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EP.09 紅玉の紅炎でした

「おぉ~イエェ~! おぉ~イエェ~! 今なら間に合う。ワイが優しく激しく貫いて果てさせてやるんや。チビッコ共はいらんがな」


 腰を振りつつなんか言ってるよ。


「相変わらず気色悪いのだ」

「全くそうねぇ」


 ラキアとナターシャの瞳が冷え切っている。


「ウチが倒します。少し時間を稼いでください」


 そんな中、キアラはナターシャ達を見てボソっと呟く。


「どういう事だい?」

「………」

「……瞑想してるのだ」


 ナターシャが、問い掛けるがキアラは、目を瞑り無反応。ラキアはキアラが何をするのか察したようだ。


「物凄い魔法を使うようだぞ。ナターシャよ、姉上の言われた通りにするのだ」

「……………………<其の日輪は、(ことごと)くを焼き焦がす、光となろう>」

「何であんたは、ハッタリックの味方をするのだい?」


 ラキアの言葉にコクリと頷いたナターシャは、時間稼ぎの為か金髪フサ~に呼び掛ける。


「ワーイは我慢ならないんや。何故一つの道場に力を集中したらアカンのや?」

「それは、そこが反乱したらいけないからじゃないかい?」

「だったら、それ相応の力ある者が城を守護すればええやろ!」

「そうかもねぇ」

「そうすれば魔王だって、こんな国に頼らなくても討伐に乗り出せるんや」

「……………………<其の日輪は(ちり)も残さず、滅びを齎すであろう>」


 なんかまともな事を言ってるな。それなりの大義があったのか。


「そうすればワイは……ワイは……」


 何か苦悶を抱える絞り出し方だ。




















「他の道場の女共を貫けるんやっ!!」





















「「……………………」」


 ナターシャとラキアがフリーズ。

 そりゃそうなるわな。俺も一瞬聞き間違えかと思った。結局それかよ。


「女共だってワーイの黒~~くて、太~~くて、長~~い棒に貫かれる事を望んでるや」

「なぁナターシャよ、こやつは何を言っておるのだ?」

「……………………<其の日輪は、陰る事なく輝き続ける>」

「分からないさぁ。分からないけど、頭がおかしい事は、良く分かったさぁ」

「分からないワレ共がおかしんや!」


 金髪フサ~は、腰に繋がれた鞭を掴み、パシンパシンと二回地面を打ち付けて構えた。


「巳の道場、次期師範スーグニヤー=ラレール! 参るんや」


 うわ! 名前から言って即終わりそう。


「<……………………終焉の焔に滅されるであろう>」


 キアラが目を開けた。恐らく詠唱が完成したのだろう。にしても随分ゆっくりと時間を掛けながら詠唱したな。よっぽど魔力集中をしないとダメな魔法なのか?


「なんや!?」


 直ぐに殺られる……もといスーグニヤーの頭上に、もう一つの太陽が浮かぶ。

 それにより、顔を青くしたスーグニヤーの顔に汗がダラダラ流れる。熱いのもあるだろうが、恐怖のが強いのだろうな。


「先程、紅蓮魔法のレベルが上がり、獄炎魔法に到達しました。丁度良いので、貴方で試し打ちさせて頂きます」


 マジか……炎系の最上位である獄炎魔法に到達したのか。すげーな。これだけはエーコを越えたか?

 通りで詠唱が長い訳だ。初の魔法だし、恐らく炎系最強魔法だからだろうからな。


「……何でや!?」

「貴方にナターシャや愚妹は、一発当ていていましたが、ウチは何もしてませんでしたからね」


 いや、鞭をズタズタにしただろ。まあコイツ本人には何もしてないけどさ。ラキアはケツの直ぐ傍でミニ・ブラックホールを展開したり、ナターシャはケツの穴に矢をぶち込んでいたけどさ。




















               「<紅 炎クリムゾン・プロミネンス>」




















 もう一つの太陽がスーグニヤーに落ちて来る。その大きさ直系5mはある。


挿絵(By みてみん)


「のぉぉぉぉ~~~ッッ!! らめぇ~! らめぇ~! イってしまう~~~。イクゥゥゥゥッッ!!」


 最後まで気持ち悪いな。何か太陽の中で、ビクンビクンしてるし。


「熱い! 熱いのだッッ!!! <水結界魔法(ウォーター・ドーム)>」


 少し離れたとこにいるラキアが、余りにも熱さに慌てて半円球の結界を展開。それも確り他のコビー族とかもカバー出来る大きさだ。


「うわぁぁぁ!! もたないのだ!!」


 だが、次々に蒸発して行く。ラキアは必死に魔力を籠め結界を張り直す。


「はぁはぁ……姉上、やり過ぎなのだ」


 もう一つの太陽が消えたとこで、疲れ切った感じでキアラを睨む。


「獄炎魔法は、扱いが難しいですね」


 それをどこ吹く風のように無視し、たった今使った魔法の感触を確認するかのように手をグー、パー、グー、パーさせる。

 にしてもヤバい魔法だな。詠唱にあった通り塵すら、残っていないし。スーグニヤーは、完全に消滅した。別に殺す事もなかったと思うが、かなり気持ち悪かったし、相当頭に来ていたのだろう。

 キアラに紅玉(クリムゾン)って、二つ名を考えた奴はすげぇな。紅炎(クリムゾン)を使ったしな。キアラにピッタリな二つ名だ。

 だが、そうなるとラキアの藍玉(アクアマリン)は、名前負けしていないか? まあ両方瞳の色から考えたのだろうけど。


「終わったようだーね」


 一人のコビー族の女が前に出る。

 種族が違うので正確には分からないが、年齢的に二十代中盤辺り。銀髪に三つ編み一本にまとめ足首まである長い髪。理知的で全てを見通すかように感じさせる銀色の瞳。

 そして、何より目を引き付けるのが服装。丈が長く引き摺るようなサイズの合っていない和装。しかも両肩を出しており、煽情的だ。これがコビー族じゃなかったら、釘付けになっていたかもしれない。


「じゃが、味方にも被害が出たようだーよ」

「それは悪かったさぁ。アレには前に手痛い思いをさせられたのさぁ。周りを気にしてられなかった」

「だろうねーえ。あの者は、かなりの強さがあったようだーね」


 二人は、ハッタリックに視線を向ける。ややあって、ナターシャはコビー族に視線を戻す。


「それで、あたい達は魔女と呼ばれているノルンさんって人に会いに来たのさぁ」

「その呼び方をするんじゃないよ! ワタシャ、そう呼ばれるのは嫌いなのさーあ」

「じゃあ貴女が……?」

「自己紹介が遅れたようだーね。ワタシが、アンタ達が探してるノルン=スルーズだーよ」


 というか国王からの手紙がいらなくなったな。

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