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EP.05 ブリテント国王に謁見しました

「ヘイ! また会ったな。ワイと……」

「結構さぁ」


 また金髪の髪が前に飛び出た意味不明な奴がいるな。しかもまたナターシャは、最後まで聞かずバッサリ切り捨てる。

 場所は、王都キャットの王宮。ギルドからの依頼だと言い、通して貰ったのだ。衛兵に連れられ王宮の回廊を歩いてる最中に遭遇。


「待つさ。ワイは誰だと思ってるんや~」

「興味無いさぁ」


 とりあえず先に進もうとするのだが、衛兵が足を止めてしまう。というより戸惑っている。この金髪フサ~は余程の人物なのか? 衛兵は無碍に出来ない相手という感じで見ている。

 まあそのせいで、ナターシャ達の足が止まってしまう。


「ワイは……ワイは……」

「興味無いって言ってるのが聞こえないのですか? それとも理解する頭がないのですか?」

「姉上、言い過ぎなのだ。いくら頭おかしい人でも、はっきり言ったらダメなのだ」

「貴女もどうかと思いますが?」

「我は、面と向かって言っておらんのだ」

「同じですよ。頭おかしいと、目の前で言ってるのですから」


 双子がまたワイワイやってるな。それを聞いている金髪フサ~の眉がピクピク動く。

 まあ流石に王宮で魔法を使って撃退出来ないしな。舌戦するしかない。


「なんやワレども? チビッコの分際で……ワイを誰と心得るんや?」

「ですから興味有りません」

「興味無いのだ」

「ワイは巳の道場の時期師範やで」

「聞いてませんから」

「通りでしつこいのだな」


 巳って蛇だしな。蛇ってしつこいって言われるような……。理由は知らん。


「チビッコ共、モテないぞ」

「は?」

「何を言ってるおるのだ?」

「おぉ~イエェ~! ワイの素晴らしさが分からないんやな~」

「本当に何を言ってるのですか?」

「意味が分からぬ」


 というか口調がキモい。二人ともそう思ってるのか顔を顰めている。


「ワイの立派な棒をぶっ刺せる歳じゃないしなぁ~。おぉ~イエェ~! エクスタシィィ~! この快感を知らぬお子様やな~」


 うわ! なんか滅茶苦茶な事を言い始めたぞ。というかお子様扱いでキアラの眉がピクピク動いてる。王宮でキレるなよ。


「その点、ユーなら分かるやろ? ワイとめくるめく時を……」

「あ、間に合ってるさぁ」


 ナターシャは、塩対応。目がめっちゃ冷めてるし、バッサリ切り捨てた。


「ワイみたいな良い男は他にはいないでぇ~。皆、喜んで股を開くんやでぇ~。おぉ~イエェ~!」


 それは時期師範という肩書のお陰だろ。この国で、そんな人物に逆らう平民は早々いない。


「早く案内をお願いするさぁ」

「ですが……」


 ナターシャは、無視し衛兵に水を向けるが、衛兵は戸惑いながら、金髪フサ~を見る。


「本当は、ユーもワイにメロメロなんやろ? 言わなくても分かるでぇ~。なんせワイは……」

「だから、間に合ってるさぁ」


 コイツ馬鹿だろ? 薄々分かっていたが、ここまで酷いのか。ちょっとコレ、巳の道場に抗議しないとアカンでぇ~……おっと口調が。


「ワイが下賤な冒険者の可愛がってやるって言ってるんや」


 いや、お前も冒険者活動してるだろ。何せ冒険者ギルドにいたし。


「……ファーレ、お願い出来るかい?」

「心得た」


 腕に止まっているファーレに呼び掛けると、ファーレは飛び立ち金髪フサ~の前で羽根をバサバサやり出す。


「なんや? なんや? ワレ、鳥の分際で……アウチ!」


 今、何した? ナターシャが次元収納魔法ディメンション・ボックスから、エレメント・アローを取り出すと、弦を引き……放つ。一連の動作をして直ぐにしまった。

 あの弓は、武が古代武装エーシェント・ウエポンとか言ってた武器で、特殊な力を持っている。それは魔力で矢を精製し放てる。

 だが、ナターシャは今、正面から放ったのに……、


