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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十五章 スイースレン公国の腐敗
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断章 孤独なる断罪女王 その④

エイプリルフール企画と言いながら四日かかりました


今回の内容は、PC版じゃないと見辛いかもしれません

「ぅんん……ここは……? わたくしは……?」

「おい、大丈夫か?」

「えっと……どちら様でしょうか?」

「俺は、ナデェーイ。こっちにいるのが、俺の幼馴染のウララだ」


 茶髪をポニーテールにしており、背中より少し上程度の長さの水色の瞳をした十代後半辺りの殿方と、金髪で中分けにし首の辺りで切り揃えた、紫色の瞳をした活発そうな十代中盤辺りの女性がいます。


「ナデェーイ様にウララ様……ですか?」

「様なんていらいないぜ」

「うん、あたしも」

「そうですか。では、ナデェーイさんにウララさんですね」


 何故でしょうか? ナデェーイさんって方から目が離せません。


「ところでお前は……」


 ゴゴゴゴゴゴゴ……ッッ!!


 突然地響きが起きました。


「ナデェーイ、崩れるよ」

「ああ! 掴まれ」


 ナデェーイさんがわたくしを抱え走り出します。すると先程わたくしが入っていた何かがあった場所が崖れ落ちます。あれはなんだったのでしょうか? 何故わたくしはアレの中で寝ていたのでしょうか?


「ふ~~。危なかったぜ」

「だねぇ。ナデェーイが不用意に近付くからよ」

「そう言うなよ。この女の人を助けられたんだから良いだろ?」

「そうなんだけど……」

「あの……」

「ああ、悪い。で、お前は?」

「……シスリーヴァ。それ以上は思い出せません」


 わたくしの名前は、シスリーヴァ。それだけは覚えています。


「記憶喪失か?」

「そのようですね」


 それからわたくしは、冒険者になるというナデェーイさんとウララさんと一緒に冒険者になり旅をしました。

 色々なとこを周り楽しかったです。出来ればこの時がこのままずっと続けば良いと思いました。

 いつからか、わたくしはナデェーイさんを慕うようになり、そんなわたくしだからこそ、ウララさんの気持ちが分かります。ウララさんもナデェーイさんの事が好きなのですね。

 わたくしは、少し嫉妬してしまう事もありましたが、この気持ちは最後まで言わないで置きましょう。言ってしまえば未練が残りますからね。やがて来る別れの時に……。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 遂にこの日がやって来ました。

