に甲羅が一つ残る。
「むっ!」
ムサシがそれを見て唸る。そして、甲羅からヒョコっと顔と手足を出す。スタディータートルである。
昔より強くなってないか? と、ルティナと同じ事を考えるムサシとラゴス。
スタディータートルも打撃&闘気が得意なアルフォードなら楽勝だが、残念ながらアルフォードはいない。
あとはマジックアーマーより、魔法耐性がマシなのでゴリ押し魔法でもいけるが、エーコが最強魔法を放って無事なのだから、もう倒せる魔法はルティナの究極魔法しかないだろう。
「秘儀・打」
ただのみね打ちだろと、アークに突っ込まれていた秘儀をムサシが繰り出すと、スタディータートルが甲羅に身を隠す。
カーンっ! と、あっさり甲羅に弾かれた。
そして、また顔と手足を出す。
「秘儀・朧」
これだけだろ、まともな秘儀はと、アークが思っている秘儀を上段から繰り出した刀が消える。
そして、スタディータートルの首元に現れる。
これは斬れるか? と、思ったが直ぐに甲羅に身を隠す。
「ムサシよーい、跳ぶのじゃ」
「承知したでござる」
ラゴスが指示を出す
「<重力魔法っ!>」
重力魔法で、ムサシがいるとこの地面の重力を減らし、ムサシが跳躍。
物凄い高さまで跳ぶと、そのまま落ちる。今度は重力を増やしムサシを加速させた。
ドーン……ピキっ!
ムサシの踏み付け、亀裂が走る。が、腰に負担来るのは間違いない。
「<中位回復魔法っ!>」
しかし、エーコが直ぐに回復魔法を掛ける為に待機していた。ラゴスは重力制御に忙しいので、回復魔法にはまで手が回らない。
「もう一度でござる」
「わかったのじゃ」
再び重力を減らして跳ぶ。そして、重力を増やして落ちる。
ドーンっ……ピキピキっ!!
再び踏み付けて完全にヒビが入れた。
「<中位回復魔法>」
「もう一度でござる」
また跳ぶ。
「エーコ殿ーっ!」
ムサシが、刀を上に掲げながら叫ぶ。
「はーい。<中位稲妻魔法>」
ズッドーンっ! と、刀を狙ってエーコの掌から、中位稲妻魔法が解き放たたれた。
雷を受けた刀を下に向ける。魔法剣にしたのだ。
「秘儀・雷」
いや、もうそれは秘儀じゃない。エーコの雷をあたかも自分が出したような言い方をするムサシ。
ヒューン……ブスっ!
ムサシの雷を帯びた刀がスタディータートルに突き刺さる。ヒビが入っていたので、あっさり中まで突き刺さり、中で電撃が流れた。
甲羅の顔や手足を出す部分から黒煙を出して動かなり、やがて灰に変わる。これで西側は、決着が付いた。
北側では、上位悪魔が、猛威を振るっていた。
「ギャァーンっ!」
「うわっ!」
上空から火の球が来たので、咄嗟に避けるロクーム。
黒い二対の四枚羽根を生やして飛んでるので、先程から空の相手をしていたロクームが注意を引いていた。
そのロクームがワイヤーフックを飛ばすが……、
スッ! と、簡単に避けれられてしまう。
「ちっ!」
「ギャァーンっ!」
再び火の球が口から吐き出される。ロクームはそれを躱す。
「ギャァーンっ!」
今度はサラの方へ。
「サラー! 上でガンスっ!!」
ロクームが呼び掛けた。
「ん? ……くっ!!」
咄嗟の事だったので左腕でガードしたが、かなりの火傷負う。
「るまー!」
「すまない」
ユキの吹雪で、サラの左腕を冷やす。
「サラ、あれ仕留められるでガンスか?」
「試してみよう……サンダースピアーっ!!」
地面に向かってサンダーランスの電撃を出す。
ズッドーンっ! と、電撃の勢いで空へ吹き飛ぶ。
「電光一文字突きーっ!!」
電気を帯びた槍を突き出した。が、躱される。
「む!? ……サンダースピアーっ!!」
一瞬目を見開き、上位悪魔と違う方向へ、再び電撃を発射し、電撃の勢いで上位悪魔の方へ突っ込む。
「電光一文字突きーっ!!」
再び電気を帯びた突きを繰り出すが躱される。
「サンダースピアーっ!!」
再び上位悪魔と反対方向に電撃を出し、上位悪魔の方へ突っ込む。
と言うか、下位互換のガッシュでガンスと、内心思うロクーム。
実際、サラはガッシュと共にフィックス城への旅をし、ガッシュの立体軌道を目の当たりにしていたので、真似たのだ。
「ギャァーンっ!」
「むっ!?」
火の球が口から吐き出されサラを襲う。
