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EP.08 ハッタリックと再戦しました

 ナターシャはひたすらエレメントアローを撃ち続ける。


「効かねぇってのが分からねぇのか!?」


 ハッタリックが、全ての魔矢を弾き落とし前へ、前へ、歩を進める。


「分からないさぁ。あたいの攻撃がこれだけだと思ってるのかい? 自分が甘い事を言ってる自覚は分かってるかい?」


 ナターシャは、魔矢を放ちつつニヤリと口角を上げ意趣返しの言葉で挑発する。


「上等だ! ただ殺すだけじゃなく、雑魚アークに見せ付けるように犯して嬲って惨たらしく殺してやる」

「ビオサーラから、あたいに乗り換えたいのかい? まぁあんなに惨めにフラれたし分かるさぁ」


 ハッタリックの眉がピクっと動き、一瞬顔を歪ませる。

 まああれは、酷いフラれた方だったしな。『うんざりよ!!』って、めっちゃ怒鳴られていたし。


「ブスが調子に乗るんじゃねぇ! ビオサーラに貴様程度が、敵う訳ないだろ」

「あら……女を知らなそうだし、あたいの良さが分からないようだねぇ」

「ひゃーはっはははは……知ってるわ! 女なんて腐る程いるし、いくらでも抱けるわ。貴様こそ雑魚アークしか男を知らないじゃないのか? 何せブスだもんな。あの男も趣味が悪いな」

「あんたの毒牙に掛かった女達が可哀想さぁ。まぁあたいが仇を取るしかないね」

「言ってろ。ほら、もう目の前に迫ってるぞ」


 なんか醜い言葉の応酬をしている。

 ちなみにナターシャが貶されてるし、ついでに俺もディスられているが、全く何とも思わないな。コイツの破滅へのカウントダウンが始まってるし。コイツは、まだそれに気付いていない。


「オラっ!」


 やがて目の前に辿り着き回し蹴りで、キアラとラキアの防御魔法消し去る。それと同時にキアラ達も消えた。


「そこにいる事は、分かってんだよ!!」


 ハッタリックが、虚空を睨む。まあ索敵気法(さくてきほう)で、相手の位置は、簡単に分かるだろう。

 二人とも幻魔法で、自分の幻を作りつつ姿を隠して空中に逃げたからな。


「行くのだ、姉上」

「あの時のお返しをしてあげましょう」


 キアラは右手を右真横に突き出し、ラキアは左手を左真横に突き出し、パンっと合わせる。


「<閃光よ、照らして、爆ぜて、打ち破れ! ……>」

「<収束する黒き穴よ、全て吸い尽くせ……>」


 二人は詠唱を開始した。


「させるかよ!」


 ハッタリックの右手に龍気が収束する。それを打ち出せば、詠唱を阻止出来るだろう。だが……、


 ブスっ!


 魔矢が背中に突き刺さる。


「な……に?」


 ハッタリックが目を剥く。


「飛んで来る矢しか見ていないから、そうなるさぁ」

「たった一発当たった……」




ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブス……っっ!!




 言い終わらないうちに次々に魔矢が飛んで来て、ハッタリックの背面に刺さりまくる。

 何せナターシャが飛ばした魔矢は、全弾ハッタリックに向かって行ってなかった。時間差でハッタリックを突き刺さるようにしていた。


「目の前の事しか見えていないから、ビオサーラにもフラれるのさぁ」

「キ、キサマぁぁぁああああ……っっ!!!!!」


 目が血走りナターシャに拳を繰り出す。


「甘いさぁ」


 ナターシャは、エレメントアローをクルクルと回転させ攻撃を防ぐ。これは、沙耶の薙刀をクルクル回転させて行う防御技を真似たのだ。尤も実になるのに、長い時間が掛かったけど。

 形になっていても、防げる程にハッタリックの龍気を纏った拳は甘くない。そこはナターシャお得意の筋力アップのお香で、何とか対抗した。

 更に俺が去年あげたユグドラシルブローチがある。世界樹の枝から使ったあれには天日活性という効果が付与されている。太陽が出てる間は、力が活性化されるものだ。まあ某大罪の唯我独尊(ザ・ワン)のように、正午になると化物じみて来る訳じゃないが、ほんの少し増強される。