「ワイのおしりが……おしりが……」


 ケツに刺さったのだ。

 それを確認するとファーレは、再びナターシャの腕を掴む。


「ワイが貫くのは良いが、掘られる趣味はないんや~。おしりが……おしりが……」

「さぁ、行くさぁ」

「……分かりました」


 衛兵がドン引きしつつも、また先導で歩き出す。

 やがて謁見の間の扉の前に到着した。


「冒険者パーティー『アサシンズ』ご入来」


 大仰に叫ばれ扉が開く。ナターシャ達は、謁見の間の赤い絨毯の上を歩き、やがて玉座の数m手前で止まり跪く。


「良くぞ参った。アサシンズの方々。儂はこの国の王、アウルス=ペンドラ=ブリテント」


 前に国王の名を聞いた時は、本気でその名前か? と驚いたものだ。そこはペンドラではなく『ペンドラゴン』だろと突っ込んだ。


「神獣様のご尊顔を拝し恐悦至極に存じます」


 やはり神獣は、崇められているな。国王がナターシャの腕に掴まるファーレを見て恭しく挨拶をした。


「妾は、この者らの付き添いだ。気にせんで良い」

「神獣様の寛大のお言葉有難く存じます。さて、ナターシャ殿とその仲間達。面上げよ」


 ナターシャ達が顔を上げる。


「此度の依頼を……いや、その前に先のトリスタン海洋町の惨劇の主犯を捕らえた事、誠に大義である」

「勿体無きお言葉にございます」


 相手は国王だ。ナターシャも慇懃に対応する。


「さて依頼なのだが、詳細は聞いておるな?」

「はい。親書を届けあちらの王家を説得すると聞いております」

「うむ。実は、そろそろ限界なのじゃ」

「限界?」


 国王が項垂れるように呟き、ナターシャは首を傾げる。


「貴族達を抑えておくのが。もう戦争一歩手前だな」

「そうなのかい?」

「実は少しずつ兵や傭兵をあちらに国に送っておる。もういつでも攻め込めるようになっておるのだ」


 少しずつ、ね。あちらの国の魔獣か霊獣か、もしくは神獣で海を渡る。故に大軍を送れば直ぐにバレてしまう。なので、ちょっとずつあちらの国に渡っていたのだろう。


「此度、お主らを向かわせるという事で、少しは抑えておけるだろう。じゃが、説得が失敗と同時に兵達が動くかもしれん。故に何日も滞在し、時間を掛けてというのは難しいぞ」


 それはまた難易度が更に上がったな。


「分かりました。あたいらで、説得出来るか分かりませんが、出来る限りの話をして来ようと思います」

「うむ。頼んだぞ」


 国王が鷹揚に頷き謁見は終わった。

 それから城の外に出ると、ファーレがナターシャの腕から飛び立つ。そしてナターシャ達を見詰める。


「世話になったな。すまぬが妾は、ここまでだ」

「長い眠りに付くんだったねぇ」

「うむ。ナターシャ、キアラ、ラキア……次に会う時まで息災でな」

「ファーレも簡単に襲われるとこを寝る場所に選ぶんじゃないさぁ」


 そう言えば、どこで寝るのだろう。下手なとこだと魔獣とか下手すると賊に襲われるぞ。


「うむ。心得た」

「ファーレ、お気を付けてください」

「キアラは、もう少し落ち着きを持つ事だな。直ぐにキレるでないぞ」

「大きなお世話です」

「目覚めたら、状況によっては主様を頼むかもしれんな……先輩」

「ラキアよ、何度も言っておるだろ? 貴様に先輩など呼ばれたくないわ!」

「良いではないか」

「貴様は、言動に落ち着きを持たせろ。姉とは違い直ぐにキレないのは美徳だがな」

「大きなお世話です」


 二度言われキアラが、頬を膨らませる。


「まぁ主上の事は心得た。妾に任せるが良い」

「頼むのだ。ではな」


 そう言ってファーレが飛び立って行く。

 数年寝るとか言っていたが、ナターシャ達は数ヶ月もあれば帰って来ると思うがな。

 そうなれば、俺を任すとかって話にはならんだろ。またナターシャ達と行動すれば良いのに。

 これってもしかして…………………………フラグか?

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