危ないと感じロクームは、ワイヤーフックを伸ばしていた。
それをサラに絡みつかせるて、引き寄せる。サラを後ろから抱き締める形で受け止めた。しかし、咄嗟の事でロクームはも吹き飛んでしまう。
「すまない。助かった」
「いや、良いでガンス」
「……助かったんだが、好い加減手をどかしてくれないか?」
ロクームの右手は、サラの胸に触れていた。
「悪いでガンス。小さくて気付かなかったでガンス」
「お主……一言余計だ」
だってエリスより小さんでガンスもんな~と、勝手に触っておいて不満を内心で溢す。
エリスも大差はないのだが、ロクームも好き放題揉むので大きくなり、今ではCくらいある。
しかし、サラのはBか下手するとA。自分で散々揉んで大きくしたエリスをより小さいと文句を言うのはどうかと思うし、勝手に揉んで不満に思うのも最低なのだが、本人には丸で悪気がない。
「事実だし、気にするなでガンス」
と、言って更に揉んだ。アークがいたならきっと、『サラだけに更に揉んだな』とか、実にくだらない事を言ったであろう。
「事実でも口にするな。そして揉むな」
「ギャァーンっ!」
ロクームは、揉むの夢中になり、火の球に反応が遅れる。
「るまー」
それをユキが吹雪で相殺した。
「イチャ付くのは後にするルマー」
「そうでガンスな。後でじっくり揉ませて貰うでガンス」
と言って離れた。
「……エリスがいるだろうが」
サラがボソっと呟く。
しかし、不思議な事にサラも嫌悪感はあっても羞恥心は、あまり感じていないようだ。
「さて、サラ。あれは倒せそうかでガンスか?」
「厳しいな」
「そうでガンスか。なら抱き締めて良いでガンスか?」
「はっ!? ……お主は何を言っておるのだ?」
目を剥き怒り出すサラ。
「いや、俺ごと空に打ち上げて欲しいんでガンス」
「なるほど。それでどうするのだ?」
実際は嫌々で顔が引き攣っているのだが、まずは上位悪魔を倒すのが先決と考えるサラ。
ちなみに嫌々に考えるのは当然であろう。ロクームは、アレをサラの尻に擦り付けて来ていたのだから。
「空で分離、ユキの吹雪で吹っ飛ばして貰うでガンス。それで調整し、とりあえず羽根をぶった斬るでガンス」
「承知した」
「わかったルマー」
そして、サラに背負われる形で後ろから抱き付いた。
「………」
「どうしたでガンス?」
「お主は、いちいち胸を触らないと気が済まないのか?」
「あー悪い悪いでガンス。小さくて気付かなかったでガンス」
丸で悪気がなく適当に謝る。それも小さい方が悪いと言わんばかりに。しかもだ、今回は態と揉んでるのだから、余計にタチが悪い。
冒頭の自分語りは、何処に行ったのやら。
「一言余計だし、その割には何故揉む?」
「揉みたいから?」
「……エリスがいるだろう」
「ギャァーンっ!」
また火の球が……それをユキが吹雪で相殺。
「だから、イチャ付くのは後すルマーっ!!」
今度はユキが目を剥き怒り出す。
「そうでガンスな」
と、言って最後に先っぽを摘まんだ。
「は~……お主は頭おかしいのか?」
溜息を付き呆れる。
「散々揉んでやったのでガンスに、先が硬くなっていないサラに言われたくないでガンス」
「もう良い! では行くぞ……サンダースピアーっ!!」
ロクームの更なる暴言にイチイチ頭に来てもキリがないと、かぶりを振るとズッドーンっ! と、空に打ち上がる。
「言い忘れていたでガンスけど、踏み台にするでガンスぞ?」
「構わぬ」
揉まれながら、硬くなったアレを尻に擦り付けるように、腰を動かされるより百倍マシだと、思うサラ。
ロクームは、サラの肩を踏み台に上位悪魔の方へ跳ぶ。
スッ! と、それを上位悪魔が避ける。
だが、ユキの吹雪がロクームを吹っ飛ばす。
「と言うか寒っ! でガンス」
プシュプシューンっ!
短剣二刀流で左側の黒い羽根を二枚斬り落す。そして、上位悪魔が落下。
ユキと、先に下りてたサラが槍を構えている。
ブスブスっ! と、落ちて来た上位悪魔を二人で突き刺す。
「よしでガンス! 後は残りを始末だなでガンスな」
「うむ」
「わかったルマー」
「終わったらまた揉んでやるでガンス」
「いらん! いい加減にしろ!!」
揉んでやるとか、何処までも上から目線のロクームであった……。