 それでも、押されているので、二発目が来たら終わりだ。が、十分に時間を稼いだ。


「<星々を散らすが如く>……<星光魔法(スターライト)>」


 キアラが光魔法を唱える。

 ハッタリックを中心に爆ぜるように広がる。


「そんなもの効くかーっ!!」


 当然そんなもので、龍気の使い手をどうにか出来ない。たぶん骨根(スカル)にも通じないだろう。


「<虚空の彼方へ消し去り、散りとかせ>……<収束黒穴コンバージェンス・ブラックホール>」


 時間差で、ラキアが闇魔法を唱える。

 ハッタリックを中心に直系2mに及ぶブラックホールが展開され、周囲のものを吸い込む。


「このぉぉぉぉ!!! こんなもので俺をぉぉぉおおお……っ!!」


 そのブラックホールは、収束してどんどん小さくなって行き、キアラが唱えた星光魔法(スターライト)をも吸い込む。だが、ハッタリックは必死に抗う。


「はぁはぁ……」


 やがて、ブラックホールが小さくなり過ぎて閉じてしまう。それに耐え切ったハッタリックは、ニヤリと醜悪に嗤う。次は貴様の番だと言わんばかりに。
















             

             「「<合魔・超新星(スーパー・ノヴァ)>」」
















 しかし、その前にハッタリックを中心に物凄い爆発が起き、深さ2mはあるクレーターが出来る。

 恐らくだが、ラキアがブラックホールに吸い込んだのを吐き出したのだ。それには当然キアラの星光魔法(スターライト)も含まれている。しかも、光は闇に負けまいとその輝きを増すが如く、先程より遥かに明るく周りを照らした。

 それは、離れたとこにいる雑魚魔獣なら簡単に消し飛ばすくらい強い光だ。たぶんハッタリックの配下の魔獣使いの魔獣と、ノルン配下の魔獣使いの魔獣関係無しに、弱い魔獣は全て平等に消し飛ばしただろう。

 他にもコビー族が、沢山いたが消し飛ばすまでは行かなくても、倒れ伏してるし。

 更に言えばラキアが、これを解き放つタイミングで、キアラも多くの魔力を籠めたと思われる。


「ぐぁぁぁあああああ……っっ!!」


 ハッタリックは、吹き飛び消し炭のように真っ黒焦げになる。だが、まだ息はあるようだ。龍気は、圧倒的な防御力を手にする事が出来るからな。ただ、それでも戦闘不能は必至だろう。

 ちなみにだが、ナターシャはエレメントアローをクルクル回転させ超新星(スーパー・ノヴァ)を防いでいた。


「残りの魔獣はどうしますか?」


 キアラから、空中から降りて来てナターシャに問う。

 尚、先程の超新星(スーパー・ノヴァ)で、敵味方関係無しに消し飛ばしたから、両方から警戒されている。


「ノルンさんと、その味方を助けるさぁ」

「だが、どうやって判別するのだ?」


 ラキアが小首を傾げる。まあどっちがノルン配下の魔獣使いの魔獣か分からないからな。下手するとノルンの魔獣もいそうだ。というか誰がノルンか分からない。


「あたい達は、ノルンさんに会いに来たのさぁ! ノルンさんの敵ではない。だから、ノルンさんとその仲間は下がって欲しいさぁ。下がらなかった者達を攻撃するさぁ!」


 ナターシャが、呼び掛けると我に返ったかのように一部のコビー族と、それが操る魔獣が下がる。

 中には敵なのに下がってる愚か者もいて、ノルン配下のコビー族にボコされているし。


「じゃあ行くさぁ。エレメント・ランス」

「これなら分かり易いですね。<百炎槍魔法ハンドレット・ファイアー・ランス>」

「分かり易いのだ。<百水槍魔法ハンドレット・ウォーター・ランス>」


 大将(ボス)だったハッタリックが、やられた事でハッタリックの味方をしていたコビー族が、戸惑いあっさり全滅した。


「おぉ~イエェ~! これはどんな状況や?」


 また出た、金髪フサ~野郎。

 何でこんなとこもにも来てるんだよ?


「……またかい?」

「……今すぐ、視界から消えて欲しいですね」

「……こやつは、こんなとこまで追って来たのか?」


 三者三葉に苦い物を口に入れたような顔をし、げんなりし出す。


「きさ、ま……お、そい」


 ハッタリックが呻くように言う。

 え? ハッタリックの子分Aだったのか?


「ハッタリック?」

「……良い、から……殺、れ」

「しゃーないな。ユーの敵討ちしてやるんや」


 おいおい……今度は巳の道場の時期師範かよ。というか強いのか? 弱そうなんだけど?

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