 魔神アークが復活してしまったのです。わたくしが過去に断罪して来たのは、この魔神アークを復活させない為でした。

 そして、この時代で復活するのは、分かっていたので長い眠りに付いたのです。

 ただ気になるのは、前に(・・)いなかったアークさんという者と、その仲間と思われる赤い髪の幼女と青い髪の幼女がいます。

 魔神アークと同じ名前ですね。本人に言わせればスペルが違うのだとか。

 ですが、そんな事は些事ですね。わたくしのやる事は、変わりません。


「アレは何だ?」

「とんでもないバケモノだって事は、あたしにも分かるよ」


 冷汗を流し呆然と呟くナデェーイさんとウララさん。


「あれはヤバい。俺達でどうにか出来る代物じゃねぇぞ」

「ウチにも危険な存在なのは分かります」

「じゃが、目覚めたばかりの今がチャンスではないのか?」


 アークさんとそのお仲間の赤い髪の幼女と青い髪の幼女は、戦意を失っていません。ですが、貴方達にどうにか出来るものじゃありません。

 アレを倒すのはわたくしの役目です。その為に今まで積み上げて来たものがあるのですから。


「ナデェーイさん、今まで楽しかったです」

「シスリーヴァ、何を言ってるんだ?」

「わたくしの記憶は、とっくの昔に取り戻しました」

「えっ!?」

「これを」

「手紙?」


 わたくしは、ナデェーイさんに手紙を渡します。


「終わったら読んでください」


 精一杯笑います。強がりではありません……いや、嘘です。半分は強がりです。ですが、もう半分は、もう結果が見えてる事ですから。


「<強光結界(ハイ・ライト・ドーム)>」


 半円球のドーム状のバリアを張り、ナデェーイさん達を閉じ込めます。


「おいシスリーヴァ、何をする気だ?」

「止めて! あたし達の恋の決着は付いていないでしょう?」


 良いんです。わたくしの幸せは、もう十分に頂きました。これから先はナデェーイさんをお任せしますね、ウララさん。

 強光結界(ハイ・ライト・ドーム)をナデェーイさんとウララさんが様々な攻撃で、壊そうしますが壊れません。

 アークさんは何かを考えるようにじっとしている。その仲間達もアークさんを信頼してるのか動きません。

 その間にわたくしが……。


「何だ、貴様は? 一人で我と戦うのか?」

「魔神様、少し遊びませんか?」

「遊ぶ?」

「余興ですよ。わたくしの一度だけの攻撃を受けてみませんか? それでダメなら、もうお好きになさってください」

「ダハハハハ……愉快愉快、愉快よのぉ。我にそんな事を言うとは。一万年ぶり蘇った祝いだ。良かろう。やって見せろ」

「ありがとうございます」


 わたくしは、優雅にスカートを摘みお辞儀をします。

 これで時間を稼げました。いくらわたくしでも、今から使う魔法は、少し魔力集中しないといけません。


「………………」


 息を大きく吸い精神を集中します。


「<クロス・ファング>」


 パッリーンっ!!


 わたくしの強光結界(ハイ・ライト・ドーム)が壊された音がしました。アークさんですね。ですが、もう遅いです。


「今だっ!!」

「「<Transkription>」」

「<次元跳躍ディメンション・リープ>」


 アークさん達が何かしたようですが、わたくしの魔法が発動しました。それと同時に振り返ります。そうして精一杯の笑顔を。


「大丈夫です。また会えますから」


 さようなら、ナデェーイさん。わたくしの愛した人――――。


 かつての時代に魔神アークと飛びます。ですが、魔神アークに、かつての時代には肉体がありません。何故なら、わたくしの『称号 予知』により悉く魔神アークの復活を阻止したのですから……。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「戻って来ましたか」


 かつての時代の、かつての国の、かつてのわたくしの執務室の椅子。そして、十四歳のわたくしの肉体。

 もう何度目でしょうか? もう数え切れないですが、何度でも繰り返します。またナデェーイさんに会える。それがわたくしの心の拠り所ですから。
















 もうわたくしは、一人孤独な小さな王(バジリスク)ではありませんから――――。
















 さて、感傷はここまでですね。また繰り返します。

 ただアークさん達は、最後に何をしたのでしょう? アークさんが強光結界(ハイ・ライト・ドーム)を破壊し、赤い髪の幼女と青い髪の幼女が何かをし、わたくしは……………………。

 考えるのは止めましょう。もうどうせ終わった事です。これからの事を考えましょう。

 わたくしは、【断罪女王(バジリスク)】シスリーヴァ=リュボー=アブィーヌイ。その仮面を被りましょう。


 室内にノックが響きました。


「入りなさい」

「失礼致します」


 執事のセバスチャンが入って参りました。


「王女殿下の言われてましたオルヴォワール村ですが、一部の村人が人攫いをしておりました」

「燃やしなさい」


               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



『ナデェーイさん、これらから書く内容で、驚かせる事をお詫びさせてください。


 申し訳ございません。


 最初に伝えないといけないのは、今、そこにいるわたくしは、わたくしであって、わたくしではありません。


 かつて、わたくしだったものです。


 わたくしの意識は、次元跳躍ディメンション・リープにより、魔神アークと共に過去の時代に飛びました。


 つまり【断罪女王(バジリスク)】だった頃のわたくしの中に飛んだのです。


 魔神アークは、過去の時代に肉体がありませんので、恐らく消滅したでしょう。


 従ってナデェーイさんの目の前にいる、わたくしは抜け殻です。


 抜け殻なので、食事も摂れないでしょう。


 死を待つだけの肉体で、大変心苦しいのですが、丁重に埋葬してくれると嬉しいです。


 魔神アークの存在が消えた世界を共に見れない事だけが心残りです……。


 わたくしの事は、心配しないでください。


 やがて時間を止める魔道具(アーティファクト)を使用して長い眠りに入りますので、再び会えるのを楽しみにしていますね。


 最後に、


                   この世界で一番、貴方が大好きです。


                          ただのシスリーヴァ』

シスリーヴァ=リュボー=アブィーヌイですが、全てロシア語を(もじ)ったものです

最初の言葉の意味は、『普通の恋愛が嬉しかった』

まぁ今回は下書きのようなもので、恋愛相手との描写はほとんどカットしましたので、大した意味はないですね(笑)

というか本編で出した際も、良い感じに描けるか微妙ですね。


申し訳ございません

本編開始はもう少しお待ちください

最近バタバタしておりまして、なかなか描けないです(汗)

本来なら二週間前から毎日アップしてたのですが……

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